投稿日:2021年07月16日
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前回のコラムでは、
アップル社の元CEOであるジョブズが製品の側面につく
「抜き勾配をゼロ」にした具体的な手法についてをお話しました。
このような方法は、
通常ですと製造コストが上がってしまう
非常識な成形法になりますので、マネすることはできませんね。
特に初心者の方には、
業務の中で役立つ、という以前の知識になります。
ですので、こちらの話は一つのトピックとして捉えていただき、
それよりも、まずは「一般的な知識(技術)」の習得を目指してください。
さて、
それでは早速ですが
樹脂部品の設計についてお話を進めていきます。
あなたは、
樹脂部品設計について「難しい」というイメージはないでしょうか。
とくに、金属部品の設計と比べて分かりづらいと感じていませんか?
実は、樹脂部品設計は削りだしで作る切削部品の設計と比較すると、
「考慮しなければならない要素」がたくさん存在します。
その1つは、ここまでのコラムでもお伝えしたとおり、
通常、樹脂部品を作るには『金型』が必要であり
その金型を考慮して、設計をすることが必要になることです。
そして、
もう1つ考慮しなければならない要素として
樹脂ならではの「特性」があります。
樹脂は金属とは
「大きく異なる特性」を持っています。
例えば、
金属材料で一般に広く使用されているものに「SS400」がありますね。
この材料は、JISで強度などの物性値が規格化されており、
引張強度は「400~510MPa」となっています。
これは、どこのメーカーのSS400を買ってきても
強度は「400MPa以上」が保証されている、ということになります。
樹脂ならではの「特性」について
一方、金属と比べて、
樹脂はJISで物性値が規格化されていないのです。
ですので、
例えば同じPP(ポリプロピレン)という樹脂であっても
強度はさまざまです。
先ほどと同様に引張の強度(降伏応力)をざっと調べてみると
「26~41MPaと幅広い」です。
メーカーのカタログに強度の数値が記載されてはいますが、
その数値は、保証されたものではありません。
実際、メーカーのカタログをよく見てみると、
「本製品の当該用途への適用結果を保証するものではありません」
のように記載があります。
このような記載があるのは、
試験方法、成形条件、金型、あるいは設計値によっても
「材料の強度が変化」するからです。
私自身も樹脂部品の設計について10年ほど経験があります。
その際、
金属から樹脂化する際に強度の不足分を寸法増加で
対処しましたが、理論通りにはいきませんでした。
このように、樹脂部品設計は
金属と比較して設計を難しくしている要素が多いため、
設計者の悩みの元になっています。
あなたが、
これから樹脂部品設計のスタートラインに立とうとするには、
- プラスチックの特性
- 金型コストを抑えるための考え方
- 成形不良と設計の関係
など、
材料、金型、成形の各方面から
総合的に設計手法を身につけることが大切になります。
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———- ものコラム連載「樹脂部品設計」 ——————————–
第1回:非常識な成形法を使ったゼロドラフト
第2回:樹脂部品設計|なぜ「樹脂部品設計」は金属に比べて難しい?
第3回:樹脂部品設計は難しい?身につける方法を解説
第4回:「製品設計」と「手戻りの対策」について
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