強度設計のスキルを身につける近道

投稿日:2021年11月10日

 

こんにちは、MONO塾で講師をしている赤尾です。

私はこれまで初心者向けに「強度設計」に関するセミナーを多数開催してきており、受講前に、「難しい」「無理」 と不安になられていた方でもセミナー受講後には「できるかも?」に変化して頂けるまでになって頂いております。

そこでこのコラムでは、「全くの初心者がどのようにすれば強度計算ができるようになるのか?」について執筆していきたいと思います。

はじめに、どのようして教えてきたのか?をご紹介していきたいと思います。

まず、教えるにあたりまして、セミナーのコンセプトを明確にしました。

開催してきましたセミナーのコンセプトは、

  • 今まで材料力学を学んだことがない方
  • 設計初心者
  • 文系出身者

が強度設計を行うために必要な「最低限の基礎知識」を身につけて頂くこととしました。

  • 単位
  • 応力とひずみ
  • モーメント
  • 断面係数
  • 延性材料と脆性材料

などの基礎から解説して、しっかりと理解して頂くことが、次のステップへすすむために大切なことと考えたからです。
実際、実務の中でつまずいている設計者を多く見てきましたが、基礎の理解があいまいであるため思うように理解が進んでいないという方が多かったように思えます。

  • 単位換算ができない
  • モーメントの本質的な意味が理解できていない
  • 断面係数の意味や使い方が理解できていない
  • 材料の特性が理解できていない

そういったことから、セミナーでは、最低限おさえてほしい内容に特化して説明しております。

そして、「いざ、身につけた知識をどのように設計で使えばよいのか?」といった一歩踏み込んだ内容までマスターして頂けるように、ブラケットやアイボルトなどの実例を使って解説しております。

多くの材料力学の教科書では、公式をどのように活用すればよいのかがあまり書かれていないため、学習しても実務で使える知識にすることができません。私自身も機械工学を大学で4年間も学んでいながら、いざ、実務で設計すると材料力学の【使い方】がわからなかったという恥ずかしい経験もあります。

ですので、皆さんも基礎を学んだあとに同じ壁にぶつかる可能性が高いと感じています。そこで、できるだけ身近でかんたんな例で、材料力学の【使い方】を教えることが大切であると考えています。

したがって、全くゼロから学習される方にとっては少し難しい部分もあります。しかし、1回の学習で全てを理解できなくても大丈夫です。まずは基本的な公式を使って1つでも問題解決できる道筋を理解できることが先決です。

 

このコラムを読んでいただいている皆さんに一つアドバイスです。それは、学んだ題材を活用して、少しでも実務で使って頂きたいということです。

実際の設計では、さまざまな強度問題を解決していかなければならない場面に遭遇します。

そのようなときに、セミナーや書籍などで学んだ実例が当てはまるようでしたら、同じように計算してみてください。実際の設計で活用してみると理解がより進むはずです。

また、このような繰り返しを続けていくことが強度設計を身につけるための近道です。

そして、より複雑な問題を解決できるようになるのも同じ「やり方」で可能です。基礎をきちんと理解すること、そして、解決パターン(実例)をどれだけ経験しているのか?によって解決できる範囲が決まってきます。

ベテランの設計者は、長い年月を経て多くの経験をしています。つまり、様々な計算パターンを経験しているのです。この計算パターンはそれほど多くありませんので学習することでも身につけて行くことができます。

以上、本日は、「強度設計を身につける近道」というタイトルでお話させて頂きました。

最後までお読みいただきありがとうございました

次回以降は、次のテーマでお話いたしますので楽しみにしておいてください。

 

- このコラムを書いた専門家 -

赤尾 信広

S45年4月16日生 機械工学専攻修了
中型旅客機、国産ヘリコプタ構造解析
スペースジェット(MRJ)主翼・前縁・SLAT構造解析
専用機開発設計等などを経験
現在、もの塾講師 機械設計技術アドバイザー