その部品選定、本当に根拠ありますか?若手設計者が陥りやすい落とし穴

投稿日:2019年01月08日

入社から数年が経ち、操作にも慣れ、
簡単な図面なら一人で任されるようになってきた頃ではないでしょうか。

しかし、先輩や上司の過去の図面を参考にしながら、
ふとこう思うことはありませんか?

なぜ、ここでこの部品が選ばれているのだろう?

本日は、設計者が避けては通れない
機械要素の選定」における、よくある落とし穴と、
それを乗り越えるための視点についてお話しします。

もしあなたが、カタログの数値だけを見て、
あるいは「前回もこれだったから」という理由だけで部品を選んでいるとしたら、
それは将来的なトラブルの種をまいているかもしれません。

設計者が無意識に抱えている「流用設計」のリスク

実務において、過去の図面を参考にする
「流用設計」は効率化のために有効な手段です。

しかし、そこには大きな落とし穴があります。

それは、「使用条件の違い」を見落としてしまうことです。

例えば、

・モーターのパワーが少し上がった
・ワークの重量が変わった
・設置環境がわずかに変化した

そうした些細な条件変更があったとき、
「前回と同じ部品」がそのまま通用するとは限りません。

なぜそのねじ径なのか、
なぜその軸受の型番なのか、なぜその材質なのか。

その「根拠」を自分自身の言葉で説明できないまま図面を描くことは、
時限爆弾を抱えたまま機械を動かすようなものです。

万が一、納品後に破損事故が起きたとき、

「前の図面と同じにしました」

という言い訳は通用しません。

技術者として求められるのは、
工学的な裏付けに基づいた設計判断です。

現場でよくある「うっかり」設計ミス

初心者のうっかりミスとしてよくあるのが、
計算不足や形状への配慮不足です。

例えば、以下のような経験はありませんか?

・工具が入らない
 ボルトの位置を決めたものの、組み立ての段階になって
 「スパナやレンチが入るスペースがない」ことに気づく。

・干渉トラブル
 溶接構造物の隅にボルト穴を開けた結果、
 溶接ビード(盛り上がり)や隅のR形状と座金が干渉して、
 ボルトが座面まで入らない。

・軸受のはめあい公差ミス
 軸が回転する仕様なのに、軸と内輪を「すきまばめ」にしてしまい、
 クリープ(摩耗)が発生して故障に至る。

これらは、カタログのスペック表を見ているだけでは
気づきにくいポイントです。

実際の加工や組立、そして運転時の力のかかり方を
イメージできて初めて回避できるミスなのです。

ある若手設計者の「気づき」

入社2年目の設計者、Aさんの話をしましょう。

彼はある搬送装置の設計を任されました。
モーターの動力をベルトで伝える機構です。

「カタログの選定表通りに選べば大丈夫だろう」

そう考えたAさんは、
メーカーの簡易選定表だけを見てベルトの型番を決めました。

しかし、試運転の際、ベルトがすぐに緩んでスリップしてしまいました。

原因は、起動・停止の頻度や、1日の稼働時間によって変わる
「負荷補正係数」を考慮していなかったことでした。

「カタログの値はあくまで基準。
実際の使われ方を想像して、安全率を考慮しなければならない」

先輩からそう指摘されたAさんは、単に部品を選ぶのではなく、

「なぜその部品が必要なのか」

という設計プロセス全体を理解することの重要性に気づきました。

それ以来、彼はただカタログを引くのではなく、
簡単な技術計算を行い、数値的根拠を持って部品を選定するようになりました。

すると不思議なことに、設計変更を求められても、
どこをどう変えれば良いかが即座に判断できるようになったのです。

知識が繋がると、設計の景色が変わる

機械要素の基礎知識を体系的に身につけると、
業務の質は大きく変わります。

・根拠のある設計判断
 「なんとなく」ではなく、
 「計算上、この軸径なら安全率が確保できる」と

 自信を持って言えるようになります。
 例えば、軸径を決める際も、ねじりモーメントと
 曲げモーメントを考慮した強度計算が可能になります。

・トラブルへの対応力
 もし部品が破損しても、その破断面や状況から
 「せん断力がかかったのか」
 「疲労破壊か」
 を推測し、適切な対策部品を選定できるようになります。

・コスト意識の向上
 過剰品質を避け、必要な機能を満たす最適な
 市販品(鋼材や標準部品)を選ぶことで、コストダウンに貢献できます。

機械は、市販品(ボルト、軸受、モーターなど)と
設計部品の組み合わせで出来ています。

この「組み合わせのロジック」を知ることが、
一人前の設計者への最短ルートです。

実際の機械設計を追体験する「機械要素入門講座」

とはいえ、膨大なJIS規格や便覧を
最初から全て暗記するのは不可能です。

そこで、実務に必要な知識を効率よく、
実践的に学べるルートとして、以下の講座をご紹介します。

この講座の特徴は、
単なるカタログスペックの解説ではありません。

「電動リフター」という具体的な機械装置を題材に、
設計プロセスに沿って機械要素を学んでいく点にあります。

【主な学習の流れ】

1. 締結要素
 ねじの強度区分や、溶接ビードを避ける配置など、現場的なノウハウを学びます。

2. 軸・軸受
 モーターの動力から軸径を計算し、適切なはめあいの軸受を選定します。

3. 伝動要素
 ベルトやチェーンの張力計算、スプロケットの選定フローを実践します。

4. 配管要素
 ポンプの選定から、管内径の計算、バルブの選び方まで、油圧・空圧機器の基礎を押さえます。

5. 材料・加工
 SS400などの鋼材や、板金・製缶加工の知識を深めます。

教科書的な知識だけでなく、

実際にリフターを設計するならどう考えるか?

という視点で構成されているため、
学んだその日から実務に活かせるヒントが見つかるはずです。

確かな設計力を身につけたい方へ

機械設計の面白さは、
自分の意図した通りに機械が動き、役に立つことにあります。

その基盤となるのが、一つひとつの機械要素に対する深い理解です。

もし、今の知識に少しでも不安があるなら、
あるいは、より説得力のある図面を描きたいと考えているなら、
一度体系的に学んでみるのはいかがでしょうか。

講座の詳細やカリキュラムは以下のページにまとめています。

ご自身のスキルアップの選択肢の一つとして、ぜひご覧ください。

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