モーター選定、電気任せで大丈夫?機械設計者が知るべき基礎知識

投稿日:2019年01月12日

本日は、機械設計における「モーター選定」というテーマについてお届けします。

もしあなたが、日々の業務の中で

「モーターは電気や制御の担当者が決めるもの」
「メカ設計側では、モーターの取り付けスペースさえ確保しておけばいい」

と考えているなら、少しだけ立ち止まって考えてみてください。

実はその考え方が、将来的に装置の不具合や、
設計の手戻りを招く「見えないリスク」になっているかもしれません。

装置の良し悪しは「メカとエレキの境界線」で決まる

機械設計の現場において、モーター選定は誰の役割でしょうか?

「電気技術者が主体となって使用するものだと思っている機械技術者も多い」

というのが実情です。

しかし、電気技術者にすべてを任せていては、
本当に良い装置を作ることは難しいという現実があります。

なぜなら、電気技術者はモーターの制御やドライバの選定は
プロフェッショナルですが、

「モーターが動かす機械部品(メカ)」そのものを
設計することはできないからです。

歯車、ボールねじ、ベルトコンベアといった駆動機構が、
具体的にどのような「負荷(トルク)」を持ち、
どの程度の「回りにくさ(慣性モーメント)」を持っているのか。

これらを正確に把握しているのは、メカを設計したあなた自身です。

だからこそ、機械設計者がモーターの基礎を理解し、
選定に関わることが、装置の品質を左右するのです。

カタログのスペック表が読めないという壁

とはいえ、いざモーターを選ぼうとしてメーカーのカタログを開くと、
そこには高いハードルがあります。

・定格トルク、起動トルク、停動トルク
・慣性モーメント、イナーシャ比
・誘起電圧定数、時定数

こうした専門用語や記号が並んでおり、

「どこから手を付けていけば良いのか困ってしまう」

という経験はないでしょうか。

その結果、

「前回と同じ容量のモーターにしておこう」
「とりあえず大きめのサイズを選んでおけば安心だ」

といった、根拠の薄い選定に流れてしまうことも少なくありません。

しかし、その「とりあえず」が、

装置の振動、発熱、
あるいはコスト高の要因になっているとしたら どうでしょう。

ある若手エンジニアの「気づき」

ここで、架空の若手エンジニア、Aさんの事例を通して考えてみます。

Aさんは入社2年目。
ベルトコンベアの設計を任されました。

彼は

「ワークとベルトの総質量が20kgだから、
それを動かせる出力のモーターを選べばいい」

と考え、大まかな計算でモーターを選定し、
電気担当に依頼しました。

しかし、試運転の際、コンベアは動きましたが、
停止するたびに「ガコン」という大きな衝撃音が発生し、
ワークがズレてしまいます。

原因は「慣性モーメント(イナーシャ)」の検討不足でした。

モーターのパワー(トルク)は足りていましたが、
負荷の「止まりにくさ(慣性)」に対して、
選定したギヤヘッドの強度が合っていなかったのです。

あるいは、モーター軸と負荷の「イナーシャ比」が
適正範囲を超えており、制御が不安定になっていた可能性もあります。

Aさんは気づきました。

「ただ回ればいいわけではない。
『加速・一定速・減速』という運転パターン全体で
負荷を計算しないと、まともな設計とは言えないんだ」

と。

彼はその後、

・この機構にはどの程度の減速比が必要か
・負荷慣性モーメントは許容値に収まっているか

を自ら計算できるようになり、
電気担当者とも対等に仕様を議論できる設計者へと
成長していきました。

モーターを知ることで変わる設計の質

機械設計者がモーターの知識を身につけると、
業務の質は劇的に変わります。

【1】設計の最適化とコストダウン

「機械に合わせてモーターを決める」だけでなく、
「モーターの特性に合わせて機械側を軽量化する」

といった判断が可能になります。

これにより、ワンサイズ小さなモーターを選定でき、
装置のコストダウンや小型化が実現します。

【2】トラブルへの的確な対応

「位置決めがズレる」「振動が大きい」といったトラブルが起きた際、

・機械的な剛性不足か
・モーターの脱調(ステッピングモーターの場合)か
・イナーシャ比の問題か

を切り分けて考えることができます。

【3】適切なモーター種類の使い分け

・一定速 → 誘導モーター
・簡易位置決め → ステッピングモーター
・高速・高精度 → サーボモーター

それぞれの特性を理解し、用途に最適な
アクチュエータを選択できるようになります。

知識ゼロから実務選定までの学習ルート

本講座は、単なる知識の羅列ではなく、

「機械設計者が自力でモーター選定を行えるようになること」

をゴールに設計されています。

【学習のロードマップ】

■ 基礎知識(第1章~第2章)
モーターとは何か、トルク・回転速度などの基本用語を
工学的基礎から解説します。

■ 種類の理解(第3章~第6章)
DCモーター、ACモーター、ステッピングモーターなど
主要モーターの構造と原理を網羅。
脱調リスクや回避方法も学びます。

■ 制御と計算(第7章~第8章)
オープンループ/クローズドループ制御の違い、
慣性モーメント計算をExcelを用いて実践的に習得します。

■ 実務選定シミュレーション(第9章)

「使用環境確認」
→「駆動機構確認」
→「要求仕様決定」
→「仮選定」
→「検証」

というプロの選定フローを体験します。

確かな設計力を身につけたい方へ

モーター選定は、機械設計者にとって

「避けては通れない壁」であり、
乗り越えれば「大きな武器」になるスキルです。

電気技術者任せにするのではなく、
自らの計算と論理で、
自信を持ってアクチュエータを選定できるようになりたい。

そうお考えの技術者の方にとって、
本講座は確かなガイド役となるはずです。

講座の詳細なカリキュラムや、具体的な学習ステップについては、
以下のページにまとめております。

▶︎ 機械要素入門講座(モーター編)はこちら

皆様のさらなる飛躍を心より応援しております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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