設備のベンチマークの重要性について|他社を調査・比較・分析して自社に取り入れる手順を解説!

投稿日:2021年10月20日

category:

あなたは「ベンチマーク」を行っていますか?

もしかすると、これまでにベンチマークを行ったことがない、ベンチマークとは何?という方も多いのではないでしょうか。

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、今後新しい商品・サービスを開発、改良していく上で重要となりますので、ぜひこの機会に学んでみましょう。

ベンチマークとは、おおまかに説明しますと「他社の商品・サービスなどを分析することで、優れた部分を自社に取り入れ改善していく手法」になります。

このような方法は、新規サービスの開発や既存事業の改善などを行う際に非常に役立ちます。なぜなら、ベンチマークを正しく行うことで、客観的な基準を持つことができ、先進的な取り組みを自社に取り入れていくことができるからです。

そこで今回は、設備を対象にどのようなベンチマークの方法があるのか、また具体的にどのような方法で課題の解決に活かすことができるか、ということを理解していきます。ぜひあなたのお仕事に取り入れてみてください。

 

なぜ設備のベンチマークが必要なのか?

製造業に限らず、サービス・商品を取り扱う会社は、自社の製品・サービスを提供し続けるために、継続的な利益を創出し続ける必要があります。

そして、そのためには「顧客満足度を調査し、サービス向上を図る」ことや「高機能・高品質な製品を、より早く、より安価で製造する」といった努力を続けることが大切です。

日々、技術は進化を続けています。ですので、わたしたちは目先の仕事に集中するだけでなく、自社が置かれている状況を正確に把握し、未来に向けて成長する取り組みを行わなければいけません。

それでは、設備について考えてみましょう。

設備の検討については「製品開発後に実施すれば良い」というように考えられがちです。ですが、実は製品開発段階の検討不足により、製品製造が困難な場合や無駄が生じるケースが少なくありません。

そのような無駄を省くために、製品開発と同時進行で工程管理や品質管理の仕組み、製造設備の検討を進めるという方法があります。このような取り組みを行うことで、他社に差をつけることができ、より高品質な製品を早く安く提供できることが可能となります。

また、企業が開発競争に勝ち残るためには、高品質で生産性の高い設備が不可欠です。そのような情報は、他社設備のベンチマークを行うことで、実現に向けた「役立つ情報」をいち早く掴むことができます。

 

調査方法

それでは、具体的にベンチマークの調査方法について見ていきましょう。
ここでは4つの方法を説明していきます。

設備のベンチマークを進める前に、
まずは「自社を取り巻く環境」を調査することが重要です。

以下に調査方法の一例を示します。

1)顧客ニーズとシーズの調査

自社製品を購入いただいたお客様にアンケートを実施します。お客様に、今後欲しい製品や機能について記入いただき、顧客要求を確認するのです。

アンケートでは「製品が売れた理由、満足いただけた部分、製品に対する不満など」を明確にしていきます。

そして集計されたアンケート結果を元に、お客様のニーズを捉え、それに応えられるよう改善を図ることで、より良い製品をお客様に提供することに繋げていきます。

また、集計されたアンケート結果から、それぞれのニーズを書き出し、会社として「今後どの様な技術開発を進めることが望ましいか」ということについて、関係者を集めて議論を行うことも重要です。

そうすることで、技術シーズ(提供する技術や商品)をリストアップすることができ、より良い製品を安く提供するためのアクションに繋げることができます。

このようにアンケートを使った情報収集は、顧客第一とした製品やサービスの提供が進められると共に、未来の製品開発や設備開発に取り組む方向性を決めることができるメリットがあります。

2)市場動向の調査

次に、市場動向の調査です。

ここでは、地球温暖化対策として脱炭素社会の実現を一例に説明します。

皆様もご存知の通り、昨今の社会情勢の中では、エネルギー事業を始めとする産業界の事業構造に大きな変化が生じています。

「このような状況の中、はたしてCO2排出量が多い新製品を開発しても、飛ぶ様に売れるでしょうか?」

おそらく、難しいでしょう。
このような製品は時代の流れと逆行していますし、この先CO2排出量が多い製品の輸出規制が掛けられることも考えられます。

そのような場合、CO2排出量が多い製品を取り扱う企業は、大きな製造設備をしてしまうと、将来的に多額の固定資産を抱え、大損失に繋がってしまう可能性があります。

ですので、
「世界及び国の方針による自社製品への影響等は無いか」というような、日々の社会情勢は常に確認しておくことが重要です。もし関連する情報を取得した場合は、定期的に社内で情報共有を行うようにしてください。

また、逆に「政府や自治体が後押ししている」というような場合には、補助金が適用されるなどのメリットがありますので、この様な情報は有効に活用していきましょう。

このように、市場動向を考慮した上で、設備改善や設備導入の検討を行います。

3)競合他社の動向調査

次に競合他社の動向調査です。
競合他社の情報を収集する方法はいくつかあります。

一例として、製品や製造設備の情報を収集するためには「メーカのホームページを検索する」「商社に協力してもらい競合他社のカタログをもらう」という方法があります。

また少額の製品であれば「他社の商品を購入し、分解調査を行う」こともあります。実際に手に取ることで内部構造を正確に把握し、自社と異なる技術が適用されている点を比較することができます。

このような方法を使い、自社と競合他社の製品や製造方法の違いを比較することは、常に自社の技術を客観視して評価することができるためとても重要です。

4)新技術開発の状況や特許情報収集

最後に新技術開発の状況や特許情報収集、について説明します。

新技術開発や特許情報を収集する方法として、
お客様と直接交渉をしている「営業や現地に直接出入りするサービス技術者」から、他社情報を入手する方法があります。

お客様と接触する機会がある営業や技術者には、出張時に確認して欲しいチェック項目を事前に連絡しておけば、出張報告書を関連部門で情報共有することにより有効な情報を共有することが可能です。

「特許検索」については、J-PlatPatの様な無料のサイトが有名ですが、高度な検索を行う場合や新着公報サービスを利用される場合は、市販ソフトを活用することをお勧めします。

また、特許検索の市販ソフトの一例として、PatentSQUAREやJP-NET等があり、各ソフトの特徴と費用を確認し、用途に適合したものを選定されると良いでしょう。

市販ソフトの検索エンジンによっては、AI検索機能があり複数の検索条件の中から適合ポイントが高い順に並べてくれるものや、キーワードが思い付かない場合に曖昧なキーワードで検索可能な機能等があり、無料版よりも素早く有効な情報が得られるのが特徴です。

「特許新着公報サービス」は、事前に検索キーワードやIPC分類を登録することで、定期的に競合他社の特許新着公報、特許出願状況がメール配信されるサービスです。

このサービスは無料版のサイトには無く、市販検索ソフトを利用している場合のみ利用可能です。

検索式の記入例:
例えば打撃というキーワードを「A」とし、類義語となる言葉「インパクト」「振動」を( )内に入れ+で繋ぎます。これで打撃、インパクト、振動の何れかが含まれているキーワードを漏れなく検索出来ます。

同様にBの検索キーワードを設定します。*マークは、*で接続された全てのキーワードが含まれたものを抽出します。この様な検索方法で漏れ無く検索出来ますが、実際に検索したく無い特許情報が含まれてしまうことが多くあります。この様な場合、除外したいキーワードCを設定します。

Cの設定例としては、打撃などのキーワードに付随し、野球ゲームやパチンコ、田植え機等の特許が沢山検索されてしまうので、(野球ゲーム+パチンコ+田植え機)の様に設定し、-記号を付けることで検索したく無い特許を除外して検索することが出来ます。

この様な検索式を予め新着公報サービスにセットすることで、定期的に欲しい情報の特許が検索されます。

また出願された特許についてはパテント調査により、同業他社が昨今出願されている技術分野や開発動向を視覚化出来、同業他社がどの分野に注力しているかを一目で確認することが出来ます。

以上の様な方法を活用し、労力を掛けずに競合他社の情報を収集することをお勧めします。

 

調査結果の比較と分析

これまでに行った調査結果をもとに、以下6点を整理しましょう。

  1. 顧客アンケートの整理(満足⇒他製品へ展開を検討、不満⇒製品の改善を検討)
  2. 未来の製品開発(ニーズ・シーズ技術)
  3. 市場動向の変化
  4. 競合他社の技術動向
  5. 自社と他社の強みと弱みを把握(改善)
  6. 未来に向けて注力すべき製品開発と設備開発

まとめ

整理された情報から、会社としてどのような取り組みを行うか具体的に決定していきます。ここまでの一連の流れを実行することで「設備ベンチマーク」が完了となります。

  • 設備仕様検討(ニーズ、シーズ技術からどの様な設備が必要とされるか)
  • 製品要求仕様を実現する設備仕様を明確化、概算見積り取得
  • 設備改善および設備導入による投資対効果、実現性確認
  • 設備改善や設備導入リストを作成し、優先順位を決定

さて、いかがでしたでしょうか。
ここまでの説明で、どのようなベンチマークの方法があるのか、また具体的にどのように行うのか理解できたでしょうか。

ベンチマークは、定期的に実施することが大切です。
少し難しいと感じた方もいるかと思いますが、ぜひ実際にベンチマークを行い、定期的に行えるような仕組みを構築してください。

ベンチマークの取り組みは、日々変化する市場動向調査と技術動向を正確に捉えながら、製品開発、製造工程の検討や品質管理の仕組みを考えることができます。

上手に取り入れることで「最適な設備改善、設備導入」へ向けた計画作りができることでしょう。