機械や電子機器に求められる耐環境性能とは

投稿日:2022年03月04日

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機械や電子機器を開発・設計する上では、製品が周囲の環境によって壊れないか、適切な耐久性を持っているかを確かめることは欠かせません。

今回は、製品の耐環境性能を確かめる方法である、信頼性試験にどのような種類があるかを詳しく解説します

製品の信頼性を確かめる際の参考としてください。

耐振動・衝撃試験

振動・衝撃試験は、機械や部品が振動によって壊れないかを確かめる試験です。

自動車や船舶、航空機などは特に激しい振動がかかるため、厳しい試験が行われます。

振動には振動方向や周波数など、さまざまな条件があるので、実際の使用環境にあった振動をかけることが重要です

振動・衝撃試験には、用途によって以下のような種類があります。

  • 正弦波振動試験:正弦波の振動を与える試験
  • ランダム波振動試験:実際の環境に近いランダム振動を与える試験
  • 衝撃波振動試験:何かにぶつかった時のような衝撃を与える試験
  • シャルピー衝撃試験:試験片に強い衝撃を与え、靭性を確認する試験

温度試験

温度試験は、製品が温度変化で受ける影響を確認する試験です。恒温槽に製品を入れ、決まった温度・湿度で試験を行うのが一般的です。

温度変化による部品形状・強度の変化はもちろん、熱による樹脂の化学反応、電子部品の破損・寿命の減少など、さまざまな可能性を考慮して試験を行う必要があります。

温度変化の速度によっても影響は異なるため、以下のような項目に分けて複数の温度試験を行います。

  • 高温・低温作動試験:動作温度範囲の最高・最低値で製品を一定時間動作させる試験
  • 高温・低温放置試験:保存温度範囲の最高・最低値で製品を一定時間置いておく試験
  • 温度サイクル試験:製品を動作させながら、周囲温度を高温・低温に変化させる試験
  • 熱衝撃試験:一瞬高温になるよう周囲温度を調整し、温度変化による影響を調べる試験

耐ノイズ試験

電子機器は、周囲の電波など、さまざまなノイズを受けて誤動作する危険性があるため、耐ノイズ試験を行い、製品の各種ノイズに対する耐性を確認する必要があります。

ノイズの種類は幅広いので、主に3種類の試験を実施し、耐ノイズ性の確認を行います。

EMC試験

現代では、さまざまな電子機器から電波が放出されており、その電波を受けて周辺の電子機器が破損・誤動作する可能性があるため、EMC試験で電波ノイズに対する耐性を測る必要があります。

EMC試験は、外部から電波ノイズを与えて誤動作しないか確かめるEMS試験と、製品が出す電波ノイズが周囲に影響を与えないか確認するEMI試験に分かれています。

どちらの試験も大規模な設備が必要であり、試験センターで設備を借りて試験を行うのがほとんどです。

静電気試験

人が触った時などに生じる静電気は、瞬間的に数kVの電圧が発生するため、電子機器への影響は小さくありません。

静電気試験は、製品の各部に静電気と同様の電圧を印加(いんか)し、製品にダメージが入らないかを確認します。

電源電圧変動、瞬時停電試験

電気で動く製品の場合、電源が正常に印加(いんか)されないと製品が誤動作する原因となります。

電源は基本的に電圧が変動しないよう工夫されていますが、短時間の電源電圧低下や、雷などによる一瞬の停電などは生じえるため、対策は必須です。

この電源電圧の異常に対する耐性を測るのが、電源電圧変動試験と瞬時停電試験です。

電源電圧変動試験では電源電圧を変動させ、瞬時停電試験ではミリ秒単位で電源を停電させて正常に動作するか確認します。

耐水・防塵試験(ぼうじんしけん)

屋外や工場などで製品を使う場合、雨や粉じんによって製品の故障・誤動作が生じる可能性があります。

また、普段は水や塵埃(じんあい)のない環境で使っている機器であっても、スマートフォンを水没させてしまうなど、状況によっては水に触れる可能性があるので、何かしらの防水試験を行う場合は多いです。

耐水試験と防塵試験(ぼうじんしけん)はどちらも水や粉じんを掛ける試験なので似ていますが、耐水試験では加圧した水に水没させるなど、より厳しい試験を行うこともあります。

ちなみに、耐水・防塵試験の規格としては「IP規格」が有名です。「IP67」など、末尾の数字でどの程度の耐水・防塵性能があるか一目でわかるようになっています。

耐候性試験

樹脂などでは特に顕著ですが、製品を屋外に置いていると太陽光や雨、温度・湿度変化などの影響を受けて劣化します。

この自然環境による劣化度合いを評価するのが耐候性試験です。試作機を屋外に置いて評価すると時間がかかりすぎるので、試験機で人工的に屋外の環境を再現させ、より厳しい環境に置いて加速試験を行います

使用する場所の気象条件に合わせて、温度や日光の強さを調整するほか、製品の材質に合わせて照射する光の波長を変えることもあります。

耐久性試験

要求される機能を満たした場合であっても、使用期間内に部品が寿命を迎え、破損してしまっては問題となります。

同時に、製品が破損した際、発火するなど危険な壊れ方をしないかも確認しなければなりません。

これらを確認するため、長期間製品を動作させた際に、寿命や壊れ方を確認するのが耐久性試験です

機械の寿命は数年単位となり、開発中に長期間のテストを行うわけにはいかないので、使用条件よりも厳しい負荷を掛けながら動作させる加速試験を行うのが一般的です。

まとめ

今回は、機械や電子機器を開発するうえで欠かせない、信頼性試験の主な試験項目についてお伝えしました。

信頼性試験は、製品の使用中に予期せぬトラブルによって製品が破損することを防ぎます。

製品の機能や用途によって外部環境は大きく変わり、求められる性能も変わることから、信頼性試験を行うには十分な安全性を保てるよう基準を決めることが欠かせません。

想定外の不具合を発生させないためにも、試験内容をしっかりと把握して試験内容を決めるようにしましょう。

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