設計者がすべき仕事がはかどる現場での行動

投稿日:2022年03月02日

category:

仕事の依頼を受けた設備設計者が現場確認に向かう際に、手ぶらで出かけていませんか?

どんなモノを設計するときでも、一番始めにその機械を実際に設置する場所(現場と呼ぶ)を見ておくものです。その際に、あなたが部下や後輩を2,3人連れていけるといいのですが、そのような状況ではなく、1人で現場を確認することになった場合どうしますか?

「現場確認をしたいのだけど何を準備すればいいの?」

と周りに聞ける環境があればいいのですが、そのような環境が無い設備設計者にとって、この記事が参考になってもらえればと思います。

現場に向かう前の準備

よく現場に向かう際に多くの道具を抱えて現場に向かう設計担当者がいますが、現場に向かう準備が出来ていないと、あれこれと多くの計測グッズを抱えて行くことになります。

必ず、以下の準備を行うようにしましょう。

設計の依頼者を誘うこと

依頼人はいつも忙しいのに誘うと失礼だ、と勘違いしている人がいるかもしれません。依頼主がたとえ忙しくても、現場を確認する際は一声誘ってみてください。

設計は依頼人がいるから仕事が存在します。現場確認は、その依頼人とコミュニケーションを積極的にとれるチャンスです。

又、設計担当者のあなたが、現場確認を行うこということは、「これから設計業務をスタートします」と依頼者に宣言していることになります。その際に、依頼主が「ちょっと現場で相談したいことがあるんだよね」ということがよくありますので、その相談事を聞くチャンスがあるかもしれません。

それを設計に反映させることが設計者にとって最も重要です。

実際に業務を行うために移動手段と交通費予算を想定しましょう

すでに設計の予算が決まっている場合でも、実際に現場に向かうための費用と移動手段はあらかじめ調べておく必要があります。その理由は、設計に着手してから設計完了までの期間で、その現場まで何度足を運ぶ必要があるかを推定し、最も効率的に設計ができる場所(拠点)を確保しておく必要があるからです。

現場に入る為の許可をもらう

機器を設置する現場の管理者と設計の依頼人が異なる場合、現場確認を行うために事前の許可を得なければいけません。勝手に現場に入れない工場や立入制限されている施設での現場確認では、必ず事前に許可を得てから現場に向かうようにしましょう。

「事務所に戻って確認します」が非常に面倒

現場に出向く際に、一番気を付けなければいけないことは、情報確認のために事務所との往復(出戻り)を減らすことです。現場に来たにもかかわらず、資料を持ってきていない等の理由で詳細が確認出来ない様な状態にならないようにしましょう。

なぜなら、現場確認の際に、依頼人と打合せを行うことになることが多いからです。その時に依頼人から機器の性能や設計条件等について質問された際に、答えられるようにしましょう。そうすることで、その場で様々な機器の仕様が決定できるため、設計期間が大幅に短縮できます。

又、設計者が現場で確認すべきことは「現場の採寸」だけではありません。

同じ設計チームで現場に同行できていないメンバーがいれば、そのメンバーが確認しておきたいことも解消してください、そのメンバーが現地に来る手間を減らすことにつながります。その為、現場確認をしている時間は、他のメンバーといつでも連絡が取れるようにしておくとよいです。

現場確認する際のチェックポイント

現場確認をする際にいくつかチェックポイントがありますので以下を参考にしてください。

機器を現場に設置することをイメージして現場確認を行うことが重要です。

項目 内容
1 設置スペース 機械装置を設置するスペースはあるかを確認する。その際に、「メンテナンススペース」や操作する作業員の移動ルートがあるかも確認すること。
2 搬入ルート 搬入の際に通過できる制限サイズを門、扉や各フロアの階段等で確認する。
3 重機が使用できるか 機器搬入するために、設置場所の周辺で重機が使用できるか等も確認しておく。 周辺の道路幅等をメモしておくとよい。
4 周囲で振動する機器の有無 現場周囲の振動対策の有無を確認し、必要かどうかを判断する。
5 装置固定法 機器をどのように固定すべきかを確認すること。床面がコンクリート面であればアンカーボルト固定が一般的である。
6 特殊な環境であるか 機器を特殊な環境下で使用するのかを確認する事。 (例)
クリーンルーム・・・発塵禁止
恒温室・・・放熱禁止
危険物滞留場所・・・防爆構造限定
7 設計理由 装置の導入原因を現場や経緯を現場で確認しておくこと。

設計者にとって持ち歩くと便利なモノを紹介

現場に持ち込んで役に立つツールを紹介します。

レーザー距離計


引用元: ボッシュ製レーザー距離計モデルZAMO

20~50m迄現場の寸法をレーザーで測定することができ、寸法精度は数ミリ程度である為、現場の計測にはもってこいのツールです。

値段は1万程度で購入できます。

ポケットに入るサイズであるので現場確認の際に邪魔になることがありません。

一人で計測したり、屋内を計測したりする際は非常に役に立ちます。

ただし、昼間の屋外で使用する際はレーザー光が見づらいので注意です。

天球カメラ


引用元: 360°カメラRICOH製THETA Z1

現場でカメラ撮影が可能であれば、360°カメラがお勧めです。

1プッシュで全方向の撮影が可能なので、写真を持ち帰ってから見返したい際に
撮り漏らしがありません。

カメラもコンパクトであり、操作も簡単なので、すぐに使えるようになります。

撮影データを閲覧する際は専用のビューアソフトで見る必要があります。

チョーク&チョークホルダー

意外に感じるかもしれませんが、チョークは屋外で計測したり、簡単にメモを取る際にマーカとして使用でき、使い方は多岐にわたります。現場で打合せを行う際に、現場にチョークで図を書いて仕様の確認を行うこともできます。

又、雨で洗い流せる為現場を汚すことなく使用できるので現場調査の際は1本持っておくことをお勧めします。

タブレットPC

現場で写真撮影し、その場で注釈が入れられる為、現場状況のメモが簡単に残すことができます。

さらにその場で、メンバーへ情報共有が行えるので、現場確認の記録作成の時間短縮になり、作業効率化には欠かせないツールです。

情報はいつでもどこでも見れるようにしておく

現場で知りえた情報をきちんとメンバーに共有していますか?

そのメモを自分のパソコンの中にしか保存してしていないため、他のメンバーにはきちんと現場確認の記録が伝わっていない人は要注意です。

現場確認をしていない他のメンバーに現場の状況を正しく伝え、その記録を残しておくことが現場確認者の責務となります。

さらに、共有フォルダーやクラウドサービスを利用して、どの場所にいても自由にデータを閲覧できるようにしておくと、情報のやり取りにかかる手間がかなり削減されるはずです。

ぜひ一度、社内の情報共有がどのように行われているか見直しをしてみましょう。