第3回:複数部品の公差、どう積み上がるか計算していますか?

投稿日:2026年09月10日

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第2回のメルマガでは、
サイズ公差だけでは表現しきれない
形状・姿勢・位置などのばらつきを制御する
「幾何公差」についてご紹介しました。

本日が、全3回のメルマガシリーズの最終回です。

第1回・第2回はこちらからお読みいただけます。
→ 第1回
→ 第2回

第3回は、サイズ公差と幾何公差を数値でつなぐ
「公差解析」についてご紹介します。

複数部品の公差、どう積み上がるか計算していますか?

一つひとつの部品に適切な公差を設定していても、
複数の部品を組み立てたときに、
公差がどのように積み上がるかを確認する必要があります。

たとえば、

・部品Aの公差が±0.1mm
・部品Bの公差が±0.1mm
・部品Cの公差が±0.1mm

だった場合、ワーストケース法では、
製品全体で最大±0.3mmのばらつきになります。

このように、各部品の公差が
製品全体へ与える影響を数値で確認する手法が
「公差解析」です。

WC法とRSS法、2つの計算手法

公差解析には、代表的な2つの手法があります。

・WC法(ワーストケース法)

各部品の公差の絶対値を、
単純に足し合わせる方法です。

最も不利な組み合わせを想定する保守的な計算方法で、
安全上重要な箇所や、
不適合を極力許容できない設計などで用いられます。

・二乗和平方根法(RSS法)

各公差を二乗して合計し、
その平方根を求める方法です。

統計的な考え方に基づいて、
製品全体のばらつきを見積もります。

先ほどの例をRSS法で計算すると、
製品全体のばらつきは約±0.17mmとなります。

各部品のばらつきが互いに独立し、
工程が安定しているなどの条件が満たされる場合には、
WC法よりも現実に近いばらつきを見積もることができます。

どちらの方法にも特徴があるため、
製品に求められる安全性や品質、
部品点数などに応じて使い分けることが重要です。

なぜRSS法では、公差を緩められるのか

RSS法の背景にあるのが、
ばらつきを統計的に捉える考え方です。

工程が安定し、平均値が狙い値付近にある場合、
加工によるばらつきは
正規分布に近い形を示すことがあります。

正規分布では、
平均値と標準偏差(シグマ)によって分布の形が決まり、
平均値を中心とした±3シグマの範囲には、
約99.7%が含まれます。

また、各部品のばらつきが互いに独立している場合、
すべての部品が同時に最も不利な状態になる可能性は
低いと見積もることができます。

こうした前提が満たされる場合、
RSS法ではWC法よりも
現実に近いばらつきを見積もれます。

その結果、各部品の公差を緩められる可能性があり、
加工コストの削減につながる場合があります。

見落とされがちな「がた」の影響

公差解析でもう一つ見落とされがちなのが、
「がた」の影響です。

軸と穴を「すきまばめ」で組み合わせる場合、
それぞれがサイズ公差の範囲内であっても、
軸と穴の間にはすきまが生じます。

最大でどの程度のすきまが生じるかを計算すると、
想定していたよりも大きな「がた」になることがあります。

特に、関節を持つ機構など、
複数の箇所ではめあいが連なる構造では、
1か所ごとの「がた」がわずかでも、
積み重なることで無視できない誤差になります。

「精密に位置決めしたはずなのに、なぜかブレる」

という場面に心当たりがある場合は、
この「がた」の累積を見落としている可能性があります。

公差解析を実務に落とし込む

公差解析で重要なのは、
計算方法を知るだけでなく、
結果を実際の設計判断につなげることです。

・複雑な構造を、簡単な模式図である「ポンチ絵」にして整理する
・部品のつながりを、一筆書きのように寸法のループとして捉える
・公差解析表を使って、計算過程を管理する
・解析結果が設計目標を満たしているか確認する
・影響の大きい部品から、優先的に公差を見直す

こうした手順を踏むことで、
公差解析の結果を実際の設計へ反映できます。

さらに、

・感度:寸法の向きや機構によって影響度が変わること
・熱膨張:温度変化によって生じる寸法変化

なども考慮することで、
より実際の使用環境に合った公差設定が可能になります。

公差を「決めて終わり」にしないために

公差設定は、一度決めたら終わりではありません。

設計時に公差値を決め、
図面を通じて設計意図を製造現場へ伝えます。

量産後は、Cp・Cpkによる工程能力の評価を通じて、
製品のばらつきや平均値の偏りを確認し、
その結果を次の設計へ反映します。

このように、

「公差を計画する」
「図面で伝える」
「量産後の状態を確認する」
「次の設計で改善する」

という流れで、継続的に公差設定を見直していきます。

さらに、測定機の選び方や、
測定値にどの程度のばらつきが含まれるかを示す
「測定の不確かさ」も考慮する必要があります。

量産後に公差の妥当性を確認する知識まで身につけることで、
公差を「決めて終わり」にしない
実務的な公差設定ができるようになります。

まとめ:3つの力で、根拠を持って公差を決める

・サイズ公差(正しく描き分ける力)
・幾何公差(機能に合わせて使いこなす力)
・公差解析(数値でつなぐ力)

全3回にわたってご紹介したこの3つの力を、
『公差設定入門講座』では体系的に学びます。

3つの力を身につけることで、
公差を「なんとなく」決める状態から、
根拠を持って決められる状態へ変えていきます。

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カリキュラム内の以下の章を開き、
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  • 第1章「公差設定の概要」
  • 第2章「サイズ公差とは」
  • 第5章「幾何公差の現状」
  • 第6章「幾何公差の付加記号」

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ものづくりウェブ事務局