第2回:サイズ公差と幾何公差、2つの公差を混同していませんか?

投稿日:2026年08月27日

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公差設定入門講座』のリリースに合わせてお届けしている、
全3回のメルマガです。本日は第2回をお送りします。

第1回では、公差設定の基本となる「サイズ公差」について、
図面表記のルールや、はめあい公差の考え方をご紹介しました。

まだご覧になっていない方は、こちらからお読みいただけます。
→ 第1回を読む
 
サイズ公差は、長さや角度などの寸法について、
許容できる範囲を示すものです。

一方で、部品の形状のゆがみや傾き、位置のずれといった
幾何特性までは、サイズ公差だけでは表現しきれません。

第2回は、サイズ公差だけでは伝えきれない
幾何公差」についてご紹介します。

なぜ幾何公差が必要なのか

これまで日本の製造現場では、
高い加工技術や、設計・製造部門の間にある暗黙の了解によって、
図面に細かな幾何公差がなくても、
設計意図を補ってきた面があります。

しかし、海外生産や海外調達が広がる中では、
同じような暗黙の了解が通用するとは限りません。

サイズ公差だけに頼った図面では、
形状や位置、姿勢についての設計意図が正確に伝わらず、
品質トラブルにつながる可能性があるのです。

相手が変わっても同じように図面を解釈できるように、
形状・姿勢・位置などの許容範囲を
図面上で明確に指示する必要があります。

幾何公差の4つの分類

幾何公差は、大きく4つに分類されます。

形状公差(真直度、平面度など)
 形体そのもののゆがみを制御します

姿勢公差(平行度、直角度など)
 基準に対する傾きや向きを制御します

位置公差(位置度、同軸度など)
 基準に対する位置を制御します

振れ公差(円周振れ、全振れなど)
 部品を回転させたときの振れを制御します

幾何公差の基礎知識

幾何公差を理解するうえで重要になるのが、
データム」という考え方です。

データムとは、姿勢や位置を評価するときに
基準となる面・線・点などのことです。

形体を単独で評価するものを「単独形体」、
データムとの関係で評価するものを「関連形体」と呼びます。

また、サイズ公差に普通公差があるように、
幾何公差にも「普通幾何公差」があります。

図面でJIS B 0419の適用と公差等級を指定した場合、
個別に幾何公差を指示していない形体には、
普通幾何公差を適用できます。

JIS B 0419では、
H・K・Lの3つの公差等級が定められており、
必要な加工精度に応じて選択します。

「サイズ公差では防げない不具合」とは

たとえば、2点間の距離を測るサイズ公差だけでは、
面のうねりや傾きといった「いびつさ」までは防げません。

部品が長くなるほど、
わずかな傾きが組み立てに与える影響も大きくなります。

穴の位置についても、
縦・横方向のサイズ公差で指示すると、
公差域は四角形になります。

一方、幾何公差の「位置度」を使えば、
実際の組み立て機能に合った
円形の公差域で指示できます。

こうした違いを理解しないまま設計を進めると、

「計算上は問題ないはずなのに、
 量産段階で不具合が発生する」

という事態につながる可能性があります。

幾何公差は、コスト削減にもつながる

幾何公差と聞くと、
これまでより公差の管理が厳しくなる
というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、サイズ公差だけで形状や位置まで管理しようとすると、
必要以上に厳しい公差を設定してしまうことがあります。

形状や位置を幾何公差で的確に指示することで、
不具合を防ぎながら、
加工費や検査コストを抑えられる場合があります。

さらに、最大実体公差方式などを活用すると、
はめあいに必要な機能を維持しながら、
実際の部品寸法に応じて
幾何公差を緩められる場合があります。

守るべきところは守り、緩められるところは緩める

このようにメリハリをつけることが、
適切な公差設定につながります。

まとめ

幾何公差は、
サイズ公差だけでは伝えきれない設計意図を
図面上で明確に表現するための手段です。

公差設定入門講座』では、
幾何公差の4分類や図示方法、データムの考え方に加え、
最大実体公差方式(MMC)や突出公差域などの
応用的な使い方まで体系的に学びます。

これにより、幾何公差を
機能に合わせて使いこなす力」を身につけます。

サンプル動画のご案内

講座ページでは、実際の講義動画の一部を
サンプルとしてご覧いただけます。

カリキュラム内の以下の章を開き、
「サンプル動画を見る」ボタンからご覧ください。

・第1章「公差設定の概要」
・第2章「サイズ公差とは」
・第5章「幾何公差の現状」
・第6章「幾何公差の付加記号」

カリキュラムとサンプル動画を見る

今回は、「幾何公差」についてご紹介しました。

次回は、9月2日(水)にリリースする
『公差設定入門講座』の詳しい内容と、
リリース記念キャンペーンについてご案内します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ものづくりウェブ事務局