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圧力損失や熱伸び対策等の現場で生かせる配管設計の実務ポイントを紹介

投稿日:2026年08月17日

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配管設計は、機器と機器をつなぐだけの作業に見えるかもしれません。しかし、実際には、流体、圧力、温度、材料、施工性を同時に考えて設計しなければなりません。私の経験上、配管は正直で、設計者が見落としたことを、運転後にしっかり現場で教えてくれます。

ただし、その教え方は少し厳しめで、漏えいや流量異常として現れるのです。

配管設計で特に重要になるのが、圧力損失熱伸び操作性です。これらを感覚だけで判断すると、運転後に思わぬ不具合が起きることがあります。

たとえば、配管径を小さくしすぎると、必要な流量を確保できなくなります。反対に、配管径を大きくしすぎると、材料費や施工費が過大になります。また、高温配管では、温度上昇によって配管が伸びることを考えなければなりません。この伸びを逃がせない設計にすると、配管や機器ノズルに大きな力が発生してしまうのです。

本記事では、配管設計で気を付けるポイントを実務目線で整理します。さらに、設計判断の根拠となる理論式もできるだけ取り入れて解説していきます。

このコラムを書いた人

機械系プラントエンジニア
国内化学プラントで機械設計や建設工事を10年以上経験。危険物製造設備、発電・ボイラ設備・排水処理設備、研究施設の多種多様な設計・調達・工事に携わり、その知識をコラムにて発信中。現場でも活かせる専門知識を、日本のモノづくりに活かしてもらいたい!という強い思いを持っている。

圧力損失を考慮しよう

配管設計で最も基本になるのが、流体が流れることで生じる圧力損失です。この圧力損失とは、配管内を流れる流体が摩擦や曲がりで失う圧力のことです。

圧力損失が大きい配管では、ポンプやブロワーに大きな能力が必要になります。そして、設計時に圧力損失を小さく見積もると、運転時に必要流量が確保できません。この問題を解決するために、圧力損失を求める代表式として、ダルシー・ワイスバッハの式があります。

ここで、⊿Pは圧力損失、fは管摩擦係数、Lは配管長さ、Dは管内径、ρは密度、vは流速を表します。これは、配管長さLの間にある流体の圧力低下を求める式です。

この式から、配管が長いほど、また流速が高いほど圧力損失が増えるということが分かります。特に流速は二乗で効くため、配管径を小さくしすぎると流体が通過できる断面積が減って流速が速くなり(※)損失が急に大きくなるのです

(※)流量Qが同じなら、流速vv = Q/A で決まります。ここでAは配管断面積です。配管径Dが小さくなると断面積Aも小さくなるため、同じ流量を流そうとすると流速vは大きくなります。

なお、このダルシ―・ワイスバッハの式を用いるには、管摩擦係数fを求める必要があります。この管摩擦係数は、一般的に以下のパターンで求めることができるので、ぜひ計算してみてください。

【注意点】

摩擦係数をインターネットや参考書で調べると、ダルシ―摩擦係数とファニング摩擦係数の2種類の摩擦係数が出てきます。ダルシ―ワイスバッハの式を用いる場合は、ダルシ―摩擦係数を用いてください。

2つの摩擦係数の関係は、「ダルシ―摩擦係数=4×ファニング摩擦係数」となっています。そのため、管摩擦係数の種類を間違えると、値が4倍ずれてしまいますので注意しましょう。

本コラムで登場する摩擦係数は、全てダルシ―摩擦係数を指します。

流れが層流の場合はレイノルズ数で摩擦係数が決まる

層流の場合は、管内面の粗さが圧力損失に与える影響は小さいため、レイノルズ数Reだけで管摩擦係数fを求められます。(レイノルズ数Reは、流れの状態を表す無次元数です。)

流れが乱流の場合は相対粗さも摩擦係数に影響する

乱流になると、管摩擦係数fはレイノルズ数だけでは決まりません。配管内面の粗さも影響します。その粗さは相対粗さとして、以下のように定義されています。

ε:管内面の絶対粗さ、D:管内径

管内面の絶対粗さεの目安として、一般的な鋼管は約 0.05 mm程度です。もし、内面が腐食している配管やコンクリート管ですと、0.3〜数mmとなります。

乱流の場合の管摩擦係数fの求め方はいくつかあります。代表的なものとして、ムーディ線図コールブルックの式を用いると良いです。

なお、あくまで目安ですが、鋼管内を乱流状態で流れる場合の摩擦係数fは、実務上の目安としてf = 0.01~0.04程度です。管内壁が滑らかであれば摩擦係数fは小さくなります。

熱による配管の伸びを考える

配管は温度が変わると、金属の熱膨張によって伸び縮みします。この熱伸びを無視すると、配管や機器ノズルに大きな力が発生し、破損による大きなトラブルの原因になり大変危険です。

熱伸び量の計算

熱伸び量⊿Lは、次の基本式で求めることができます。

ここで、ΔLは伸び量、αは線膨張係数、Lは配管長さです。また、ΔTは温度変化であり、運転温度と施工時温度の差で考えます。

たとえば、配管が長く、温度差が大きいほど、熱による伸び量は大きくなります。高温の蒸気配管や熱媒配管では、数十ミリ以上伸びることも珍しくありません。

熱応力の計算

配管の熱伸びは、周辺設備との干渉だけでなく、伸びる方向を拘束してしまうことによる問題も引き起こします。配管が自由に動けない状態では、熱膨張が逃げられず、熱応力として残ります。完全に拘束された場合の熱応力は、概略的に次の式で表すことができます。

ここで、σは熱応力、Eは縦弾性係数、αは線膨張係数です。

計算例

仮に、SS400の平板が温度差100℃で加熱したときに、どれほどの応力で膨張しようとするかを求めてみましょう。

計算条件

  • 温度差⊿T:100 ℃
  • 縦弾性係数E:206 GPa
  • 線膨張係数α:1.2×10-5

計算

計算すると、247MPaとなり、降伏応力をわずかに超えてしまうような値になってしまいます(SS400の降伏応力は245MPa)。

熱応力を逃がす設計

熱応力を小さくする基本は、配管が自然に動けるルートを作ることです。

わざと、配管にL字やU字のルートを設けると、曲がり部がたわんで熱変位をU字の配管全体で吸収できます。一般的に、配管ルート全体の柔軟性を利用することで、機器ノズルに伝わる力を小さくする方法が多いです。

その他に、伸び量が大きい場合では、伸縮性の配管「エキスパンションジョイント」を用いる方法もあります。

また、熱応力を逃がす際に、ガイドやスライド式のサポートを配管に取り付けることも有効です。いずれの方法でも、配管の固定点からどれくらい伸びるかを想定することが大切です。

現場で使いやすい配管にする

良い配管設計は、計算上問題がないだけでは完成とはいえません。現場で安全に操作でき、点検や保全がしやすいことも重要な品質です。

操作性を考えた配管設計の例をいくつか挙げてみます。

  1. バルブは、操作頻度や安全性を考えて、無理なく扱える位置に配置する。
  2. 頻繁に操作するバルブを優先的に操作しやすい高さに整列させて、作業負担を抑えるようにする。
  3. 圧力計や温度計も、点検者が自然な姿勢で読める位置にする。

また、ドレンや空気を抜くためのノズルの配置も、実務では非常に重要なポイントです。液抜きや空気抜きができない配管は、腐食、運転不良の原因になるだけでなく、流れを阻害してしまいます。

ここで重要になるのが、配管ルーティングにおける「たまり」の考え方です。ガスと液でそれぞれ考え方が異なります。

ガスラインの液たまり防止

ガス配管の道中に低い部分がある場合、ガスの凝縮液やドレンがその部分にたまることがあります。このような部分はポケットと呼ばれ、腐食や閉塞、流量不良の原因になるので注意が必要です。

そのため、ガスラインでは適切な傾斜をつけて、液が自然に抜けるようにしなければいけません。さらに必要に応じて、低い位置にドレン抜きのノズルを設けておく必要があります。

液ラインのガス溜まり防止

液ラインではガスだまりができないようにする配慮が必要です。配管の高い部分に空気やガスが残ると、流量不足やポンプ不調の原因になります。

配管の中は最初から液体で満たされているわけではなく、空気が入った状態です。そのため、液体を流し始めてから空気が抜けるよう、しっかりとガス抜きができる配管を設計する必要があるのです。

特にポンプ吸込配管では、ガスだまりによってキャビテーション(※)が起きることがあります。さらに、液が満たされない状態で配管内を液体が流れると、流量計や計器の指示が不安定になってしまいます。

そのため、液ラインでは高い位置に空気抜き用のノズルを設けることが基本です。また、できるだけ空気が抜けやすいルートにすることも大切です。

(※)液体の圧力が下がったときに小さな泡が発生し、その泡がつぶれることでポンプや配管を傷めてしまう現象。

良い配管設計は流れ・伸び・現場を同時に考える

配管設計には、見た目には単純な配管ルートを計画しているようでも、その中には多くの検討要素があります。

圧力損失や熱応力は、配管長さや流路、配管口径、流速によって大きく変わります。その為、配管設計では、ダルシー・ワイスバッハの式や熱伸び量の計算を行い、適切な配管サイズ選択やルート決定を行います。

その他に、流体がどう流れ、配管がどういうルートをたどり、人がどう扱うかを想像し、使用しやすく設計することも大切な要素です。一つひとつの確認は地味に感じるかもしれませんが、その積み重ねが良い配管設計につながると思います。

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