第3回:【満足度とコスパ最高!】からくり改善の進め方と事例『事前準備編』

投稿日:2022年05月19日

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本からくり改善のコラムは、以下の様に9回に渡って連載を予定しています。

からくり改善の概要や進め方を知りたい方は、以下の目次を参照しバックナンバーをご参照ください。

過去2回のコラムでは、からくり改善の概要や改善の進め方の流れを説明しましたが、実務に使うには事前準備が無いと上手く進められない場合があります。

  1. 具体的な課題としては、現場ヒヤリングや現場調査で何を確認し、課題を整理し、仕様に落とし組むかが想像できない。
  2. 改善案の整理方法がわからない。

このため進め方の概要を理解しただけでは、実際に上手く進められない場合があります。

働き方改革が掲げられている現在、どの企業においても改善活動に無限に時間がある訳ではありません。

効率良く改善を進めるために、本コラムでは現場調査の準備や確認事項、課題整理方法についてご紹介します。

現場調査の確認事項と課題整理

現場状況は様々な種類がありますが、概ね以下の様に6つの事例に当て嵌めることが出来ますので、その確認事項や課題整理方法をご紹介します。

1.作業環境の調査

1)確認事項

①安全上問題がある作業の抽出

②3K作業の抽出

2)課題整理

上記の課題が抽出された際はリスクアセスメントを実施し、規程値以上のリスク値が高い場合に改善を実施する。定量的に現状レベルを数値化し、リスクが高い改善テーマに取り組む。

所定のリスクレベル以上の場合は、改善が必要と判断し改善に取組む。

リスクアセスメントの方法については、2021.11.15発行のメカトロ設計のリスク管理と安全ルールについて解説!を参照ください。

2.品質改善の調査

1)確認事項

①歩留りが悪い作業を抽出

②間違いが生じ易い作業を抽出

2)課題整理

①品質不良の頻度を数値化する。

②品質不良が発生した場合の影響をリードタイム、コストで評価する。

※コスト影響は数値で評価できるが、リードタイム増加による市場への影響を確認する。

上記のリスクを総合的に評価し、改善実施の判断に繋げる必要がある。

何故なら大量生産品における品質不良は、ラインアウトし代該部品と交換が容易だが、少量生産の製品においては、リードタイム増加は致命的な影響になる場合がある。

3.リードタイム短縮の調査

1)確認事項

①目標とするタクトタイム(生産目標時間)を確認

②現状の各工程における作業時間を確認

③目標タクトタイムに対して、作業時間が長い作業を抽出

2)課題整理

①目標タクトタイムをオーバーしている作業を抽出する。

②抽出された作業に着目し、改善すべき点を明確にする。

タクトタイム短縮案として、ライン数を増やし平行作業による時間短縮または機械化、自動化等の方法のどちらを当て嵌めるのが良いかを確認する。

4. 作業時間短縮の調査

1)確認事項

①事前に生産ラインのタクトタイム(生産目標時間)を確認

②現状の改善対象の作業時間を確認

③改善目標を達成した場合に、他作業を実施可能か確認

2)課題整理

①改善作業抽出された作業に着目し、改善すべき点を明確にする。

※ボトルネック工程以外の作業改善では、生産ラインを離れられない場合に改善しても生産性向上に繋がらない場合がある。(無駄な改善でないかを確認)

5.作業人員削減の調査

1)確認事項

①作業人員削減目標を確認

②現状の作業人員割り当てを確認

2)課題整理

①1つの場所で複数作業を行う場合は、例えば運搬位置決め作業(クレーン操作1名+補助2名、計3名)、配線作業(1名)、組立作業(2名)の様にどこに何名が割り当てされているかを数値化し、人員が多い部分を明確にする。

②作業人員削減のアプローチとして、作業方法の改善や機械化や自動化を検討する方法と、ルーチン作業とメンテナンス作業の様に、作業分解し人員削減を目指す方法がある。

例えば、従来3名作業(ルーチン作業+メンテナンス作業)

改善後はルーチン作業2名、メンテナンス作業1名とし、メンテナンス作業は看板方式等でメンテナンス作業が溜まった時に人員を投入する。

この結果、従来3名を、改善後2名+1名/5日=2.2名とし、他0.8人分を別作業に割り当てることにより、人員削減を目指す方法がある。

6.コスト削減の調査

1)確認事項

①過去と直近の原価(仕入れ価格や材料費、配送費、梱包材代、人件費、光熱費等)を確認

2)課題整理

原価が上昇したからといって、安易に販売価格を上昇するとコスト競争力が低下してしまうので、市場動向を確認した上で、改善すべき注力テーマを決定する。

例えば、工具等の消耗品の交換周期が短い場合は、工具寿命を延命する手段として、工具材料やコーティングの改善等により、コスト低減を図れないか検討する。

上記で紹介したチェックシートは、必ずしも全ての事例に共通して使える訳ではありませんが、チェックシートを用いて調査を進め、誰が行っても同じ品質で調査が出来る様になります。

また、調査結果がエビデンスを残せるため、他者が後から確認した場合にも調査内容を簡単に把握する効果が得られます。

先ずはチェックシートを作り見る化を図りましょう。

もしも、チェックシートと現実が乖離する場合は適用したメモに残し、定期的にチェックシートの改良を進めと、調査品質を向上していくことに繋がるでしょう。

改善前後の状況整理

当初の目標等がある場合でも現場調査の状況を踏まえて、一度改善前後の姿や目指す方向性、時間軸や予算を再確認しましょう。

後程、初期はこうだった、現場調査で別の課題が出たのだから予算もスケジュールも変わって当たり前、等の様に依頼側と改善側の意見の相違が無い様に確認して進めましょう。

1.改善前後の状況整理

1)改善前後で変化するプロセスを明確にする。

特に相互の繋ぐ部分で不整合や追加手配、検査等の作業漏れが無いかを再確認する。

2)改善期間を依頼側と合意する。

改善に当たって、既に稼働されている設備を停止する必要がある場合等は、停止期間や事前準備として何をして欲しいかを明確にする。

3)改善費用を依頼側と合意する。

運用ルール決定と教育の事前準備

さて、いかがでしたでしょうか。

ここまでの説明で、からくり改善の進め方の全体像を把握していただけたでしょうか。

この記事でのポイントをおさらいすると以下の通りです。

1.安全な現場作業環境の調査

安全上や3K作業の抽出し、リスク値を低減する活動を計画する。

2.品質改善

品質不良の頻度を数値化し、リードタイムとコストとして評価して改善に取組む。

3.リードタイム短縮

タクトタイムに対して作業時間がオーバーしている作業を抽出し、改善に取り組む。

作業改善だけで目標が達成しない場合には、ライン数を増やし平行作業による時間短縮等も検討する。

4.作業時間の短縮

作業時間の短縮の効果が高いテーマを改善対象とし、改善に取り組む。

ボトルネック工程以外の作業改善では、改善が無駄に無らないに改善目標を達成した場合に他作業を実施可能か確認する。

5.作業人員削減

作業人員削減目標を確認し、目標人員で作業が可能な様に改善を進める。

実現が困難な場合は、ルーチンとメンテナンス作業人員計画を分ける等試作を取り、定常作業時の人員削減を目指す。

正味作業に注目しがちだが、大物機械加工等では段取り時間の方が支配的で、不随作業の時間も含めて総合判断し改善を進める。

6.コスト削減

原価を確認し、コスト削減ターゲットを明確にする。

自社だけでは無く、外部メーカ等の協力を得て、改善を進める。

7.改善前後の姿の明確化と改善条件の再確認

何れも改善前後にどんな改善効果が得られるか(投資効果を確認)、スケジュールと予算を明確にし、合意を取り改善を進める。

今回ご紹介した事前準備や現場確認を通じて、改善前後の姿を明確に記録に残して改善を進めましょう。

次回は、具体に改善案を創出する方法について解説します。

経験が浅い方でも同じ様にアイデアを発想するために、事前に準備すべきからくり改善を実現するために事例集やからくり機構について解説していきます。

今後も引き続き、からくり改善のコラムをご覧いただき、進め方を学んでいきましょう。