設計の「手戻り」を最小化する、機能から考える思考の型

投稿日:2019年02月13日

構想設計の良し悪しは、「」にする前の思考で決まる

製品開発において、最も技術者の実力が試されるのは、
真っさらな状態から製品の骨格を作り上げる
構想設計」の段階です。

しかし、多くの現場で設計者を悩ませているのは、
何を、どういう手順で決めていけば正解なのか
という指針の欠如ではないでしょうか。

明確な指針がないまま、
いきなりCADに向かって詳細な設計を始めてしまうことは、
いわば目的地のない旅に出るようなものです。

その結果、後工程になってから
「実は顧客のニーズを満たしていなかった」
「製造コストが目標を大幅に超えてしまった」
といった致命的な問題が発覚し、
膨大な手戻りが発生するリスクを無意識に抱え込むことになります。

設計の初期段階での小さなボタンの掛け違いは、
プロジェクトが進むほど増幅され、
組織に深刻なコストと時間の損失をもたらします。

「とりあえず過去図面を流用する」という習慣の落とし穴

設計の現場でよくある失敗の一つに、
「構造(形)」から考え始めてしまうというものがあります。

新規の設計であっても、
つい過去の類似図面をコピー&ペーストし、
部分的に寸法を変えるだけで進めてしまう。

なぜその形状なのか、
なぜその数値なのかという根拠(ロジック)を
深く検討しないまま設計を進めると、
デザインレビューでベテラン設計者からの

なぜこの機構なのか?
この数値の根拠は?

という問いに答えることができません。

特に現代の製品開発では、
顧客ニーズが複雑化し、
技術的な要求も高度化しています。

過去の経験則や直感だけに頼った設計判断は、
予期せぬ不具合や、
量産直前での「図面の描き直し」という
不毛な作業を引き起こす原因となります。

「要求を機能に分解する」ことで見えた、設計の正解

ここで、ある装置の「自動開閉ドア」の設計を担当した
若手エンジニア、Aさんの例をみてみましょう。

Aさんは前機種の図面を参考に、
モーターとリンク機構を用いた設計案をすぐに作成しました。

しかし、上司から
「メンテナンス時の停電対策はどうなっているのか」
と問われ、言葉に詰まってしまいます。

Aさんは「ドアを動かす」という目に見える構造のことしか考えておらず、
本質的な要求を見落としていたのです。

そこでAさんは思考のプロセスを変えました。

いきなり図面を描くのではなく、
要求を機能レベルまで分解する
ことから始めたのです。

要求:
自動で開閉するドア

機能:
「人を検出する」
「ドアを開く」
「ドアを閉じる」
「停電時でも安全に操作できる」

このように機能を細分化することで、
Aさんは

「ドアを開くにはモーターを使うが、
閉じる動作はバネの復元力を利用する」

というアイデアに辿り着きました。

これにより、停電時でも手動で容易に操作できるという安全性を、
論理的に導き出すことができたのです。

「要求→機能→機構→構造」というステップを丁寧に踏むことで、
設計に「なんとなくな判断」がなくなり、
あらゆる質問に対して明確な技術的根拠を持って
答えられるようになりました。

体系的な「機能設計」が、設計判断に自信をもたらす

機能設計の思考プロセスを体系的に身につけることは、
単なる知識の習得以上のベネフィットをもたらします。

まず、設計判断のスピードと精度が飛躍的に向上します。

QFD(品質機能展開)のような手法を用いることで、
複数の実現方法の中から、
コストや信頼性、性能を数値で評価し、
最も合理的な解を客観的に導き出せるようになります。

次に、トラブルに強い設計が可能になります。

設計の初期段階から
「一部品一機能」の原則や
DfX(製造性や保守性の考慮)を意識することで、
不具合の原因特定が容易になり、
メンテナンス性の高い、
顧客価値に優れた製品を生み出すことができます。

そして何より、
設計をリードしている
という確かな実感が得られます。

全体俯瞰的な視点から「設計の地図」を描けるようになることは、
将来設計リーダーとしてチームを牽引する技術者にとって、
揺るぎない武器となるはずです。

即戦力への学習ルート
「構想設計入門講座(機能設計編)」の要所

実務に即した形で機能設計を習得していただくために、
本講座では以下の「成長の要所」を重点的に学習します。

「要求→機能→機構→構造」の思考ルート

漠然としたアイデアを、
漏れなくダブりのない「機能」に分解し、
最適な実現方法を選択するまでの論理的なステップを学びます。

・数値による設計仕様の確定

「軽い」「静か」といった抽象的な要望を、
「○kg以下」「○dB以下」といった具体的な設計目標へ変換し、
設計仕様書として落とし込む手法を習得します。

・フロントローディングと妥当性の検証

設計の初期段階で1DCAEや実験計画法を活用し、
不確実性を排除して、
後工程での手戻りを劇的に減らす考え方を身につけます。

・「設計の地図」としての構想図作成

トップダウン設計の手法を用い、
いきなり詳細な図面を描くのではなく、
ポンチ絵から始めて全体構成を最適化していくプロセスを体験します。

・実例(バルブ・リフター)による思考の追体験

実際の製品を題材に、
企画書から構想設計を完遂するまでの一連の流れをシミュレーションし、
知識を「使える技術」へ昇華させます。

特定のCAD操作ではなく、
あらゆるツールや製品設計に通じる
「技術者としての普遍的な思考回路」を鍛えることが、
本講座の目的です。

経験に「論理」を加え、一歩先を行く設計者へ

「自分の設計手法が自己流で、いつもどこか不安がある」

「若手に設計の勘所を教えたいが、うまく言葉にできない」

もしそう感じているのであれば、
この機会に機能設計の体系を学び直してみてはいかがでしょうか。

積み上げてきた実務経験に、
確かな「型」と「理論」が加わることで、
あなたの設計はより強固で説得力のあるものへと変わります。

それは、価値ある製品を世に送り出し続ける設計リーダーへの、
確実な一歩となります。

講座の詳細や具体的なカリキュラムのポイントは、
以下のページにまとめています。

▶︎ 構想設計入門講座(機能設計編)の詳細はこちら

皆様のさらなる飛躍を応援しております。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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