投稿日:2025年03月14日
MPa(メガパスカル)やN/mm2(ニュートン毎平方ミリメートル)は、圧力を表すための単位として広く使用されています。しかし、圧力をどのように用いるかは、その場面によってさまざまな単位があり、ややこしく感じてしまう人は多いはずです。
数値計算を行なう際に、圧力の単位を適切に変換できるように整理してみましょう。
このコラムを書いた人
機械系プラントエンジニア
国内化学プラントで機械設計や建設工事を10年以上経験。危険物製造設備、発電・ボイラ設備・排水処理設備、研究施設の多種多様な設計・調達・工事に携わり、その知識をコラムにて発信中。現場でも活かせる専門知識を、日本のモノづくりに活かしてもらいたい!という強い思いを持っている。
MPaやN/mm2は圧力の単位
圧力とは、単位面積あたりに加わる力のことを指します。そのため、圧力の基本単位は力を面積で割ったものです。
国際単位系(SI単位系)では、力の単位としてニュートン(N)が、面積の単位として平方メートル(m2)が用いられます。このため、圧力の単位はニュートン毎平方メートル(N/m2)となり、これを「パスカル(Pa)」と呼びます。
1 Pa = 1 N/m²
しかし、機械や構造物に関わる分野では、m2(平方メートル)よりもmm2(平方ミリメートル)が適しています。
その理由はいくつかあります。
機械製図では寸法をmの単位ではなく、mmの単位で指示する為、その数値のまま計算に利用できるといった点があります。その他にも、材料の強度計算で用いられる値は、メガ(Mega, 106倍)をつけたMPa(メガパスカル)で記載されたものであり、そのまま以下の式が成り立ちます。
1 MPa = 1 N/mm²
mmの単位を用いる方が計算をスムーズに行うことが出来るので、こちらの単位を使う方が便利です。
その結果、N/m2よりも、N/mm2の方が、圧力を簡潔に表現できるため、一般的に使われているのです。
MPaとN/mm2は同じ
上記にも記載していますが、MPaとN/mm2は、同じ圧力を表す単位であり、1 MPa = 1 N/mm2です。その理由を理解するには、単位換算の仕組みを知る必要があります。
まず、パスカル(Pa)は、1 N/m2を意味します。これを平方ミリメートルに変換する際には、以下の計算を行います。0がたくさんありますが、1mが1000mmであることを知っていれば理解できるはずです。
1 m² = (1000 mm) × (1000 mm) = 1000000 mm²
したがって、
1 N/m² = 1 N / 1000000 mm² = 0.000001 N/mm²
これをメガパスカルに変換すると、
1 MPa = 10⁶ Pa = 1 N/mm²
つまり、MPaとN/mm2は定義上同じ単位を表します。この関係性を理解することで、圧力の計算や換算がより簡単になります。
kgf/cm2からN/mm2への換算方法
昔の圧力計の単位はkg/cm2やkgf/cm2が一般的
以前、若い技術者に「古い圧力計の目盛にkgf/ cm2と書かれていますが、これって何Paですか?」と聞かれたことがあります。
kgf/cm2の単位は、モノの重量kgをそのまま数字で扱うことが出来るため、国際単位系が広まる以前の日本では、圧力の単位はMPaよりもkgf/cm2の方が、よく使われていたのです。
N/mm2をkgf/cm2に換算するには、まず1 kgfの値を1 Nに変換する必要があります。
1 kgfは、標準重力加速度(9.80665 m/s2)のもとで1 kgの質量に作用する力を意味します。これに基づき、以下のように計算できます。
1 kgf =9.80665 N
また、1 cm2は以下のように換算できます。
1 cm² = (10 mm) × (10 mm) = 100 mm²
これらを組み合わせると、kgf/cm2からN/mm2への換算式は以下のようになります。
1 kgf/cm²= 9.80665 N / 100 mm² = 0.0980665 N/mm²
したがって、kgf/cm2の値をN/mm2に換算する際には、その値に0.0981を掛ければよいことになります。また、
1 N/mm² = 1/0.0980665 kgf / cm² = 10.197 kgf/cm²
より、N/mm2の値をkgf/cm2に換算する際には、その値に10.197を掛ければよいわけです。
その他の圧力の単位との換算
圧力を表す単位には、MPaやN/mm2、Pa以外にもさまざまなものがあります。
以下に主な単位の数値換算を示します。
桁が大きくなってしまうため、MPaとPaの両方の単位の値を記載しています。
単位名称 | 変換値 | MPa(N/mm2) | Pa |
バール | 1 bar | 0.1 MPa | 100000 Pa |
アトム, 標準大気圧 | 1 atm | 0.101325 MPa | 101325 Pa |
トール | 1 Torr | 0.000133322 MPa | 133.322 Pa |
ポンド毎平方インチ | 1 psi | 0.00689476 MPa | 6894.76 Pa |
水銀柱ミリメートル | 1mmHg | 0.000133322 MPa | 133.322 Pa |
この表に記載している単位は、特定の分野や地域で広く使用されています。
例えば、barはドイツで主に用いられている圧力の単位で、昔は日本でも天気予報でbarを使っていました。今はhPa(ヘクトパスカル)に変わっています。
また、Torrは、主に真空を扱う装置や医療系の機器に用いられることが多く、Torrの値に133を掛ければおおよそPaの値に変換できることを覚えておくと便利です。
さらに、大気圧を水銀柱の高さで表しているmmHgの単位とTorrの値は同じであり、1Torr=1mmHgであるので合わせて覚えておくと良いです。
医療機器の多くは圧力の単位がmmHgやTorrが多い
psiは、アメリカで一般的に使用され、1psiは、おおよそ7kPaと覚えておきましょう。
MPaとN/mm2の換算まとめ
MPaやN/mm2は圧力の単位であり、特に機械系ではmよりmmがよく使われます。
1 MPa は、 1 N/mm2と同じであり、kgf/cm2からN/mm2への換算には、0.0981を掛けるだけで簡単に求められます。
その他の圧力単位との換算も、おおよその値を掛けたり割ったりすることで、できるようになっておくと便利です。このページをブックマークしておくことをおすすめします。
これらの単位変換をサッとできるようになることで、圧力を用いた計算や評価をスムーズに行うことが出来るようになります。
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