投稿日:2019年01月10日
機械設計の現場において、近年「メカニクス(機械工学)」だけの
知識では完結しない仕事が当たり前になっています。
かつては、歯車やカム、リンク機構だけで動く機械もありました。
しかし現在は、モーター、センサ、コントローラを組み合わせた
「メカトロニクス」が主流であり、機械設計者にもその知識が不可欠です。
もしあなたが、
「電気や制御のことは専門外だから」
と線を引いているとしたら、
それは将来的に大きなリスクになるかもしれません。
なぜなら、機械の動き(メカニズム)を決めるのは機械設計者ですが、
その動きを実現するために電気制御技術者へ
正確な仕様を伝える責任もまた、機械設計者にあるからです。
この「共通言語」を持たないまま設計を進めることは、
後工程でのトラブルや手戻りを招く、
見えないリスクを抱えていることになります。
現場でよくある「噛み合わない」打ち合わせ
入社数年目の設計現場で、こんな経験はありませんか?
・「この搬送機構、どのタイミングで止めるの?」と聞かれ、答えに詰まる。
・選定したシリンダの推力が、実際の制御上の負荷率を考慮しておらず、能力不足を指摘される。
・「センサーの取り付け位置がこれじゃ検知できない」と後から言われ、設計変更になる。
これらは決して、
あなたの機械設計能力が低いから起きるわけではありません。
メカとエレキの境界線にある
「制御の基礎」や「機器選定の勘所」
を知る機会がなかっただけなのです。
特に、構想設計(ポンチ絵や仕様検討)
の段階で制御まで見越した検討ができていないと、
実際の製作段階で莫大な修正コストが発生してしまいます。
ある若手エンジニアが「リンク機構」を選んだ理由
ここで、ある若手設計者A君(入社3年目)の架空のストーリーをご紹介します。
彼は、1階から2階へワークを運ぶ「リフター装置」の設計を任されました。
課題となったのは、2階に到着したワークを、
次工程のコンベヤへどうやって移載するか、という点です。
当初、A君は単純に考えました。
「昇降テーブルの上にエアシリンダを載せて、横から押し出せばいいだろう」
しかし、先輩エンジニアとのレビューで、
彼は自分の浅はかさに気づきます。
「テーブルの上にシリンダを載せると、
配線や配管が昇降のたびに動いて断線リスクがある。
可動部の重量も増えてしまう」
そこでA君は、メカトロニクスの視点を取り入れて再検討しました。
単に動けばいいのではなく、
「制御しやすく、機構的にも無理がない設計とは何か」
彼は最終的に、テーブル側ではなく固定側に駆動源を置き、
リンク機構を使ってワークを押し出す「案4」を採用しました。
これなら、昇降テーブルに余計な機器を載せず、配線も固定できます。
さらに、横荷重によるシリンダへの負担も回避できることがわかりました。
単に「物を動かす」のではなく、
センサーの配置や配管の取り回し、
そして制御の流れ(フローチャート)まで頭に描けたからこそ、
たどり着けた設計でした。
「メカトロニクス設計」とは、
回路図やプログラムを書くことではありません。
電気制御技術者に対して、
機械の動作を論理的に説明できる仕様を作ることなのです。
メカトロ知識を得ることで変わる「設計の質」
機械設計者がメカトロニクスの基礎を学ぶと、設計の質は劇的に変化します。
1. 手戻りのない設計判断ができる
例えば、エアシリンダの選定一つとっても、
単にカタログの推力を見るだけでなく、
「負荷率」を考慮した計算ができるようになります。
安全を見越した内径選定を机上計算で行うことで、
試作後のトラブルを防げます。
2. トラブル対応力が上がる
「シリンダが動かない」というトラブルに対し、
・機械的な固着なのか
・電磁弁(ソレノイドバルブ)の不具合なのか
・センサの検知ミスなのか
回路図記号(シンボル)を理解していれば、
原因の切り分けがスムーズになります。
3. 他部署からの信頼獲得
タイムチャートやフローチャートを用いて、
機械の動作タイミングを電気設計者に説明できるようになります。
共通言語で会話ができる設計者は、
プロジェクト全体を円滑に進めるキーパーソンとして信頼されます。
知識ゼロから「搬送装置」を設計する学習ルート
本日は、こうしたメカトロニクスの基礎を、
実務に即した形で体系的に学べる
「成長のための学習ルート」をご紹介します。
機械要素入門講座(メカトロ編)では、
教科書的な理論の羅列ではありません。
「リフター(昇降搬送装置)」という具体的な題材を通じ、
構想から詳細設計までのプロセスを追体験できる構成になっています。
【主な学習テーマ】
・メカトロニクスの全体像
センサー(五感)、コントローラー(脳)、アクチュエーター(筋肉)の
関係性を理解し、 自動化のレベル(半自動・全自動)をどう決定するかを学びます。
・制御の基礎概念
シーケンス制御(順序制御)とフィードバック制御の違いや、
オープンループ・クローズドループの概念を、
エアコンや自動車などの身近な例で解説します。
・アクチュエーターの選定計算
「φ40のシリンダで146kgのワークを推せるか?」といった具体的な問いに対し、
摩擦係数や負荷率を考慮した推力計算の実践を行います。
・空圧・油圧回路の読み書き
JIS記号に基づいた回路図の書き方を学びます。
例えば、停電時にワークが落下しないようにするための
「3位置プレッシャセンタ電磁弁」や「ブレーキ付きシリンダ」の選定理由など、
安全設計に関わる重要な判断基準も解説します。
単なる知識のインプットではなく、
「なぜその機器を選ぶのか」という設計思想(考え方)を
身につけることを目的としています。
実務で使える「共通言語」を身につけたい方へ
機械設計の面白さは、自分の描いた図面が形になり、
思い通りに動くことにあります。
その「動き」を司るメカトロニクスの知識は、
あなたの設計の自由度を広げ、
エンジニアとしての価値を一段階引き上げてくれるはずです。
もし、日々の業務で「電気・制御周りの知識不足」を感じているなら、
この講座が良いきっかけになるかもしれません。
講座の詳細なカリキュラムや、サンプル動画は以下のページにまとめています。
興味のある方は、ぜひ一度ご覧ください。
▶︎ 機械要素入門講座(メカトロ編)はこちら
最後までお読みいただき、ありがとうございました。










