「連載:製図×設計」(第1回)CADを使わなくなった設計者

投稿日:2018年04月17日

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今回から全4回にわたり
設計の基礎となる「製図」のテーマで連載を行なっていきます。

新入社員に「製図の教育」が必要と
お考えの教育者の方も、ぜひ参考にしてみてください。

———– ものコラム連載「製図×設計」(1/4) —————————–
 
 あなたはこのような不安がありませんか?
 
 ・どうやって「図面を書けば」いいかわからない
 ・どうやって「図面について教えれば」いいかわからない
 
 MONOWEBでは「“若手設計者”に必要な製図知識」
 について、全4回のコラムでお伝えしていきます。
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最近では、社会の変化によって
「若手設計者の教育環境」が変化してきています。

というのも、
以前は自動車や家電といった「1つの製品に対するライフサイクル」
が長く開発リードタイムを長くとることができました。

そのため、熟練した先輩設計者は経験の浅い若手設計者に作業をさせる中で、指摘をし修正を行わせるなど
「教える時間」を作ることができ、そのおかげで若手設計者は、技術を体得することができました。

ですが、最近では「分業化」が進み
そのような教える時間も取れないほどに作業が最適化されてきています。

若手設計者の学ぶ機会が減り、
ベテラン設計者も教育する時間が取れなくなりました。

さらに、少子高齢化やグローバル化が進むことで
国内のエンジニア数も減るなど、日本の技術力の低下が問題視されてきています

もしかすると、
あなたもこのような変化に「課題」を感じているのではないでしょうか?

CADを使わず口で設計する!?


このような環境変化の中で、
設計者に求められる「仕事内容」にも変化が起きています。
以前は、図面を書くことは、主に設計者が行う作業でした。

そして、その作業を通して

「どうやって図面を描くのか?」
「なぜこの表し方をするのか?」
「なぜこの記号が必要なのか?」

といったようなことを、学んでいきました。

自動車や家電など、すべての製品は「図面」によって作り出されています。
また、これらの製品を作り出す機械も同様に「図面」から生み出されます。

このように、ものづくりをする上で「図面」はなくてならないものであり、
エンジニアにとって、製図は必須の能力でした。

ですが、効率化を求める流れの中で
図面を描く作業は「派遣エンジニア」にアウトソーシングされるなど
決して社内の設計者が行う作業ではなくなってきています

その結果、
会社によっては、社員である設計者は調整業務が主となり
CADを使わず「口」を動かす設計者もいるほどです。

もちろんこのやり方で
生産性を上げて成功している企業も多いと思います。

ですがその成功の陰には、
長年培ってきた製造メーカー設計者と加工業者との「すり合わせ」
という積み重ねてきた過去の財産のあったからではないでしょうか。

例えば、

「図面に旧JIS記号の表面粗さ記号(▽▽▽)を入れておけば、
 長年つきあいのある加工業者は製品の特性まで理解したうえで品質を
 確保した加工をしてくれる」

といったことです。

長年設計をされている方であれば、
ご経験があるかと思いますが、

私も、(▽▽▽)を図面に記入し、加工業者に足を運んで加工現場で製品の要求を伝え、あいまいな図面表示に対して、現場ですり合わせすることで部品の品質確保をしてきた経験があります。

つまり、これまでは、このような設計者と加工現場のすり合わせで
「良いものづくり」が保たれていたのです。

これは日本のものづくりの良いところ
(日本のものづくりが培ってきた財産)であると思います。

設計者は、加工について細かく指示しなくても良いものができていましたし、
逆に指示しすぎるとコストアップの原因になることもありました。

今後、設計者が意識するべき3つのポイント


私は、製図に関して設計者が今後意識すべきポイントが3つあると思います。

それは、

  1. JISやISOの「基本ルール」の理解
  2. 会社の「独自ルール」の理解
  3. 旧JISに頼らなければならない「現実」の理解

です。

これらは製図の「基本(軸)」になります。

図面は、第三者にものづくりの「情報を伝える」大切な手段です。

図面があれば「情報を保存すること」ができ、
いつでも、誰でも同じものを作ることができます。

また、製造部門や、材料や部品を購入する資材部門も使いますし、
品質を保証する品質管理部門、自社製品を売り込む営業マンも使います。

すなわち、
図面は「技術者だけでなく、ものづくりに携わる広い分野の方にとって重要」
なのです。

今後は、よりグローバル化が進みますし、
ベテランエンジニアは退職していきます。

このような変化の中では、
自分と他をつなぐ「共有すべき基本」を身につけることが重要です。

ぜひイメージしてみてください。

「今、自分が携わっている製品はどのようなものか?」
「今、会社で使用している図面にルールはあるのか?」
「今、加工業者とはどのような擦り合わせをしているか?」

このような現状をしっかりと把握した上で、
基本を学び、図面を描くことが重要となります。

それでは、次回は「なぜ図面が読めないのか?」についてお話します。

楽しみにしていてください。

———– ものコラム連載「製図×設計」 ———————————–
 
第1回:CADを使わなくなった設計者
第2回:なぜ図面が読めないのか?(その1)
第3回:なぜ図面が読めないのか?(その2)
第4回:超ベテランエンジニア監修のeラーニングを紹介します
 
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