【設計者必見】表面粗さの基礎。これを知らないと設計できない。

投稿日:2022年04月18日

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表面粗さを意識して設計を行っている人は少ないのではないでしょうか?パラメータが多くRaしか使っていない人も多いと思います。

表面粗さは奥が深く、実はすべてを理解している人はほとんどいません。しかし、設計をするうえで表面粗さを指示することはとても重要です。すべてを理解する必要はないので、使う部分だけ理解するようにしましょう

表面粗さとは、部品表面の細かな凹凸のことです。正式には表面性状といいます。部品の表面粗さを管理することで、製品の品質を確保することができます。

この品質には機械的な性能のほかに、人間の視覚、触覚、聴覚に訴えかけ高級感を演出する効果もあります。

このように、表面粗さは意外と身近で、あらゆるところで活用されています。自動車部品などでは、一年中、表面粗さを研究している人もいるほどです。

また、表面粗さを意識して設計・製図することで、設計者の意図を加工者に伝えやすくなります。

表面粗さを指定することで、加工機を指定したり、加工条件を指定したりすることが、ある程度可能です。

また、加工不要場所を指定できるので、無駄な加工を減らすことができ、コスト削減にもつながります。

本記事では、表面粗さの基礎として、表面粗さの重要性と、表面粗さの書き方について解説します。表面粗さの基礎を理解して、設計に役立てましょう。

表面粗さの重要性

表面粗さは製品の性能を決めるだけではなく、外観や製品寿命にも関係しています。表面粗さは小さくすれば良いというものではありません。そのため、表面粗さを数値内に管理することがとても重要です。部品を設計するときは、表面粗さにも気を配りましょう。

下記に、どのようなところで表面粗さが管理されているかの例を紹介します。

  • 接触面の摩擦の関係
  • 気密性・接着性
  • 質感
  • 騒音・振動

接触面の摩擦の関係

表面粗さによって、部品の接触面の摩擦が変わります。

表面が粗いと接触面が引っかかるため、摩擦力が増えます。表面を滑らせないようにするため、わざと表面を粗く加工する場合もあります。

表面粗さの形状で凸部が尖っていると摺動面が摩耗しやすくなります。そのため、凸部がなるべく平らになるように管理するか、出荷前に摺動させ凸部を削ってから出荷する必要があります。

摺動面を滑らかに滑らせるには表面粗さが小さいほうが良いのですが、表面粗さが小さすぎると焼き付きが起きます。そこで、ある程度の表面粗さを付ける加工をするのが一般的です。

また、潤滑性を上げるために、細かい凹部を作って油だまりと呼ばれる加工をする場合もあります。エンジンでは燃費を決める大きな役割を担っています。

振動・騒音

摺動面の粗さが粗いと振動が発生します。振動は機械性能を悪化させたり、製品寿命を縮めたりする可能性があるため、管理が必要です。その振動が高速になると騒音になって現れます。特にベアリングやギヤなど高速で可動する部品では表面粗さが性能に大きく影響します。

気密性・密着性

表面粗さが粗いと隙間から流体が漏れてしまうため、表面粗さを可能な限り少なくする加工が必要です。一方、塗装やメッキの密着性を上げるためにはある程度の粗さが必要な場合もあります。

質感

表面粗さは機械的な性能のほかに、質感にも影響を与えます。表面の光の反射を変えることによって、光沢を与えたり、艶消しをしたりして質感を調整します。

表面粗さによって高級感を演出するのも重要な役割です。また、触ったときの感触を変える役割もあります。

表面粗さの書き方

表面粗さの図示方法は、JIS B 0031-2003(ISO 1302:2002)で規定されていて、上図のa~eには下記の内容を記入します。

a:条件・パラメータ

b:追加の測定条件・パラメータ(省略可能)

c:加工方法(省略可能)

d:筋目とその方向(省略可能)

e:削り代(省略可能)

この中で、必ず指定する必要があるのがaのパラメータです。Ra 0.8やRa 3.2などを記入します。その他にも上限・下限、フィルタ、評価長さ、合否判定ルールを指定することができます。

省略するとJISに準拠した測定になるため、通常は指定しません。一番シンプルな指示は下図の通りです。注意点として、RaやRzなどのパラメータはイタリック(斜体)で表示します。

また、除去加工の有無も必須です。特に指示が無ければ「指示なし」でも良いのですが、表面粗さを特別に指示するときは、ほぼ加工有の面です。設計者としては、どの面を加工して、どの面を加工しないかは理解しておいた方が、コスト計算にも役立ちます。

次によく使うのが、cの加工方法です。研削を指定するときに「研削」と書きます。指示しない場合には、表面粗さに合わせて加工機が決められます。

それ以外の記号は、会社によって使う場合もありますが、ほとんどの業界では使用しません。覚える必要はありませんが、使う場面があったら勉強すれば良い程度です。

※参考:表面粗さの図示方法についてはこちらのページで詳しく解説

まとめ

表面粗さは部品表面の細かい凹凸のことを言います。

部品の形状や寸法より軽視される場合も多いのですが、幾何公差と同様、設計者が加工者に意志を伝える重要な役割を担っています。

表面粗さは、加工方法を指示するだけではなく、製品の性能や外観を決める重要な役割もあります。表面粗さを少し変えるだけで、品質が大きく向上することも珍しくありません。

表面粗さの図示方法は、一見難しいように見えますが、実際に使用するのは簡単です。まずはパラメータと加工方法の指示から覚えましょう。それ以外はほとんど使用しません。

表面粗さは非常に奥が深く、使いこなしている人はほとんどいません。また、時代によって大きく変わっていることから、昔の図面を真似すると違う意味になってしまう場合もあります。

表面粗さを正しく理解して製品の品質向上に役立てましょう。

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