「GNDって何?」で止まらないために|機械設計者のための電気の基礎

投稿日:2019年01月31日

日々の設計業務や現場対応の中で、こんな困った経験はありませんか?

機械の試運転中、隣にいた電気担当のエンジニアから、

「あ、そこのセンサーの配線、インピーダンス整合してないかも」
「ちゃんとGND(グランド)に落ちてる?」
「VCC(ブイシーシー)ラインのノイズが乗ってるな…」

矢継ぎ早に飛んでくる専門用語。

あなたは内心、
「(インピーダンス…? VCC…? 何語だ…?)」
と焦りつつも、

とりあえず愛想笑いでこう答えてしまうのです。

「あ、はい…! あとで回路図確認しておきますね!(汗)」

そしてデスクに戻り、配線図を広げてみるものの、
無数に走る線と謎の記号を前に、
どこをどう見ればいいのかわからず途方に暮れる……。

もし、このシーンに少しでも「既視感」を覚えたなら、
今回のメルマガはきっとあなたの役に立ちます。

今日は、機械設計者が現場で直面する
電気・制御担当者とのコミュニケーション不全」を解消し、
自信を持って打ち合わせができるようになるための、
電気の視点」についてお話しします。

なぜ、機械屋と電気屋の会話は噛み合わないのか?

機械設計者(メカ屋)と電気設計者(エレキ屋)の間には、
しばしば「言葉の壁」が存在します。

同じ「電気」の話をしているはずなのに、なぜか話が噛み合わない。

その最大の原因は、
「電気」に対する認識(見ている側面)の違いにあります。

我々機械設計者は、電気を主に
「動力(エネルギー)」として見がちです。

モーターを回す、ヒーターを熱する、シリンダーを動かす。
「電圧をかければ、電流が流れて、仕事をする」という、力学的なイメージです。

一方で、電気・制御担当者は、電気を
信号(情報)」としても見ています。

センサーが検知した温度、スイッチのON/OFF状態、エンコーダーの位置情報。
これらはすべて微弱な電気信号として扱われ、演算され、制御に使われます。

この

エネルギーとしての電気(電気回路)
 と
情報としての電気(電子回路)

の違いを区別できていないことが、
コミュニケーションギャップの正体です。

例えば、配線のトラブル一つとっても、

機械屋は
「線がつながっていれば電気は流れるはず(断線してなければOK)」

と考えがちですが、

電気屋は
「線が長く引き回されていると、ノイズを拾って誤信号になる
(電気的にはつながっていてもNG)」

と考えます。

この認識のズレを埋めるためには、
私たち機械設計者も、電気回路・電子回路の
基礎的なルール」を知っておく必要があります。

「とりあえず繋げば動く」では通用しない?
現場で起きる“見えない”トラブル

もう少し具体的なシーンを想像してみましょう。

あなたが設計した自動機の試作段階。
電源を入れても、特定のアクチュエータが動かない、
あるいは誤作動を起こすというトラブルが発生しました。

「機構的な噛み込みか?」と思って確認しても、メカには問題がない。

となると、電気的な問題の可能性が高いわけですが、
ここで電気の知識がないと、思考が停止してしまいます。

「電気屋さん、なんか動かないんですけど…」

と曖昧に伝えることしかできず、

「なんかって何? 信号は来てるの? 電圧は測った?」

と返されてしまう。

もしここで、あなたがテスターを使って電圧を測り、

「スイッチまでは24V来ているんですが、
 その先のリレーが動作していないようです」

と伝えることができればどうでしょうか?

トラブルシューティングの時間は劇的に短縮され、
あなたのエンジニアとしての信頼度は格段に上がるはずです。

機械設計者であっても、

・試作時の調整
・出張先、顧客先でのトラブル対応

において、

「電気的な原因切り分け」ができる能力は、強力な武器になります。

電気アレルギーを克服する
「回路図」の読み解き3つの視点

では、どうすれば電気回路図を見て「なるほど」と思えるようになるのでしょうか。

専門書を1ページ目から丸暗記する必要はありません。
まずは、以下の3つの視点を持つことから始めてみてください。

1. 電気の「役割」で見分ける
(電気回路 vs 電子回路)

先ほど触れた通り、その回路が

・「エネルギー(動力)」を扱っているのか
・「信号(情報)」を扱っているのか

を意識して見てみましょう。

■ 電気回路
主に受動素子(抵抗、コイル、コンデンサなど)で構成され、
電気をエネルギーとして消費・変換する回路。
オームの法則(電圧=電流×抵抗)が基本です。

■ 電子回路
受動素子に加え、能動素子(トランジスタ、ダイオード、ICなど)を含み、
電気を増幅したり、制御したり、情報の伝達に使ったりする回路です。

この区別がつくだけで、

・太くあるべき電源線
・ノイズに注意すべき信号線

が見えてきます。

2. 回路図は「地図」ではなく「機能図」
(等電位の考え方)

機械図面では、線の長さは実際の寸法を表します。

しかし、回路図の線は、実際の配線の長さとは無関係です。

回路図において重要なルールは、

「線でつながっている場所は、すべて同じ電圧(等電位)である」

ということです。

例えば、回路図上で離れた場所に描かれている部品同士でも、
一本の線でつながっていれば、そこは電気的には「同じ場所」です。

逆に、図面上で隣り合っていても、
線がつながっていなければ電気的には遠い存在です。

この「等電位」の感覚がつかめると、

「あ、ここは全部同じ電圧のグループだな」

と整理して見えるようになります。

3. 部品の「機能」を知る
(受動素子と能動素子)

回路図に出てくる記号は、大きく分けて3種類しかありません。

■ 受動素子
抵抗、コイル、コンデンサなど。
電力を消費・蓄積するだけで、増幅や制御はしません。

■ 能動素子
トランジスタ、ダイオード、ICなど。
信号を増幅したり、電流を制御したりします。

■ 機構部品
特に機械設計者がよく関わるのは、

・スイッチ
・コネクタ
・リレー

といった 「機構部品」 です。

これらも電気回路の一部として重要な役割を果たしています。

【ミニクイズ】

Q1:一般的に「電子回路」の特徴はどれ?

A. 電気を主に「動力(エネルギー)」として使い、受動素子のみで構成される。
B. 電気を主に「信号(情報)」として使い、能動素子(トランジスタ等)が含まれる

Q2:回路図の正しい考え方は?

A. 部品と部品をつなぐ線の長さが長いほど、電圧が下がると考える
B. 線でつながっている部分は、線の長さに関わらず「同じ電圧(等電位)」であると考える

Q3:安全性が高いスイッチ接点は?

A. a接点(NO)
B. b接点(NC)

▼ ミニクイズの解答・解説は、ページの末尾に掲載しています。

4大力学だけでは「動く機械」は作れない時代

機械設計者の必須科目といえば、

・材料力学
・機械力学
・流体力学
・熱力学

の「4大力学」。

しかし現代の機械で、電気なしで動くものはほとんどありません。

電気を知らなければ、

・制御
・安全設計
・保全対応

で必ず壁にぶつかります。

また将来、リーダーやマネージャーになると、

電気担当の業務理解も不可欠になります。

断片知識ではなく、

・オームの法則
・電子部品
・デジタル論理

までを体系的に理解することが近道です。

もしあなたが、

・電気担当と対等に話したい
・自分の機械をもっと理解したい

と感じているなら、

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数式を抑え、機械系エンジニア向けに構成しています。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆様のさらなる飛躍を応援しております。

【解答・解説】

メルマガのミニクイズに挑戦していただき、ありがとうございます。

ここでは、出題された3つのクイズの正解と、現場で役立つ詳しい解説をお伝えします。

あなたの回答は合っていましたか?
さっそく答え合わせをしていきましょう!

——————————————————————————–
Q1:次のうち、一般的に「電子回路」の特徴として適切な記述はどれですか?
——————————————————————————–

・A. 電気を主に「動力(エネルギー)」として使い、受動素子のみで構成される。
・B. 電気を主に「信号(情報)」として使い、能動素子(トランジスタ等)が含まれる。

【正解】
B

【解説】
電気回路と電子回路の決定的違い

「電気回路」と「電子回路」は混同されがちですが、
扱う電気の目的と構成部品に違いがあります。

・電気回路(Electrical Circuit)
 電気を主に「エネルギー(動力)」として使います。
 モーターを回す、ヒーターを温めるといった用途です。
 構成部品は、抵抗・コイル・コンデンサなどの「受動素子」が中心です。
 これらは供給された電力を消費・蓄積するだけで、
 自ら電気を制御することはしません。

・電子回路(Electronic Circuit)
 電気を主に「信号(情報)」として使います。
 センサーの値を伝えたり、演算したりする用途です。
 受動素子に加えて、トランジスタ、ダイオード、ICなどの
 「能動素子」が含まれるのが最大の特徴です。
 能動素子は電気の流れをスイッチングしたり、
 信号を増幅したりする役割を持っています。

機械設計者が現場で「信号線」や「制御基板」の話をするときは、
この「電子回路」の領域を扱っていることになります。

——————————————————————————–
Q2:理想的な回路図の読み方として、正しい考え方はどれですか?
——————————————————————————–

・A. 部品と部品をつなぐ線の長さが長いほど、電圧が下がると考える。
・B. 線でつながっている部分は、線の長さに関わらず「同じ電圧(等電位)」であると考える。

【正解】
B

【解説】
回路図は「地図」ではなく「機能図」

機械図面では線の長さが実際の寸法を表しますが、
電気回路図における線は「つながっていること」を示す記号に過ぎません。

理想的な回路図のルールでは、
部品同士をつなぐ線(導線)の抵抗はゼロと考えます。

そのため、線でつながっている場所は、
どこまでいっても電圧は変わりません(等電位)。

・回路図上でどんなに線が長く描かれていても、つながっていれば同じ電圧です。
・逆に、図面上で隣り合っていても、線がつながっていなければ電気的には無関係です。

もちろん、現実の配線には抵抗があるため、
長く引き回せば電圧降下やノイズの影響を受けます。

しかし回路図を読み解く段階では、
「線=等電位」という原則で考えることが理解への近道です。

——————————————————————————–
Q3:機械の安全装置などでよく使われるスイッチの接点について、
配線が断線した際にも機械を停止させやすく、安全性が高いのはどちらですか?
——————————————————————————–

・A. a接点(押すとつながる・ノーマルオープン)
・B. b接点(押すと切れる・ノーマルクローズ)

【正解】
B

【解説】
トラブル時こそ「安全」に倒す(フェイルセーフ)

安全装置やリミットスイッチの設計では、
「故障や断線が起きたときにどうなるか」を考える必要があります。

・a接点の場合
 スイッチが押されて電流が流れたら機械を止める回路になります。
 しかし断線すると、電流が流れず停止信号が伝わらず、
 機械が止まらない可能性があります(危険側故障)。

・b接点の場合
 電流が遮断されたら機械を止める回路になります。
 通常は電流が流れており、スイッチを押すと遮断され停止します。
 断線しても同様に電流が切れるため、自動的に機械が止まります
 (安全側故障)。

このように、b接点を使うことで、
断線などのトラブル時にも安全を確保できる
「フェイルセーフ設計」が可能になります。

機械設計者のための「電気」の基礎を体系的に学ぶなら

ミニクイズの結果はいかがでしたか?

「なんとなく知っていたけれど、理由は説明できなかった」
という方も多かったかもしれません。

機械設計者が電気・電子回路の知識を身につけると、
次のようなメリットがあります。

・トラブルシューティング力
 電気的な不具合の切り分けが早くなる

・安全設計
 フェイルセーフを考慮した部品選定ができる

・コミュニケーション
 電気担当者と共通言語で仕様を詰められる

独学では断片的になりがちなこれらの知識を、
機械エンジニア向けに体系化したのが

電子回路入門講座

です。

数式は極力使わず、
水路のたとえなどを使いながら、

・抵抗
・コンデンサ
・トランジスタ
・論理回路

までをスムーズに理解できる構成になっています。

「電気アレルギーを克服したい」
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とお考えの方は、ぜひ本講座のカリキュラムをご確認ください。

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