ACモーターの選定手順と基礎知識|選ぶ際のポイント

投稿日:2025年04月03日

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ACモーターを選定したいけれど、どこから手をつければいいかわからないと悩んでいませんか?

モーターにはさまざまな種類があり、用途や環境に応じて適切なものを選定することが重要です。適切なモーターを選定しないと、性能が発揮できなかったり、故障の原因になったりすることもあります。

本記事では、ACモーターの選定手順や種類ごとの特徴、回転数とトルクの関係などを詳しく解説します。初心者でも迷わずにモーターを選定できるよう、わかりやすくまとめました。

ぜひ最後まで読んで、最適なACモーターを選定する際の参考にしてください。

1. ACモーターの選定手順

ACモーターを選定するときは、以下の5つのステップを順番に進めることでスムーズに選定できます。

① 用途を明確にする

まず、モーターをどのような機械や設備に使用するのかを整理します。

以下のようなポイントを明確にしましょう。

  • 負荷の種類: ベルト駆動、ギア駆動、直接駆動など
  • 動作の特徴: 一定速度で運転するのか、または可変速が必要なのか
  • 使用環境: 高温、多湿、粉塵の多い環境など特殊な条件があるか

用途を明確にすることで、モーターの種類や性能を絞り込むことができます。

② 必要な回転数とトルクを決める

モーターの回転数(rpm)とトルク(Nm)は、用途に応じて適切な値を選定することが必要です。

  • 回転数(rpm): 例えば、コンベアなら1,500 rpm前後のモーターが一般的です。
  • トルク(Nm): 負荷が大きい機械には、より高トルクのモーターを選定することが求められます。

回転数が高いほどトルクは小さくなるため、負荷に適したバランスを考えることが重要です。

③ 電源の種類を確認する

ACモーターを選定する際には、使用できる電源の種類を確認することが必要です。

  • 単相(100 V / 200 V): 家庭用電源で動作し、小型機器向け
  • 三相(200 V / 400 V): 工場などの設備で使用され、安定した駆動が可能

家庭用と工業用で使われる電源が異なるため、事前に確認しましょう。

④ 必要な制御方式を選定する

モーターの制御方式も用途によって異なります。主な制御方式は以下の2つです。

  • インバーター制御: 回転数を自由に変更でき、省エネ効果も期待できる
  • ダイレクトオン(DOL): シンプルな構造で、一定速度で動作する

速度調整が必要な場合は、インバーター制御のモーターを選定するのが一般的です。

⑤ ACモーターの種類を選定する

ACモーターにはさまざまな種類があり、それぞれ特性が異なります。(詳細は後述します。)用途に応じた適切なモーターを選定しましょう。

2. ACモーターとDCモーターの違い

モーターは大きくAC(交流)とDC(直流)の2種類に分けられます。どちらのモーターを選定するべきか、特徴を比較してみましょう。

項目 ACモーター DCモーター
電源 交流(AC) 直流(DC)
構造 ブラシレスで耐久性が高い ブラシがあり、摩耗しやすい
制御 インバータで回転数を変更可能 PWM制御で簡単に速度変更可能
用途 工場のコンベア、ポンプ、ファンなど ロボット、電動工具、EV車両など

3. ACモーターの種類と特徴

ACモーターには大きく分けて以下の2種類があります。

①同期モーター

  • 精密な回転数制御が可能です。
  • 発電機としても利用されます。
  • インバータ制御との相性が良いです。

②誘導モーター(インダクションモーター)

  • 一般的な産業機械に多く使用されます。
  • メンテナンスが容易で耐久性が高いです。
  • 回転速度は電源周波数と極数で決まります。

4. ACモーターの回転数とトルクの関係

同期モーターの回転数(rpm)の決まり方

同期モーターの回転数は、電源周波数と極数によって決まります。

回転数(rpm)=120×電源周波数(Hz)/極数

例えば、50Hzの電源で4極モーターを使用すると、回転数は約1,500rpmになります。

極数 50Hzの回転数 60Hzの回転数
2 3,000rpm 3,600rpm
4 1,500rpm 1,800rpm
6 1,000rpm 1,200rpm

誘導モーターの回転数とトルクの関係

誘導モーターはトルクによって回転数が上図のように変化し、以下のような特徴があります。

  • 起動時:起動トルクを発生
  • 回転数が上がると最大トルク(停止トルク)に達し、負荷とトルクがつり合った回転数で運転される
  • 定格運転時:安定したトルクを維持
  • 過負荷時:回転数が低下し、トルクが増加
  • 無負荷時回転数は同期モーターの回転数より若干低い

この関係は、モーターの極数によって異なる特性を示します。

  • 2極モーター(3,000/3,600rpm):高速・低トルク
  • 4極モーター(1,500/1,800rpm):中速・中トルク
  • 6極モーター(1,000/1,200rpm):低速・高トルク

用途に応じた適切な極数の選定が、効率的な運転のカギとなります。

まとめ|ACモーター選定のポイント

  • 用途を明確にし、必要な回転数とトルクを確認する。
  • 単相か三相か、電源の種類を把握する。
  • 誘導モーターか同期モーターか、用途に応じた種類を選定する。
  • インバータ制御が必要かどうかを検討する。

ACモーターの選定は、基本的なポイントを押さえることでスムーズに行えます。初心者でも失敗しない選定方法を、ぜひ活用してください。

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