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吸音と遮音による騒音の対策方法とは?

投稿日:2024年10月22日

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部屋で作業している時に外からの音が気になる、車を運転している時に「ゴー」といった車外の音が気になったなどの経験はないでしょうか?

建物や車などの製品にとっては、静かな環境を保つための防音性能は製品の価値を上げるための非常に重要な要素の1つとなっています。

本コラムでは、騒音の対策方法である「吸音」と「遮音」について基礎的な考え方をまとめました。

騒音に対する設計方法の基礎を学びたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

このコラムを書いた人

強度、振動解析の専門家
計算力学技術者(固体)、(振動)の1級を保有。航空機メーカーで10年、自動車メーカーで3年、それぞれ強度と振動の解析業務を担当する。現在は車載機メーカーで製品の強度・振動の保証業務の取りまとめ役。過去の経験や専門知識を活かして、悩める設計初心者に情報を発信する。趣味はサイクリング、2児の父として家庭と仕事の両立に日々邁進中。

騒音の種類

騒音は「誰かにとって望ましくない音」と定義されおり、音が大きくなるほど騒音を感じる人の不快感が大きくなります。

従って騒音の対策は音を小さくすることになりますが、騒音は音の伝わり方によって対策方法が変わってきます。

本章ではまず音の伝わり方の種類とその違いについて解説します。

空気伝搬音

空気伝搬音とは?

「空気伝搬音」は、「空気音」とも呼ばれ、その名前の通り「空気を介して伝わる音」のことを言います。

空気伝搬音は音源から発生した音が空気の振動として伝わる音で、窓や壁などを透過して伝わる音です。

例えば家の中で聞こえる音を考えてみると、隣の部屋から聞こえてくる話し声や、近くの公園から聞こえてくる子供の遊ぶ声、電車や車などが外を走る音などが空気伝搬音に当たります。

空金伝搬音の模擬図を以下に示します。

空気伝搬音は、音源からの距離が遠くなるほど音が小さくなる「距離減衰」や、防音壁などの上部から音が回りこみながら小さくなる「回析減衰」などの性質を持ちます。

空気伝搬音の対策

空気伝搬音は空気を介して伝わる音なので、音源から距離を取ったり、音源との間に壁や塀などの障害物を作ったりすることで音は小さくなります。

また、空気の隙間を遮断するように、構造物の気密性を上げることも対策となります。

空気伝搬音の大きさは以下の公式で計算できます。

騒音源から観測点までの距離が騒音源の寸法に比べて十分に大きい場合、この騒音源を「点音源」と呼ばれます。点音源という名前の通り、騒音源は1つを想定します。

騒音源から観測点までの距離をd、騒音源の出力をWとすると、観測点の音の強さIは、

となり、騒音源から観測点までの距離の二乗に反比例します。

また、道路のように自動車など多数の騒音源が直線状に並んでいる場合は、騒音源は半径dの円筒状に伝搬すると考えられ、観測点の音の強さIは、

となり、騒音源から観測点までの距離に反比例します。

なお、本コラムで紹介する「吸音」や「遮音」といった対策は、この空気伝搬音の対策方法です。

固体伝搬音

固体伝搬音とは?

「固体伝搬音」は、「固体音」とも呼ばれ、「音源から発生した振動が固体を介して観測点の近くまで伝わり、壁面などから放射される音」のことを言います。

空気伝搬音も厳密には外部の空気の振動によって壁面が振動することで、音が室内に伝わりますが、これは固体伝搬音には含まれません。

例えば家の中で聞こえる音で考えてみると、上の階の足音や洗濯機のモーター音、鉄道の振動によって発生するガタゴト音などが固体伝搬音に当たります。

固体伝搬音の模擬図を以下に示します。

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