「連載:幾何公差」(第1回)〜日本における幾何公差の現状と課題〜

投稿日:2022年10月11日

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いつもMONOWEB通信をご購読
いただきましてありがとうございます。

先日からご案内していました
新eラーニング(幾何公差入門講座)についての
最新情報をお伝えいたします。

本講座は、秋ごろの発売とお伝えしていましたが、

『 10月18日(火)リリース 』

に決定いたしました!

そこで、リリースまでの間
幾何公差について、知識を深めていただける
「連載メルマガ(全3回)」をお送りいたします。

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■ 連載メルマガの内容とは?

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先日行なったアンケートでは、
「経歴10年以上の設計者」からの回答が多く、
設計経験の長い方が、問題意識を強く持たれているようでした。

ですが、若手設計者の中にも

「本当に自分に必要な知識かな?」
「本当に仕事に活かせるかな?」

と、すぐに幾何公差の知識が必要と感じていなくても
漠然と悩まれている方も多いことでしょう。

そこで今回の連載では、

「なぜ、幾何公差が必要とされているのか?」

「仕事でどのように使えばいいのか?」

「幾何公差を使うメリットは?」

ということが、理解いただける内容となっています。

読み終える頃には、
幾何公差について理解が深まっているはずですので、
ぜひお楽しみください。

それでは、第一回目の本日は

「日本における幾何公差の現状と課題」

というテーマでお話していきます。

また、この度の連載メルマガについては
講座の制作責任者である「本田裕」が主に執筆しています。

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■ 製作責任者:本田 裕(専門家)の紹介です。

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経歴:形状・幾何公差・表面粗さ計測のスペシャリスト。

  ・16年間「精密測定機器メーカー」で機械設計・開発に携わる。
  ・第1回精密工学会論文賞、第46回発明大賞発明奨励賞などを受賞。
  ・特許出願6件、特許登録4件。
  ・その他、自動車・液晶・半導体メーカーなどへ測定面のアドバイス、
   講習会の講師を行う。

  ・計量法校正事業者登録制度 (JCSS)事業の立上げに携わり、
  ・国家機関に校正技術を認定される。

  ・日本工学測定機工業会(JOMA)の技術委員を務め、
   展示会・シンポジウム・セミナー等の運営や講演、
   JIS規格の制定・見直しなどを行う。

はじめまして、本田裕です。
この度「幾何公差入門講座」を制作させていただきました。

本講座が、少しでも設計者と加工者の意思疎通のかけ橋になり、
製品の高品質化、低コスト化に役立てば幸いです。

また、この度の連載メルマガについても
経験を踏まえ、役立つ内容をお伝えさせていただきます。

それでは、早速ですが
皆さんは幾何公差をどのくらい活用しているでしょうか?

私は測定機メーカーに勤めていたため、

「開発品の測定方法を顧客と一緒に考える」
「顧客へ測定方法を提案する」

ということを、たくさん行なってきました。

そのような経験の中で感じていたことが、

「 使用される図面には
 測定できない項目や精度を要求している
 ことが非常に多い 」

ということでした。

このような場合、

「測定できないものを、測定できるようにするのが、
 測定機メーカーの仕事だ」

という考え方もできるでしょう。

しかし、

「設計者にとっても、測定機メーカーが測定しやすい
 ように設計することが『仕事』である」

と考えて行動することが、
設計者にとって大切だと考えています。

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■ 幾何公差を活用できている設計者はどのくらい?

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ある機関の調査によりますと、
幾何公差のセミナーに参加するような意識の高い人でも、
幾何公差を活用している人の割合は「5割程度」のようです。

さらに、

・位置公差を使用しているのは「4人に1人」
・しっかりと計算して幾何公差を設定している人は「5人に1人」

ということでした。

この調査を参考にすると、
「幾何公差の有効性はわかっているが、活用できていない」
という方が多いことがわかります。

また、こちらの調査は設計者のみを対象としていますが、

実際に企業が幾何公差の導入を考えた場合、
設計者だけではなく、加工者や測定者など、
製造に関わる人すべてが理解して取り組む必要があります。

幾何公差は、
設計者だけが理解していれば良いものではありません。
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しかし、

幾何公差のような専門知識は
「学習のハードルが高い、教える人もいない」
という理由から、導入することを断念している企業が多いと感じています。

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■ なぜ、日本では幾何公差が普及していないのか?

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では、なぜこれまで
日本の企業は幾何公差を使ってこなかったのでしょうか?

その理由は、

「日本の技術力が高かった」

からです。

昔は、設計者と加工者が密に連絡を取ることで
加工者が、設計者の意図を汲み取って加工がされてきました。

ですが、
近年のグローバル化に伴い、海外での部品製作が多くなり
国内では当たり前にできていた意思疎通が難しくなっています。

さらに海外では、

「図面に指示が無ければやらない」

というのが当たり前です。

日本のように設計意図を汲み取って、過剰品質には作ってくれません。

そのため、
いままで幾何公差が無くても良いものができていたからといって、
今後も、同じ図面で良いものができてくるとは限らないのです。

今後のことを考えれば、
しっかりと設計意図を伝えるために、幾何公差を指示する必要があります。

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■ 幾何公差の「間違った認識」をしていませんか?

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幾何公差の導入をしていない企業の中には、
このような「間違った認識」をされている場合が多く見受けられます。

幾何公差についての間違った認識

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

× 幾何公差を使うと「コストがUP」する

× 幾何公差を指示すると検査が難しくなり「工数が増大する」

× 「サイズ公差(寸法公差)だけ」で十分

× 幾何公差は「設計者だけ」が知っていればよい

× 「非剛性部品(板金や樹脂)」には使えない

これらは、どれも間違いです。

このような間違った認識は、
幾何公差の普及を遅らせてしまいます。

以上、ここまでに
「日本における幾何公差の現状と課題」
についてお話をしてきました。

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次回(第2回)では

「幾何公差はなぜ難しい?」

をテーマにお話していきます。

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講座内容についても、
徐々に公開していきますので楽しみにしていてください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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