投稿日:2026年09月04日
いつもMONOWEB通信をご購読いただき、ありがとうございます。
本日は、MONO塾に新しく加わった
2人の専門家をご紹介します。
先日ご紹介した鈴木敬一氏に続き、
北條恵司氏と伯耆田淳氏のお二人に、
セミナー講師としてご登壇いただくことになりました。
お二人が扱うテーマは異なりますが、
向き合ってきた問題は同じです。
「正しく設計し、正しく管理したはずなのに、なぜ壊れるのか」
北條 恵司 ― 壊れないはずの部品が、次々に壊れた
北條氏が自動車会社でエンジンまわりの配管を
設計していたときのことです。
「どう考えても壊れないはず」の部品が、
次々に破壊する問題が起きました。
強度計算に誤りはありません。
材料の強度も足りている。
それでも壊れる。
原因は、材料そのものの強度不足ではなく、
「平面応力状態」を正しく捉えられていなかったことでした。
応力状態を見直し、計算方法を変更したところ、
破壊は起こらなくなったといいます。
北條氏は、この経験から次のように語っています。
「材料には、たくさんの強度があります。
それを使い分けなければならず、選択を誤ると
予期せぬ破壊が起こります。
設計者にとって大切なのは、
それを未然に知っておくことです」
大学卒業後、自動車会社でエンジン設計と
セラミクス材料の破壊力学研究に従事。
その後、工業高等専門学校の教員として
機械設計製図や疲労破壊の研究を続け、
現在は産業技術総合研究所で、
接着接合の耐久性・信頼性の評価に取り組んでいます。
約40年にわたり、破壊という現象を研究してきた方です。
伯耆田 淳 ― ねじの力が足りず、燃料がにじんだ
伯耆田氏が海外駐在から帰国し、
高圧ポンプの設計部門を担当していたときのことです。
以前発生した高圧燃料ポンプの部品の取付け部から、
燃料がにじみ出るという問題について、
社長を含む反省会で経緯を報告することになりました。
その部分は、ねじで部品を押し込み、
ガスケットを潰すことで密封する構造でした。
つまり、ねじを締めることで生まれる力が、
そのまま封止性能を決めていたわけです。
原因は、ねじが緩んだことでも、
ガスケットの品質でもありませんでした。
部品を押し込むために必要な力と、
ガスケットを潰すために必要な力。
この2つを精度よく見積もれていなかったため、
締結で得られる軸力が不足し、
ガスケットを潰しきれていなかったのです。
当時の設計資料を確認すると、
担当者はこの力関係を実験で確かめようとしていました。
しかしその検討はチーム内で共有されず、
多忙のなかで実施されないまま、生産が始まっていました。
ねじは、部品を「留める」だけのものではありません。
どれだけの力で押さえつけられているか。
その軸力が、製品の機能そのものを決めることがあります。
そして軸力は、締付けトルクを管理するだけでは決まりません。
締付けトルクの大部分は、ねじ部と座面の摩擦に費やされ、
ボルトを伸ばして軸力を生むために使われるのは、
そのうちの一部にすぎないからです。
トルクを管理することと、必要な軸力を設計すること。
この2つは、同じではありません。
伯耆田氏は、日立製作所で39年間、
自動車コンポーネントの製品開発、生産立ち上げ、
品質問題解決、製品収支改善を推進してきました。
そのうち21年間は海外です。
アメリカ駐在4回で19年、ドイツで2年。
現地の自動車メーカやサプライヤと共に、
製品を作り、問題が起きれば原因を突き止めてきました。
2024年5月に独立し、現在はその経験をもとに
エンジニア向けの技術指導を行っています。
専門家と、学びたい人をつなぐ
MONO塾は、機械設計を学ぶeラーニングとして
始まりました。
ただ、私たちがもともと考えていたのは、
教材を提供することだけではありません。
現場で長く経験を積み、
その分野を深く理解している方がいます。
一方で、その知識を必要としている設計者がいます。
その両者をつなぐ場をつくること。
それがMONO塾のもうひとつの役割だと考えてきました。
eラーニングは、体系的に学ぶには適しています。
しかし、教科書には書かれていないことがあります。
「なぜその判断をしたのか」
「どこで間違えたのか」
「現場では実際に何が起きたのか」
これらは、経験した人からしか聞けません。
鈴木敬一氏、北條恵司氏、伯耆田淳氏。
お三方をお迎えできたことで、
この取り組みを本格的に進められる状態になりました。
今後も、各分野の専門家と組みながら、
学びの場をお届けしてまいります。
今後のご案内
お二人のセミナーについては、
それぞれ改めてご案内いたします。
9月7日(月)メルマガ配信予定
北條恵司氏「金属疲労・破壊トラブルセミナー」
2026年10月14日(水)オンライン開催
9月14日(月)メルマガ配信予定
伯耆田淳氏「ねじ締結設計実践講座」
2026年10月20日(火)オンライン開催
どちらも、実際に起きた不具合とその原因を軸に、
設計の考え方を学んでいただく内容です。
また、来年には以下のセミナーも予定しております。
伯耆田淳氏「実例で学ぶ騒音低減設計セミナー」
2027年1月21日(木)オンライン開催
北條恵司氏「機械設計者のための構造用接着接合セミナー」
2027年2月9日(火)オンライン開催
内容が気になる方は、次回以降の配信をお待ちください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ものづくりウェブ事務局


