投稿日:2019年01月05日
設計の仕事をしていると、こんな瞬間に遭遇することはありませんか?
「よし、図面は完成!あとは試作を待つだけだ」
と、自信満々で出図した数週間後……。
製造現場や試作担当者から、血相を変えた連絡が入ります。
「ここ、工具が入らなくて組み立てられないよ!」
「強度が足りなくて試験で破損したぞ!」
「この形状だと、金型のコストが倍になるけどいいの?」
……そこからは、地獄のような日々です。
終わったはずの図面を引っ張り出し、
関連する部品の寸法を全て修正し、
部品表を書き換え、
納期遅れを営業に謝りに行く……。
「もっと早く気づいていれば、
線の位置を数ミリずらすだけで済んだのに……」
そんな後悔と共に、深夜まで残業した経験は、
誰にでもあるのではないでしょうか。
今日は、そんなエンジニアの天敵である
「設計後半での手戻り(設計変更の嵐)」から脱出し、
スマートに仕事をこなすための「思考法」についてお話しします。
なぜ、設計完了間近に「問題」は噴出するのか?
一生懸命設計したのに、なぜ後になってトラブルが起きるのでしょうか?
「自分の注意力が足りないからだ」と自分を責めてはいけません。
実はこれ、「設計プロセスの構造的な問題」なのです。
設計作業における「時間」と「コスト」の関係を示す、有名な法則があります。
一般的に、設計が進めば進むほど、
図面はより具体的になり、問題点が明らかになりやすくなります。
しかし、問題が発覚したときには、時すでに遅し。
設計の後半(詳細設計や試作評価の段階)になればなるほど、
「変更にかかる時間とコスト」は、指数関数的に跳ね上がります。
・企画段階なら、消しゴムで線を消すだけ(コストほぼ0円)
・詳細設計段階なら、関連部品すべてのCAD修正(数時間のロス)
・試作・製造段階なら、金型の修正や材料の再発注(数十万〜数百万円の損失)
つまり、「後で直せばいいや」という先送り思考こそが、
デスマーチ(過酷な労働状況)を招く最大の要因なのです。
「終わらない手戻り」を断ち切る3つの処方箋
では、どうすればこの悪循環を断ち切れるのでしょうか?
答えはシンプルです。
「フロントローディング(前倒し)」
これにつきます。
本来、設計の後半で発生していた検討や問題解決を、
あえて設計の初期段階(前半)に持ってきて、負荷をかけることです。
当講座のカリキュラムに基づき、
明日から使える具体的なアプローチを3つご紹介します。
1. 「3D」でコミュニケーションの質を変える
手戻りの多くは、「図面(2D)」だけでは伝わらない認識のズレから生まれます。
「空間が狭くて工具が入らない」
「部品が干渉する」
といった問題は、2次元の図面だけで発見するのはベテランでも至難の業です。
そこで活用したいのが「3Dモデル」や「3Dプリンター」です。
設計の早い段階で、ラフでも良いので3Dモデルを見せながら、
製造担当者や組み立て担当者と会話をしてください。
「これ、どうやって組み立てるつもり?」
「ここに隙間がないと、レンチが入らないよ」
そんな「現場の声」を、図面を確定する前に引き出すのです。
「設計の質はコミュニケーションの質」で決まります。
自分一人で抱え込まず、3Dを武器に他部署を巻き込みましょう。
2. 「解析(CAE)」で仮想実験を行う
「強度が持つか不安だけど、とりあえず試作してみよう」
これは、手戻りを招く典型的なパターンです。
試作で壊れたら、また設計やり直しです。
そうなる前に、コンピューター上で仮想実験(シミュレーション)を行いましょう。
これをCAE解析と呼びます。
・どこに力がかかっているか(応力解析)
・どれくらい変形するか
・熱はどのように伝わるか
これらを設計段階で予測し、「壊れそうな場所」を事前に補強しておくのです。
実物を作る前に「壊れる・壊れない」の当たりをつけておくことで、
手戻りの回数を劇的に減らすことができます。
3. 「FMEA」で故障を予言する
少し専門的な用語ですが、FMEA(故障モード影響解析)という手法も有効です。
これは、「部品がどのように壊れるか(故障モード)」を予測し、
その原因と影響をリストアップして点数化する手法です。
「もし、このボルトが緩んだらどうなる?」
→「液漏れして重大事故になる」
→「じゃあ、緩み止め対策が必要だ」
このように、設計図を書く前に「起こりうる最悪の事態」を先回りして潰しておくのです。
自動車業界などでは必須の手法ですが、
この考え方を持つだけで、設計の抜け漏れは驚くほど減ります。
【ミニクイズ】あなたの「フロントローディング」理解度は?
ここで、少し頭の体操をしてみましょう。
Q1.
製品開発において、設計変更にかかる「時間」や「コスト」が最も大きくなるタイミングは?
A. 構想設計の段階
B. 詳細設計の段階
C. 製造・組立の段階
Q2.
試作機を作る前にシミュレーションを行う技術は?
A. CAD
B. CAE
C. CAM
Q3.
「設計の質」を高めるために最も重要な要素は?
A. 高価なCADソフト
B. 一人での作業
C. 関連部署とのコミュニケーション
▼ ミニクイズの解答・解説は、ページの末尾に掲載しています。
独学では気づけない「仕事の進め方」
いかがでしたか?
「フロントローディング」や「CAE」、「FMEA」は、
エンジニアが自分の身を守り、より良い製品を作るための「武器」です。
しかし、こうした「設計の進め方」や「考え方」は、
市販のCAD操作本には載っていません。
日々の業務に追われるOJTだけでは、体系的に学ぶことも困難です。
その結果、多くの若手エンジニアが、
終わりのない修正作業に疲弊しています。
もしあなたが、
「もう手戻りで苦しみたくない」
「設計の全体像を理解して、自信を持って仕事をしたい」
と感じているなら。
設計の基礎から実践的なプロセスまでを体系的に学べる
「即戦力エンジニア養成講座」が、あなたの助けになるはずです。
まずは、今の自分の知識レベルを確認してみませんか?
▶︎ 即戦力エンジニア養成講座の詳細はこちら
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
皆様のさらなる飛躍を応援しております。
【解答・解説】「終わらない手戻り」から脱出する思考法
メルマガのミニクイズに挑戦していただき、ありがとうございます!
「なんとなくこれかな?」と思った方も、
「自信を持って答えられた」方も、
ここでしっかりと
「なぜそうなるのか?」という根拠を確認しておきましょう。
この根拠を知っているかどうかが、
現場でトラブルが起きたときの「対応力」の差となって現れます。
——————————————————————————–
Q1. 設計変更にかかる「時間」や「コスト」が最も大きくなるタイミングは?
——————————————————————————–
【正解】
C. 製造・組立の段階
【解説】
設計プロセスにおいて、変更にかかるコストと労力は、
後工程になればなるほど指数関数的に増大します。
・構想設計・基本設計(上流工程)
紙やデータ上の修正で済むため、コストはほとんどかかりません。
・試作・評価段階
試作費や再試験の費用が発生します。
・製造・組立段階(下流工程)
ここで不具合が見つかると、
金型の修正、材料の廃棄、ラインストップなどが発生し、
甚大なコストと時間のロス(手戻り)になります。
多くの現場で「残業続き」になってしまうのは、
本来、設計の前半(上流)で潰しておくべき問題を、
コストが最大化する後半(下流)まで
持ち越してしまっていることが原因です。
これを防ぐ手法が、
メルマガでも触れた「フロントローディング」です。
初期段階で負荷をかけて検討を尽くすことで、
全体の開発期間とコストを圧縮する。
これが「できるエンジニア」の鉄則です。
——————————————————————————–
Q2. コンピューター上で強度や熱などの仮想実験を行う技術は?
——————————————————————————–
【正解】
B. CAE(シーエーイー)
【解説】
A. CAD(Computer Aided Design)
設計支援。形状を作成し、図面化するためのツール。
B. CAE(Computer Aided Engineering)
エンジニアリング支援。
コンピューター上で製品の強度、熱、流体などの物理現象を
シミュレーション(仮想実験)するツール。
C. CAM(Computer Aided Manufacturing)
製造支援。工作機械を動かすためのプログラムを作成するツール。
CAE解析を活用する最大のメリットは、
「実物を作る前に、壊れる場所がわかる」
ことです。
試作品を作ってから
「壊れたからやり直し」
を繰り返していては、
開発費も時間も、いくらあっても足りません。
設計段階で3Dモデルを使って解析を行い、
強度不足や熱の問題を予測して対策を打っておく。
これにより、試作回数を減らし、
設計品質を向上させることができます。
——————————————————————————–
Q3. 「設計の質」を高めるために最も重要だとされる要素は?
——————————————————————————–
【正解】
C. 関連部署(製造・組立・検査など)との
コミュニケーションの質を高めること
【解説】
意外に思われたかもしれませんが、
設計において最も重要なのは
ツール操作でも個人の知識量でもなく、
「コミュニケーションの質」
です。
当講座のカリキュラムでは、
以下のようなサイクル(成功循環モデル)を重視しています。
1. 関係の質(コミュニケーション)を高める
↓
2. 思考の質(気づき・アイディア)が高まる
↓
3. 行動の質(設計の進め方)が変わる
↓
4. 結果の質(設計品質・成果)が上がる
自分一人でPCに向かっているだけでは、
製造現場の「作りづらさ」や、
組み立て担当者の「工具が入らない」
といったリスクに気づくことはできません。
加工、組立、品質管理、購買など、
他部署の専門家の「声」を
早い段階で聴くこと。
「設計の質はコミュニケーションの質」
と言われるほど、
周囲を巻き込む力は
エンジニアにとって不可欠なスキルなのです。
独学では学べない「設計の地図」を手に入れる
今回のクイズで扱った
・フロントローディング
・CAE
・コミュニケーション
といった要素は、
個別の専門書で学ぶことはできても、
「実務の流れの中でどう活用するか」
までは、なかなか見えてきません。
多くのエンジニアが、
「図面の書き方は教わったけれど、仕事の進め方がわからない」
「なぜ手戻りが起きるのか、根本的な原因がわからない」
と悩んでいるのは、
設計業務の「全体像(地図)」を
持っていないためです。
即戦力エンジニア養成講座では、
今回のようなクイズレベルの知識だけでなく、
・構想設計から詳細設計、試作、量産までの具体的なプロセス
・手戻りを防ぐためのデザインレビュー(DR)の進め方
・JIS規格や材料力学といった必須の基礎知識
これらを、実務の流れに沿って
体系的に学ぶことができます。
もしあなたが、
「今のままの働き方でいいのだろうか?」
と少しでも不安を感じているなら、
ぜひ一度、本講座の内容をご確認ください。
▶︎ 即戦力エンジニア養成講座の詳細はこちら










