ヘリサートの使い方とは?種類やインサートとの違いも解説

投稿日:2025年03月28日

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ヘリサートとは、タップ加工であけた、めねじの補強や補修に使うスプリング状の道具です。

この記事では、ヘリサートの基本的な使い方と加工方法を解説します。専用の工具が必要となり、手作業で加工します。

以下で詳しく解説していきます。

ヘリサートの加工後の使い方

ヘリサートは、専用の工具を使うことで、設置できます。ヘリサートを使うことで得られる効果は、以下の二つです。

  • めねじのねじ山の補強
  • めねじのねじ山の補修

特にアルミなどのやわらかい金属や樹脂にヘリサートを使用します。ヘリサートを使うことで、強度の高いめねじを作ることができます。

ねじ山の補強

ヘリサートの主な使い方として、めねじのねじ山補強です。アルミなどのやわらかい金属で何回もねじを入れ替えしたり、強い力で引っ張るようなめねじの補強に使います。

ヘリサートを設置することで、ねじ山が壊れたり、抜けたりすることを防ぎます。

ねじ山の補修

ヘリサートで壊れてしまっためねじのねじ山を復活させることができます。

補修したい場合には、壊れてしまっためねじより、一回り大きなヘリサート用のめねじを切り、一回り大きなめねじに、ヘリサートを設置することで、めねじのねじ山を復活させられるでしょう。(※母体の破損状況にもよります)

ヘリサートが使用できる場所とできない場所

ヘリサートは、専用の工具を使用します。そのため、専用工具が入らない場所には、ヘリサートを設置することはできません。

また、手作業による加工なので、時間もかかってしまいます。ヘリサートの設置が多い場合は、本当にヘリサートが必要なのか、再検討してみてください。

ヘリサートの使用できる場所

  • タップが切れる場所
  • 専用工具が入る場所

ヘリサートが使用できない場所

  • ヘリサートの挿入工具がはいらない
  • ヘリサートよりも板厚が薄いもの
  • 加工数が多いとき(時間がかかる)

ヘリサートが設置できない場合もあるので気を付けましょう。

ヘリサートの使い方(加工編)

ヘリサートを使うには、専用工具が必要となります。主に手作業で加工するので設置するには、加工技術が必要です。

ヘリサートの加工の仕方は以下の通りです

  1. 下穴をあける
  2. ヘリサート挿入用のめねじを切る
  3. ヘリサートを挿入する
  4. タングを折る

以下で詳しく解説します。

1,下穴をあける

ヘリサート挿入用のめねじの下穴をあけます。下穴径はこちらを参照ください。

下穴の深さは、以下の式で計算します。

S=Lb+2.5P

(S=下穴の深さ、Lb=ヘリサートの長さ、P=ピッチ)

例)M6、2D(12mm)、P1のヘリサートの下穴の場合

S=12+2.5×1=14.5

Φ6.4で14.5mmの下穴をあける。

2,ヘリサート挿入用のめねじを切る

ヘリサートを挿入するガイドとなるめねじを切ります。ヘリサート専用のタップを使って加工しましょう。

3,ヘリサートを挿入する

ヘリサートを挿入します。必ず専用の工具を使って挿入してください。穴の入口は面取りされているので、1巻き分深く挿入しましょう。

※注意点

  • ゆっくり下穴のめねじに沿って挿入してください。
  • 一度挿入すると引き抜けないので注意してください。
  • 手作業で加工するので加工時間がかかります。
  • ヘリサート設置には技術が必要です。

4,タングを折る

最後にタングを折り、折ったタングを回収します。タングとはヘリサートを挿入するときに使う突起のことです。

ねじが問題なく入れば完了です。ヘリサートの設置には、それなりの技術が必要となります。何度か練習してから、本番の加工をすることをおすすめします。

ヘリサートの長さと種類

ヘリサートには、メーカーにも寄りますが、通常めねじ径の1倍、1.5倍、2倍、の長さがあります。ヘリサートを設置する板厚よりも短いものを選んで使いましょう。

種類は、タング付きヘリサートと、タングなしヘリサートがあります。それぞれ挿入のための専用工具が必要となりますので、注意してください。

タング付きヘリサート

ヘリサートと言えばタング付きヘリサートのことをさします。タングと呼ばれる、挿入するための突起が付いているのが特徴です。タングの折り忘れや、穴の奥にタングが入って取れなくなることがありので注意しましょう。

タングなしヘリサート

タングなしヘリサートには、タングがついていません。そのためヘリサートを挿入後にタングを折り忘れる心配がありません。

ヘリサートとインサートの使い方の違い

ヘリサートというのは、インサートの一種です。

インサートには、ヘリサートのほかに、インサートナット、エンザート、鬼目ナットなど、様々な種類があるので、用途によって使い分けましょう。

商品名がそのまま呼び名になっていたり、使用者によって呼び名が違うことがあります。ヘリサートを設置する際は、どの形状のものか確認してから使用することをおすすめします。

ヘリサートの使い方まとめ

ヘリサートの使い方をまとめます。

  • めねじの補強や補修に使われます。
  • やわらかい金属(アルミ)や樹脂に使用します。
  • ねじの開け閉めが頻繁に行われる場所に設置します。
  • 手作業で設置するので、時間がかかるのが難点です。

ヘリサートは、ねじ山を補強できる手段として便利な道具なので頭に入れておきましょう。

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