投稿日:2022年02月04日
メカトロ設計を行っていると、必ず出てくるものがインターロックです。
設計に従事している人の中にもインターロックって何?というレベルの人も多いのではないかと思います。
電気的なインターロックの他にも、メカ的な設計でリミットスイッチがインターロックとして動作するというものもあり、メカ設計の人であってもインターロックについて習得しておく必要があります。
メカトロ設計には欠かせないインターロックの基本的な考え方を学びます。
インターロックは誤操作防止
インターロックは一言でいうと誤操作防止です。
回転機械を整備する際に、カバーが開いているとオフになるリミットスイッチがついていたとします。
リミットスイッチがオフとなっている間は、間違って機械の運転スイッチを押しても起動しないという構成をとる安全設計がインターロックです。
類似の例として、危険区域への人の立ち入りを制限するためのインターロック例です。
その他にも次の工程に進むための条件を信号で取り込んで、それらすべてがそろわないと、機械が起動しない、といったものもインターロックの例です。
インターロックとは、装置を安全に使用するためのセーフティーロックの意味合いと、連動で動かす場合の工程の順番を信号の条件をそろえて、起動させる機器の順番を決めるような場合に用いられるメカトロ設計で最も基本的な設計思想の一つです。
インターロックを設置しすぎると操作しづらくなる
インターロックは、リミットスイッチなどわかりやすい機器から信号を取っている場合ばかりではありません。
例えば、リミットスイッチの動作に加えて、複数の条件(バルブの開閉状態、貯留槽の一定水位以上など)が重なると、機器が置かれている場所も離れているような場合はとても操作がしづらい機器になってしまいます。
以下の写真のようなプラントも多く存在します。
この場合、故障時のテストなどで、その機器だけを運転したいような場合、様々な条件のインターロックが作られていると、それらをすべて解除してから運転しなければなりません。
安全性を考えるあまり、様々なインターロックを取り込みすぎてしまっては非常に操作性の悪い機器となり、機器の評判も落としてしまうことにもなりかねません。
インターロックのレベルは、
- 人身事故の防止
- 機器の故障防止
- その他の事項(水漏れ防止、無駄な動きの防止)
の順番で決められます。
3の項目まで多く網羅しようとすると、順序を決めて操作すればよい場所にもすべてインターロックが張られてしまい、順番を前後して動かしたい場合でも順番通りにしか動かせないというような状況にもなります。
設計開始時のヒアリング等で、
- 機器を実際に利用する人たちのスキルはどの程度なのか?
- ここまでインターロックを設定する必要があるのか?
といったことを設計段階で検討する必要があるでしょう。
インターロックは操作する人のことを考えて
インターロックは、その時々によって効果を発揮する場合もありますが、逆効果となる場合もあります。
機器のことをよく知っている人が多い現場では、インターロックだらけの機械はクレームのもとにもなりかねませんが、初心者が多い現場では、インターロックは重要な安全装置です。
設計を行う段階で、どのような人が多い場所に機器を納入するのかを考えてインターロックのレベルを設計する必要があります。
また、機器納入後の説明などで、どのようなインターロックがあるのかを説明するということも効果的です。
インターロックは、その機器をどのような人が操作するのかをよく考えて、どの程度までのインターロックが必要なのか設計する「人への配慮」が必要な難易度の高い設計です。