工事の見積書の見方を知っておこう

投稿日:2023年03月27日

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機器の更新や新設を行う時、据付工事を工事施工会社に依頼して工事を実施したことはありますでしょうか?

経験者であれば分かると思いますが、工事を依頼をした後に、まず施工業者から見積書が提出されます。

見積書を受け取ると、まず金額面ばかりに目が向いてしまいますが、その見積書の内容をしっかりと確認しておくことが大切です。

確認せずに工事依頼の契約すると、トラブルにつながる可能性もあります。

工事を行う機会が少ない方やまだ慣れていない方は、見積書の確認が十分にされずに、すぐに契約を結んでしまうことがあるので、注意しておきましょう。

この見積書の内容を入念に確認するだけでも、ほとんどのトラブルは防げるはずです。

見積書の内容を適切に確認することで、余計な手間や出費を無くすようにしたいですね。

工事の見積書の構成

工事の見積書の構成は、直接工事費と間接工事費とそれ以外の費用に分けられます。

直接工事費は、工事対象に対して行う材料費や労務費、機械費のことであり、撤去解体費も含みます。

一方の間接工事費とは、工事の対象に直接かからない費用のことです。物の運搬や工事期間中の宿泊費や交通費などの工事を行う為に必要な経費、現場監督費、さらに消耗品費やリース期間中の資材管理費などが含まれます。

その他に、直接工事費や間接工事費にも含まれない工事現場の管理費や法定福利費や一般管理費があります。

工事見積書の書式は各社で異なりますが、直接工事費、間接工事費、現場管理費、法定福利費、一般管理費が記載されているはずです。

ただし、見積書に記載されている費用の内、どれが「直接工事費」や「間接工事費」なのかしっかりと明記されているケースは少ないので、見積書を受け取ったらまずは分類をしておきましょう。

見積書の項目で疑問があれば質問すること

直接工事費について

直接工事費は、その名の通り実際の工事に関わる作業や機器購入の費用です。その為、作業の内容や機器仕様が依頼内容とマッチしているかを最も確認しやすい費用項目です。不要な項目や不足な項目がないかを確認し、必要に応じて見積書の再提出をお願いすることもあります。

項目が不明確である場合は、これらの確認も不十分になってしまう為。工事の内容や機械仕様がきちんと明記されているか確認しておく必要があります。

例えば、既設のポンプユニットを更新したいとき、施工業者によって見積書の記載内容(書式)が大きく違います。以下の施工業者の見積書を見てみてください。

表.A社の見積書(直接工事費の分)

項目 作業名 数量 単価 金額 備考
機器撤去費 ポンプユニットの解体 3台 ¥20,000 ¥60,000  
機器搬出 3台 ¥5,000 ¥15,000 トラック引取含む
機器費

ポンプユニット費
機器能力: **m3/hr
電源:**kW(3相200V)
材質:SUS304
メーカ:●●株式会社製
型式:□□型

3台 ¥150,000 ¥600,000 輸送車両含む
機器据付 機器搬入含む
アンカーボルトにて床固定
センタリング現場調整費含む
3台 ¥120,000 ¥360,000 配管接続作業も含む
試運転助成
作業費
試運転時の立ち合い 4人 ¥50,000 ¥200,000  
合計     ¥1,235,000  

表.B社の見積書(直接工事費の分)

項目 作業名 数量 単価 金額 備考
機器撤去費 ポンプユニットの撤去 1式 ¥75,000 ¥75,000  
機器費 ポンプユニット費 3台 ¥150,000 ¥600,000 輸送車あり
機器据付 現地据付作業 1式 ¥560,000 ¥560,000  
合計     ¥1,235,000  

2社ともに同じ内容の工事に対する見積書の内容ですが、記載事項はA社の方が明確です。B社の記載事項を見ると、まとめて記載されており、どんな作業を行うのか、どんな装置を設置するのかが分からない見積書となっています。

作業費用は、歩掛で計算されていることが多く、A社のように、各項目で数量と単価が記載されている見積書であれば、費用の根拠が伝わります。今回の例では、B社の見積書では、数量が「1式」となっており、金額の根拠も分からない見積書となっています。

工事内容が未定である場合は、発注者側が発行する見積依頼書(又は工事仕様書)に、どのような工事を行ってほしいか?

現場の工事は、どのような条件で実施しなければならないかを記載して、工事施工会社に伝える必要があります。それに応じて工事施工会社側は、現地調査や仕様決定を行うことになります。

気を付けなければならないのは、この見積書に記載がない作業は、見積費用に含まれていませんので、事細かにチェックを行なうようにしましょう。これがおろそかになることで、追加工事として、契約後の追加費用発生の要因になってしまいます。

何を行う費用なのか?この項目は必要なのか?という疑問がある場合は、必ず質問をしてその記録を残しておきましょう。

間接工事費について

工事に必要な機材のリースや仮設工事等は工事の規模や作業内容を細かく理解しなければ、見積書の内容を確認するのは難しいと感じるかもしれません。

間接工事費用の中で気になる項目や想定以上の費用がかかっている項目があれば、必ず質問を行い、何の為に必要な費用なのかを確認しておくようにしましょう。

消耗品費用、副資材費、資材管理費は、算出根拠が「作業費用に対して何%とする」という費用算出をしている場合が多いので、算出理由を聞いておくと良いです。

宿泊費や監督費は、作業日数や作業員の延べ人数によって決まるため、「作業工期」「作業人員人数」を聞いておきましょう。

現場管理費、法定福利費、一般管理費について

現場管理費、法定福利費、一般管理費の3つは、見積を依頼している工事施工会社によって金額や費用根拠は異なります。

現場管理費は、工事準備や工事期間の工事全体の管理を行う為の費用であるのでその費用が過剰なのか過少なのかを見積依頼者側が判断するのは難しいです。内容を確認する際は、見積を提出した工事施工業者に費用算定の根拠を聞いてみてください。

見積書の内容で両者が納得した上で依頼すること

見積書の不明確な項目を明らかにすることで、お互いに納得できる工事内容になれば、最終的な費用を工事施工会社に見積書を再度提出してもらってください。

よく希望仕様を工事施工会社へ口頭で連絡したから、きっと大丈夫なはずだ。と思い込んでしまい、見積書の内容に変更点や要求事項を反映せずに発注してしまうことがあります。

どのような形であれ、見積書に記載がない項目は、依頼内容に含まれていないことになりますので、口頭のみで連絡を済ませてしまう場合は、特に気を付けてください。

見積書には、その工事に関わる取引の記録を残すという役割もありますので、上手に活用してスムーズな工事の依頼が出来るようにしておきたいですね。