投稿日:2022年02月03日
あなたは次のような経験をしたことはありませんか?
- 設計終盤でコストが合わずに再設計
- 時間と手間をかけて類似部品を設計してしまった
- 加工が困難な図面を作成してしまった
初心者のみならず、経験豊富な設計者であっても、このような無駄な設計作業を経験したことがあるのではないでしょうか。
このコラムでは、上記のような無駄な設計作業を減らし、製造コストを安く設計するためのポイントをご紹介いたします。特に初心者の方は少し意識を変えるだけで、コストを安く設計できるようになりますので、このコラムを読んでぜひ、日々の設計業務にお役立てください。
市販品を積極的に使おう!
コストを抑えて設計する基本は、部品のオーダーメイドを避け、可能な限り大量生産されている市販品、具体的にはミスミやモノタロウ等で取扱われている市販品を使って設計する事です。
一般的に、オーダーメイドは市販品を購入するよりも高くつきます。それは、市販品は大量にまとめて製作する関係上、1個当たりの製作コストが安いからです。
また、オーダーメイド品は図面作成等の新たな作業が発生します。人件費抑制、設計リードタイム短縮の側面からも、オーダーメイド品は可能な限り避けた方が良いでしょう。
では、どのようにアプローチすれば良いのでしょうか?まずは「こんな形の、もしくはこんな部品が欲しい」という仕様を簡単に決めましょう。
次に、その仕様を満たすものが市販品で販売されていないかを調べましょう。
普段からカタログをデスクの横等に置き、「カタログに載っているこの部品、安いし使えないかな?」という視点で見ておくのが良いでしょう。
カタログは業者のホームページ等から、多くの場合無料で取り寄せができます。
そして実際の設計において、「多少形状は違うけど、この部品使える!」となった場合は、その部品を使いましょう。
「市販品ではどうしても無理!」そうなった時が初めてオーダーメイド品の出番となります。
市販品の寸法や形状をうまく利用して設計しよう
オーダーメイドで部品を設計する事になっても、意識次第でコストを抑えることが可能です。
ここでは丸棒の形状と板の形状の2つの設計事例で考えてみましょう。
まず、丸い形をした軸部品を設計するケースです。購入した材料の直径がΦ10だったとします。
これをできるだけ小さくしたいからといってΦ9に設計するのはいかがでしょうか?
次に板形状です。購入した鉄板の厚みが6mmだったとします。これを軽量化したいからといって5mmに削るのはいかがでしょうか。
材料費が安くなるのでコストダウンできた! と喜んではいけません。なぜなら、材料費の削減効果以上に加工費がかかってしまうケースがあるからです。
丸棒や板材は、規格で寸法が決まっています。
例えば板材の場合、
0.8 1.0 1.2 1.5 2.0 ・・・ のような厚さの規格があります。設計の際は、前もって規格の寸法を把握しておき、これを参照して設計していきましょう。
こうした流通している材料を念頭に設計を進めていくとコスト面で有利な設計が可能となります。
それって一番安いの?“あいみつ”は必ずとろう!
あなたは家電製品を購入するとき、どのような行動をとりますか?複数の家電量販店を訪問したり、インターネットで安い商品を探したりしますよね。
なぜなら、同じ商品でも価格が異なることも多いからだと思います。
実は、設計部品も家電製品と同様に、加工業者によって金額が異なってきます。しかも、家電製品とは比べることができないほど、価格差が生じることも良くあります。
従って、部品を製作してもらうときには、必ず複数の業者に見積をとるようにしましょう。
これを「相見積もり」といい、業界用語で、しばしば“あいみつ”とも呼びます。
同じ図面を渡しても、見積額が倍以上開くケースは多々あります。したがって、必ず複数の業者に見積もりを依頼しましょう。
まとめ
いかかでしたでしょうか?
今回は超初心者向けに、少し意識するだけで製造コストを1/2にも1/3にも抑えられるちょっとした方法を紹介いたしました。
- 市販品を可能な限り使い、オーダーメイドは避ける
- オーダーメイド品は規格に合わせて設計する
- “あいみつ”をとる
これらのポイントを押さえて、コスト低減に努めるようにしましょう。
あなたにおすすめ
- 【材料選定の考え方、加工方法を動画で学ぶ!全9章(300分)】
金属、アルミ、プラスチックとあらゆる材料の種類が理解できる