W(ワット)とJ(ジュール)とcal(カロリー)の変換方法

投稿日:2024年07月22日

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エネルギーを計算するために、cal(カロリー)とJ(ジュール)の変換方法を思い出そうとして困った経験がないでしょうか。

機器・電気・化学のあらゆる分野で、エネルギーの単位変換は非常に重要です。日常生活の中でも、食品のエネルギー量をジュールに換算したり、電気代の計算をしたりする場面では、これらの変換が必須です。

とはいえ、エネルギーの単位は、WやJやcalの複数の単位が存在するので、変換が面倒ですよね。

この記事では、エネルギーの代表的な単位であるワット(W)、ジュール(J)、カロリー(cal)について解説し、それらの単位をどのように変換するかをわかりやすく説明します。また、電気代の計算方法やWh(ワット時)の意味についても触れています。

ジュール(J)とは?

ジュール(J)はエネルギーの標準単位であり、国際単位系(SI)において使用されます。ジュールは、1ニュートンの力が1メートルの距離で物体に対して仕事をした時のエネルギー量を指します。

エネルギーは、様々な形で存在し、例えば運動エネルギー、電気エネルギー、熱エネルギーなどが挙げられます。

ここで、ニュートン(N)は力の単位であり、メートル(m)は距離の単位です。

ワット(W)とは?

ワット(W)は、仕事率と呼ばれる値の単位で、1秒あたりのエネルギー量(1秒当たりのジュール量)を表します。この仕事率は、主に電力で用いられます。

電力とは、単位時間あたりに使用されるエネルギーの量を表します。例えば、100ワットの電球は、1秒間に100ジュールのエネルギーを消費することを意味します。ワットの定義は以下の通りです。

1ワットは1秒あたりに1ジュールのエネルギーを消費することを示しています。

カロリー(cal)とは?

カロリー(cal)は、主に熱量を表す単位で、特に食品のエネルギー量を示す際に用いられます。1カロリーは、1グラムの水の温度を1℃上昇させるのに必要なエネルギー量を指します。

カロリーとジュールの変換

最も世の中のエンジニアを悩ませるであろうカロリーとジュールの単位換算方法を説明します。

係数の覚え方はいろいろあると思いますが、4.186の値を覚えられない人は、「おいしいハム=おい4(し)1(い)8(ハ)6(ム)」で覚えてください。

calは使用できない?変換の注意点について

古い参考書や教科書ではcalの表示は残っているかもしれませんが、工業の分野ではすでに使用できない単位であるため、calではなく、J(ジュール)を使うようにしましょう。

カロリーからジュールへの変換係数をインターネットで検索するエンジニアをたまに見かけますが、注意が必要です。なんと、係数は4.186と4.184の2つの値が存在するのです。正確にはもっと存在しています。私もこのことに気づいた時、混乱した経験があります。

カロリーとジュールの定義は、科学的な測定や歴史的な経緯に基づいて複数存在しているのです。4.186J/calの値は、カロリーを定義するための初期の実験結果に基づいていますが、後により精密な測定技術により、4.184J/calが広く採用されるようになったようです。

インターネットで検索するとおそらく、1cal=4.184Jが出てくると思いますが、それは現在定義されている換算式であり、古い書籍に残っている実験データや理論は、1cal=4.186Jで変換するようにしましょう。

calには複数の定義がある

JIS Z 8202-4 附属書 Bにカロリーについて以下の定義がありますが、JIS Z 8202は現在廃止されています。

そこには、以下の複数のカロリーの定義が記載されています。

①15度カロリー 換算式:1cal15=4.1855J

15度カロリー(表記:cal15)は,101.325kPaの定圧で,空気を含まない1g の水を14.5℃から15.5℃まで加熱するのに必要な熱量として定義していました。

1cal15=4.1855Jで定義されるこの値は,0.0005Jの不確かさがあるようです。

この換算式は、国際純粋応用物理学連合が1934 年に“グラム・カロリー”の類似の定義を発表した時点で、経験から導き出された最も完全な値として測温及び測熱諮問委員会によって提案され,国際度量衡委員会(CIPM) で採択(1950 年)されたものです。

②I.T.カロリー 換算式:1calIT=4.1868J

I.T.カロリー(表記:cal IT )は,別名「国際蒸気表カロリー」呼ばれており、第5回国際蒸気性質会議(ロンドン1956 年7月)で採択された定義です。

③熱化学カロリー 換算式:calth=4.184J

カロリーは、「人若しくは動物が摂取する物の熱量又は人若しくは動物が代謝により消費する熱量の計量」に限って使用できる単位として計量法では認めています。

その大きさは 1999年10月以降、1 cal = 4.184 Jの換算式を使用することになっています。食品のカロリー表示だけが、カロリーという単位を使用できるのです。

Wh(キロワット時)とは?

Wh(ワット時)は、電力の使用量を示す単位です。1Whは、1Wの電力が1時間に消費されるエネルギー量を表します。その値が1000Wh(ワット時)となれば、1kWh(キロワット時)となります。

電気料金には、必ず使った電気使用量をkWhで表しています。
例えば、100Wの電球を10時間使用すると、消費されるエネルギーは1kWhになります。

電気使用量=電球消費電力100W×10時間=1000W=1kWh

kWh(キロワット時)は家庭での電力消費量や電気代を計算する際に非常に重要な単位なので覚えておきましょう。

電気代の計算方法

電気代を計算するためには、まず消費した電力量(kWh)を求める必要があります。例えば、500Wの電化製品を1日8時間使用した場合の消費電力量は次のようになります。

消費電力量[kWh]=消費電力500W×8時間=4000W=4kWh

次に、電気料金単価(円/kWh)を掛けることで、電気代を求めることができます。

電気代(円)=消費電力量(kWh)×電気料金単価(円/kWh)

例えば、電気料金単価が30円/kWhの場合:

1日分の電気代=消費電力量4kWh×電気料金単価30円/kWh=120円

毎日使用した場合の年間電気代は、

年間の電気代=1日の電気代120円×365日=43,800円

身の回りのエアコンや冷蔵庫の年間電気料金を計算してみてください。電気代の節約を検討する際にこの計算をしておくと、効果が分かりやすいですね。

まとめ

エネルギーの単位であるワット(W)、ジュール(J)、カロリー(cal)、およびWh(ワット時)について、それぞれの定義と変換方法を説明しました。

エネルギー単位の変換方法や電気代の計算方法を理解することで、例えば電気料金の計算や、ダイエットのためのカロリー計算など、様々な場面で役立つ知識を身につけることができます。