投稿日:2022年11月28日
「上司から加工装置を別の建物に移設するように指示されたが、業者にお願いするにはどうすればよいのか分からない」
「複数の装置を引っ越ししたいが、事前にどんなことに気を付けておくべきか」
機械装置を違う場所に移設したりするのは、装置の新規導入時や引っ越し時などの場面で起きます。機器移設や工事に普段から携わっていない人は、突然移設を上司に命じられても、何から準備したらよいのか、迷ってしまうかもしれません。いざ移設作業に取りかかっても、フォークリフトの手配忘れや、通路の確保出来ていない等の準備不足が原因で、作業が滞ってしまった経験は無いでしょうか?
1、2人で持って運べる装置で有れば、特に計画も立てずに、さっさと移動してしまうかと思います。しかし、ある程度大きな装置である場合、プロの業者にお願いする人もいるかもしれません。慣れていない人が移設の計画を立てるには少しハードルがぐっと上がりますよね。
この記事では、そんな大きな機械装置を移設する際に考慮すべきポイントをまとめてみました。
プロの引っ越し業者に、「この装置をあそこに移動したい」とだけ伝えるだけで、大抵のことは解決してくれるかもしれませんが、ポイントを知っておくだけで、移設作業がスムーズに進むため、移設費用をぐっと抑えられるかもしれませんよ。
まずは移動するものをリスト化する
機器を移動する場合、まず注意する事があります。
- 移動するものが全部で何個あるのか分からない。
- 機器の重量が分からない。
- どこに置くのかハッキリしていない。
この3つが不明確であると、移設を依頼された業者もどうすればよいのか分からなくなるため、必ずこの3つを書き表したリストや配置図を用意しましょう。
このリストは、依頼業者との連絡やり取りや移動計画を立てる際に特に有用なので、「口で説明すれば分かるだろう」「自分が把握してれば大丈夫」と思わずに、準備をしておきましょう。
明確な図面が無い場合は、写真を撮影してその写真をリストに貼り付けておくといいですね。
建物から出すにはどうするか
次に移設したい装置を建物から外に出すにはどうすれば良いかを考えましょう。
外に出すためにはその一階に下ろすか、搬出用のベランダやデッキを利用するかによって、その装置の移動するルートが変わります。どのルートが最適かをあらかじめイメージして置くと、依頼する業者に説明がしやすくなります。
屋外に出すルート選びは、どうやって1階の玄関口を目指すかのみを考えるのでは無く、屋上や各階にあるベランダやデッキからクレーンを用いて地上に降ろすことも検討して判断するようにしましょう。それによってはレッカーの手配や荷下ろしに必要な道具が別途必要になります。
続いては、その搬出ルートの幅がどれくらい必要なのかを機器図から把握してください。エレベーターが利用できるか、入り口の扉を通過できるかは必ず現場で確認が必要となるので、その装置の外形寸法が分かる資料があると便利です。
もし、建物内の扉や通路が通過出来ない場合、装置を分解して運び出す必要があるので、その分解ができる人(装置メーカーのSVや組立業者)を手配しなければいけません。
又、建物内をどのように移動していくかも考えておく必要があります。
屋内での移動時に必要となること
屋内を機器を移動(横引き作業と呼ぶ)する際に、考慮しておくことや用意しておく必要があることを以下にまとめておきます。
- 台車、ハンドリフター、チルローラーなど、積載して運ぶ道具は何を使用するか。
- 屋内の天井クレーンがある場合は、ワイヤー、ロープ、枕木を手配する。(クレーン運転資格者を用意しておく必要があります)
- 人手では持ち上がらない重量物である場合、台車やリフター載せる際に使用する油圧ジャッキを手配する。
- 機器が床面や壁に固定されている場合は、その固定具を外す工具や切断除去する為の電動鋸やディスクサンダーを準備しておく。
- 搬出時に利用するクレーン等の重機(運転手と合わせて手配が必要です)を手配する。
※もし引っ越し業者に依頼する場合は、上記➀~⑤の手配も含めてお願いする様にしましょう。
屋外での移動方法はどうする?
装置を屋外に出した後にどのように移設先に移動するかも考えておく必要があります。
例えば、移動手段は何か?、どのルートで移動するか?、制限サイズを超えないか?の3つについて考えておくとよいでしょう。意外と忘れがちなのが、「屋外に装置を出してから、車両に載せるっための手段を用意することを考えておく必要があります。
人手で持ち上げて載せることができるのであればあまり問題にはなりませんが、クレーン等の重機やフォークリフトの手配が必要かどうか検討をしてください。
くれぐれも「装置を屋外に出すことが出来たら後は何とかなるだろう」と考えてると、準備不足になってしまいます。屋外に装置を出してすぐに、装置の移動がスムーズにできる様に準備しておくことが大切です。
車両に載せて移動する場合は、以下のポイントに注意しておきましょう。
ポイント1:車両の最大積載量を超えて載せない様に注意する。
最大積載量は、たいていトラックの車両のどこかに記載がありますので、その数値を超えない様に積み込む様にしましょう。最大積載量の目安として、小型トラックは4,5t、中型トラックは8t未満、大型トラックは20t~25t以下です。
ポイント2:移動車両は平ボディー?ウイング車?
移動車両に使用するトラックは、平ボディーとウイング車のどちらかを手配することになるかと思います。
平ボディーのトラックは、一般的に簡単に手配しやすく、重機などを使って上から荷物を積みたい場合はこの平ボディーにしておく必要があります。
ウイング車のトラックは、雨にぬれずに運ぶことができ、天候に作用されず移動することができるため、精密機器やクリーンな環境を好む装置の移動は、このウイング車を利用することになります。しかし、ウイングカバーがあり、クレーンでの積み降ろし作業が出来ないため、フォークリフト等の車両が別途必要になります。
ポイント3:移動ルートの積載高さは問題無いか?
一般公道を走る車両は、道路法で高さ制限3.8mや4.1m以下と決まっており、幅2.5m以下、荷物長さ12m以下と定められています。その為、これらを超え無いように機器の分解をする必要があります。
移動先の現場確認は済ませたか
最後に、機器の移設先の搬入ルートを事前に確認しておきましょう。設置したい場所までの移動ルート上に障害物が無いかを確認し、事前に障害物を取り除く必要があるかを調査しなけければいけません。
搬入時の通路幅や車両通行時の車幅、高さ制限等をなるべく細かく採寸しておくと、レッカー配置や車両選定が容易になります。
又、設置時の固定方法についても施工方法を考えておく必要があります。
固定法の注意事項➀
アンカーボルト固定の場合は、ボルト埋込み長さがコンクリート厚さを超えることなく、十分にあるか。ボルト固定時に、コンクリ―トを貫通してしまわない様に注意が必要です。
固定法の注意事項➁
装置の金属部を溶接で連結して固定する場合、現場で裸火を使用できるか?をその管理者に確認しておきましょう。場合によっては、火気使用の制限がある場合もあるので事前に確認しておくことをおススメします。
まとめ
移設作業のトラブルの一番の要因は現場調査不足です。
大型機器の移設になればなるほど、重機やトレーラの手配や動員作業員の費用が増えるため、ちょっとしたタイムロスが大幅なコスト増につながります。事前に準備できるものは機器移設前に必ず済ませておくようにしましょう。
以上をまとめると、機器の移設を行う場合は以下のことに注意して計画を立てておきましょう。
準備するもの | ①移設機器の名称や重量、個数を記載したリスト ②移送先の機器設置場所(配置図) |
屋外へ持出作業で手配するもの | ①台車、ハンドリフター、チルローラー ②搬出時に利用するクレーン等の重機手配 ③重機やフォークリフトの手配 ④持ち出すルートの確認 |
屋外での移動時に気を付けること | ①車両の積載重量以下となるように載せる ②トラックの形状を平ボディーとするか、ウイング式とするを決める ③積載したトラックの高さや幅は公道を走れるか確認 |
移設先の搬入前に確認しておくこと | ①搬入ルートは確保できるか ②機器据付の固定法は、既設と同じ固定方法が可能か ③工事箇所の裸火の使用は問題ないか |