現場でのCAE活用の課題とは?+アンケートご協力のお願い

投稿日:2025年05月20日

現在、「CAE解析」に関するシリーズを3回にわたってお届けしております。

最終回となる今回は、CAE活用の現場でよく見られる課題や悩みについて簡単にご紹介しつつ、今後の講座づくりに向けて、皆様のご意見を伺いたいと考えております。

ぜひアンケートにご協力いただき、より現場に寄り添った講座開発にお力添えいただければ幸いです。

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製品設計の現場では、3D-CADやCAE解析の活用がますます重要になっています。

特に、シミュレーションを活用することで 「設計経験」を圧倒的に加速できることをご存じでしょうか?

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現在、CAE解析の基礎を学べるeラーニングの開発を検討しております。

つきましては、皆様のニーズを把握するため、アンケートを実施しております。ご多忙のところ恐れ入りますが、ぜひご協力のほどお願いいたします。

アンケートはこちら
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【製品設計は過去に学び、過去を疑う】

製品設計の現場では、新しいアイデアを提案すると、よくこんな言葉が返ってきます。

「それは過去にやって失敗したよ。」

この言葉には、過去に学んだ経験を後輩に伝え、同じ失敗を繰り返してほしくないという善意や配慮が込められています。
経験豊富な先輩や上司がそう言うのには、それなりの理由があるのです。

確かに、過去の失敗を無視して同じことを繰り返すのは無謀です。
しかし、だからといって新しいアイデアをすべて否定してしまってよいのでしょうか?

本当に重要なのは、過去に学びながらも、過去を疑うことです。

新しいアイデアを通すためにやるべきこと

① まずは過去の失敗を詳しく調べる

「過去に失敗した」と言われたら、すぐに諦めるのではなく、まずはその失敗の理由を徹底的に調査しましょう。

・どのような条件で失敗したのか?
・技術的な課題は何だったのか?
・そのときの材料や製造技術は、現在と同じなのか?

例えば、30年前に「この材料では強度が足りない」と判断された設計でも、現在の材料技術なら問題なく成立するかもしれません。

また、当時の加工技術では難しかったものが、今なら簡単に実現できるケースもあります。

単に「失敗したからダメ」ではなく、「今ならどうか?」を考えることが大切です。

② 経験には理論で対抗する

「過去にやってダメだった」と言われたとき、その意見は感覚的なものかもしれません。

ベテランの経験則は非常に貴重ですが、それが常に正しいとは限りません。
設計の世界では、経験よりも理論が優先されるべき場面も多くあります。

・「なぜダメだったのか?」を数値や理論で説明できるか?
・「この条件なら、当時と違う結果になる」と論理的に示せるか?

例えば、「この構造では強度が足りない」と言われたら、FEM解析を使って新しい設計案の強度をシミュレーションし、数値で説明することで意見が変わるかもしれません。

ベテランが経験豊富だとは限らない

製品設計では、経験が重要視されることが多くあります。
しかし、「ベテラン=経験豊富」とは限りません。

例えば、強度評価を実際に経験するには、
設計 → 机上検討 → 試作品製作 → 応力測定というプロセスを経る必要があります。

しかし、これは非常に時間とコストがかかるため、1回の経験を積むのに数年単位の期間が必要になることも珍しくありません。

・ゲージを貼った部分しか計測できないため、得られるデータも限られる
・試作、測定にかかる時間を考えると、3年間で1回程度しか経験できない可能性がある

このように、従来の方法では「経験を積む機会そのものが少ない」ため、たとえ長年設計をしている人でも、特定の分野の実験的な知見は限られるのが実情です。

そこで重要になるのが【シミュレーションツール】の活用です。

① 3D-CADやシミュレーションツールの活用で経験を加速させる

CAE解析を活用することで、設計経験を圧倒的に加速できます。

・シミュレーションを使えば、試作をせずに何度も強度評価が可能
・従来の試作・測定に数年かかる経験を、数時間で積むことができる
・計測できる範囲が広がり、より多くのデータを得られる

② シミュレーションツールの普及が大企業から中小企業へ

一昔前までは、高度な解析ツールは大企業しか導入できないものでした。
しかし、近年はソフトウェアの価格が下がり、中小企業でも手軽にCAEを活用できる環境が整っています。

・FEM解析や流体解析の低価格化
・クラウド上でシミュレーションを実行できるサービスの登場
・解析結果を直感的に理解しやすいUIの進化

これにより、経験豊富なベテランだけが頼りだった時代から、誰もが短期間で多くの設計経験を積める時代へと変わりつつあります。

過去の成功も疑うことで進歩が生まれる

「失敗を分析する」ことは多くのエンジニアが意識していますが、「成功を疑う」ことは意外と忘れがちです。

・その設計は、本当に最適なのか?
・もっと良い方法があるのではないか?
・技術の進歩を取り入れることで、さらに優れた設計にできないか?

過去の成功を見直すことで、新たな発想が生まれることもあります。

設計において重要なのは、「今までのやり方に固執せず、常に最適な方法を考えること」。

・過去の失敗を学ぶだけでなく、過去の成功も疑う。
・「常識」とされていることを見直し、より良い設計を追求する。

こうした姿勢が、新しい時代の製品設計を支えるのです。

進歩とは、過去に学びながらも、過去を疑うこと。
常識を疑い、新しい発想にチャレンジすることが、より良い設計への第一歩です!

CAE解析を活用するための基礎を学ぶ

現在CAE解析の基礎を学べるeラーニングの開発を検討しています。
つきましては、皆様のニーズを把握するためのアンケートを実施しております。

ぜひご協力をお願いいたします!

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ものづくりウェブ事務局