第3回:「なぜ意図が伝わらない?」構想図で変わる設計の伝え方

投稿日:2026年05月25日

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さて、本日が「機能設計編」メルマガシリーズの最終回です。

前回のメルマガでは、
機能をどのように分解し、整理するかという“機能分解”の重要性についてお伝えしました。

そして今回は、いよいよその機能を
構造」という形に落とし込み、設計を前に進めるための考え方に焦点を当てます。

構想図がないと、設計意図は伝わりにくい

機能を整理できても、
どう構造に落とし込めばいいか分からない
と悩んだことはありませんか?

構想段階で多くの設計者がつまずくのが、
“機能と構造がつながらない”という問題です。

どれだけ機能が明確でも、
それを実現する構造に落とし込めなければ、
設計は前に進みません。

機能設計のゴールは、
「考えること」ではなく「形にすること」にあります。

よくある場面:機能はあるが設計が進まない

ある設計者が、
「ワークを安定して搬送する」という機能を整理したとします。

しかし、その後の検討で、

「どの方式を採用するべきか決められない」
「構造案が複数あり、判断がつかない」

という状態に陥ってしまいました。

この原因は、
機能と構造のつなぎ方が曖昧なことにあります。

機能を構造へ展開するには、
“考え方の型”が必要なのです。

構想図が「設計の地図」になる

機能を構造へとつなぐうえで重要なのが、
構想図」です。

構想図とは、
機能と構造の関係を整理し、
設計の全体像を可視化したものです。

構想図を描くことで、

・どの機能をどの要素で実現するのか
・各要素がどのように関係しているのか
・設計の抜けや矛盾がないか

を一目で把握できるようになります。

つまり、構想図は
設計を進めるための“地図”の役割を果たします。

構造検討のポイントは「比較」と「選定」

機能を構造へ展開する際には、
1つの案に決め打ちするのではなく、
複数案を比較することが重要です。

たとえば同じ「動かす機能」でも、

・モーターで実現するのか
・空圧・油圧で実現するのか
・チェーン・ベルトで実現するのか
・リンク機構で実現するのか

といったように、
複数の実現方法が考えられます。

それぞれの案について、

・性能
・コスト
・製造性
・メンテナンス性

といった観点で比較し、
最適な案を選定していくことが必要です。

このプロセスを経ることで、
設計の根拠が明確になります。

ストーリー:設計が止まっていた原因に気づいた瞬間

30代の設計者・山本さんは、
搬送装置の構想設計を担当していました。

機能はしっかり整理できていたものの、
構造検討の段階で手が止まってしまいました。

どの案も一長一短があり、
決めきれなかったのです。

そこで上司から言われたのが、
「その検討、構想図で整理しているか?」という一言でした。

山本さんは、
機能と構造の関係を構想図として描き直し、
各案を比較できる形に整理しました。

すると、
どの機能にどの構造が適しているのかが明確になり、
判断が一気に進みました。

山本さんはこう振り返ります。
「頭の中だけで考えていたときは迷っていたが、
 図にしたことで設計の道筋が見えた。」

構想図は、
設計を前に進めるための強力なツールなのです。

なぜデザインレビューで差がつくのか

構想設計の成果は、最終的にデザインレビューで評価されます。

ここで問われるのは、
「形ができているか」ではなく、

・なぜこの構造を選んだのか
・他の案と比べて何が優れているのか
・要求機能を本当に満たしているのか

といった“設計の根拠”です。

機能が整理されていない設計は、
この問いに答えることができません。

一方で、
機能分解から構想図まで一貫して整理されている設計は、

・説明に一貫性がある
・指摘に対して論理的に回答できる
・関係者の納得を得やすい

という大きな違いが生まれます。

つまり、機能設計とは、
「デザインレビューで説明できる設計」をつくるための土台なのです。

機能から構造へ ― 設計者が持つべき視点

構想段階の設計では、
「どう作るか」をいきなり決めるのではなく、

・機能との対応関係が明確か
・他案と比較して優れているか
・全体として整合性が取れているか

といった視点で検討することが重要です。

構想図を活用することで、
これらを客観的に判断できるようになります。

つまり、
“考えを見える形にすること”が、
設計の質を高める鍵となるのです。

“形にする力”を、実践で“使える力”へ

本講座の後半では、
ここまで学んできた「要望 → 機能 → 構造」という思考プロセスを、
実際の設計テーマに適用していきます。

機能分解から構想図作成、構造選定までを一気通貫で行うことで、
設計の進め方を“実践レベル”で身につけることができます。

単なる知識の習得ではなく、
実務で使える「設計の型」として定着させることが、本講座の狙いです。

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