【ものづくりの学び】OJTだけで本当に大丈夫?新人設計者が伸び悩む本当の理由

投稿日:2026年03月23日

新しい環境で設計を学ぶとき、
多くの方が「まずは先輩の隣で仕事を覚える
というOJT(現場教育)からスタートします。

実際の製品に触れながら学べるため、
一見すると効率が良く、成長への近道のように感じられるかもしれません。

ただ、こんな感覚を持ったことはないでしょうか。

言われた通りにやっているのに、なぜかうまくいかない

最初は小さな違和感でも、
それが積み重なると次第に自信を失っていきます。

実はこうした状態は特別なことではなく、
多くの若手設計者が通る共通の壁です。

そしてその背景には、
OJTだけに頼った学び方」があります。

さらに言えば、これは個人の能力の問題ではなく、
教育の構造そのものに原因があるケースも少なくありません。

今回は、現場でつまずきやすい理由と、
そこから抜け出すヒントをお伝えします。

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よくある現場のつまずき

実際に、こんな経験をした方も多いのではないでしょうか。

先輩の図面を参考にしながら、
言われた通りにモデルを作成し、
指示通りに寸法を入れて提出する。

細かい部分も確認し、
自分なりに「問題ないはず」と思って提出する。

しかし「これで大丈夫だろう」と思った図面が、
現場から差し戻される。

「この形状だと加工できないよ」
「ここ、強度足りてる?」

さらに、
「この寸法だと組付けできないかもしれない」
といった追加の指摘が入ることもあります。

そう言われても、
どこが問題なのか自分では分からない。

修正したつもりでも、また別の指摘が入る。

一生懸命やっているのに、
どこがダメなのか分からない。

そして気づけば、
「また差し戻されたらどうしよう」と
提出すること自体が不安になってしまう。

「分かったつもり」で止まってしまう

今の時代、分からないことがあればすぐに検索できます。

図面の描き方、材料の特性、強度計算の方法など、
情報そのものにはすぐアクセスできます。

しかし設計の仕事で求められるのは、
知識の断片ではなく、原理原則がつながった理解です。

たとえば「荷重」と「応力」の違い。

言葉としては知っていても、
実際の設計にどう関係するのかまで説明できるかというと、
曖昧なままということはないでしょうか。

また、安全率についても
「とりあえずこのくらい」と言われた値を使っているだけで、
なぜその値なのかまでは理解していないケースも少なくありません。

こうした状態でもCADは操作できるため、
なんとなく理解したつもりで仕事が進んでしまいます。

しかし材質が変わる、サイズが変わる、荷重条件が変わるなど、
少し条件が変わっただけで手が止まる。

何を聞けばいいか分からず、
結局そのまま進めてしまう。

ここで重要なのは、
「質問しない」のではなく「質問できない」状態に陥っていることです。

基礎がない状態では、
自分が何を分かっていないのかが分からないため、
何を聞けばいいかすら組み立てられません。

これは能力の問題ではなく、
基礎がつながっていないことが原因です。

OJTだけでは気づけないことがある

現場では「まずやってみて」「分からなかったら聞いて」
と言われることが多いと思います。

もちろん実務経験は非常に重要で、
実際に手を動かすことでしか得られない学びも多くあります。

ただ実際には、
「何が分からないか分からない」状態になりやすいのが現実です。

さらに、OJTに頼る環境では、
誰に教わるかによって成長のスピードが大きく変わります。

指導が丁寧な先輩に当たるか、
忙しくて教える余裕がない先輩に当たるかで、
学びの質に大きな差が出てしまうのです

先輩の図面を見て同じように描けても、
なぜその形状なのか、なぜその寸法なのかまでは理解できていない。

フィレット一つとっても、
単なる見た目ではなく、
応力集中を避けるための重要な設計意図があります。

しかしそれを知らないまま、
形だけを真似しているケースも少なくありません。

その結果、毎回同じような指摘を受ける。

「なんとなく直す」ことはできても、
根本的な理解がないため、また同じミスを繰り返す。

そしてこの状態では、
たとえ一度うまくいっても再現することができません。

条件が変われば、またゼロから迷ってしまうのです。

OJTは「やり方」を覚えるには有効ですが、
なぜそうするのか」を補う仕組みにはなっていません。

「CADは使えるのに造れない」設計が生まれる理由

3D CADを使えば、どんな形でも簡単に作れます。

複雑な形状も数クリックで作成でき、
一見すると完成度の高いモデルができあがります。

しかし「描ける」と「造れる」は全く別です。

たとえば、

・その穴にドリルが入るのか
・その部品をどうやって固定するのか
・加工時に歪みや変形は発生しないのか

こうした視点がないまま設計すると、
図面として成立していても現場では成立しません。

その結果、「これ、どうやって加工するの?」と差し戻されます。

場合によっては、
製造コストが大きく上がったり、
納期に影響が出たりすることもあります。

この状態では、
図面は指示書ではなく「ただの絵」になってしまいます。

これはセンスではなく、
モノづくりの前提を知らないだけです。

では、どうすれば抜け出せるのか

大切なのは「操作」ではなく「原理」を理解することです。

なぜその形状なのか、どうやって加工するのか、
なぜその設計が成立するのか。

これが分かると、指摘の意味が理解でき、
自分で修正できるようになります。

さらに、似たような条件の案件でも
応用が効くようになります。

つまり「経験が積み上がる状態」に変わります。

そして本来は、
こうした学びは個人任せではなく、
仕組みとして整えられるべきものです。

土台が変わると、仕事の見え方が変わる

なぜこの設計なのか」を説明できるようになると、
現場とのやり取りがスムーズになり、
差し戻しが減り、仕事が面白くなります。

また、自分の判断に自信が持てるようになり、
設計そのものへの不安も減っていきます。

もし今つまずいていると感じているなら、
それはセンスではなく土台の問題かもしれません。

指摘の意味が分からない、
同じミスを繰り返している、
自信を持って設計できない。

そんな状態があるなら、
一度基礎を体系的に見直してみるのも一つの方法です。

MONO塾のeラーニングでは、材料力学や図面、加工の基礎を、
実務に結びつく形で体系的に整理しています。
土台づくりとして、ぜひ活用してみてください。

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