投稿日:2025年02月28日
MONO塾では、ものづくりに携わる皆様に向けて、
新着コラムや設計に役立つ情報を月に数回お届けしています。
今回は「工数管理と業務改善」シリーズの第3回をお届けします。
【シリーズ内容】
第1回:作業時間の見える化で、ここまで変わる
第2回:工数管理を効率化するデジタルツール活用法
第3回:設計テーマ別工数の可視化と業務改善のプロセス
シリーズを通して、業務の効率化に役立つヒントをご紹介しています。
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「工数を見える化したのに、
期待したほど工程短縮や設計品質の向上につながらない…」
と感じたことはありませんか?
可視化された工数データは、
どの作業が効率的でないか、どこに改善の余地があるかを明確にしてくれます。
でも、ただ見える化するだけでは十分ではありません。
大切なのは、そのデータを活用して
具体的な改善策を考え、実行することです。
例えば、無駄な会議の削減、作業プロセスの見直し、
チーム内でのタスク分担の見直しなど、
改善のヒントはたくさんあります。
また、定期的なレビューとフィードバックを取り入れることで、
継続的に業務を改善していくことができます。
今回は、工数データをどのように活用すれば、
より効率的に業務を進められるのか、
その具体的な方法をご紹介します。
工数可視化の目的とは?
工数を可視化する目的は、
単に数字を並べることではありません。
本当の目的は「現状を把握し、課題を見つけること」です。
どの業務にどれだけの時間がかかっているかを明確にすることで、
無駄な作業や改善できるポイントが見えてきます。
例えば、特定の作業に予想以上の時間がかかっているなら、
その工程を見直すきっかけになります。
可視化によって、普段は見過ごしてしまう
作業や隠れた課題が明らかになります。
また、チーム内で認識の違いをなくし、
共通の課題意識を持つことで、
組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
さらに、定期的に可視化したデータを見直すことで、
継続的な改善サイクル(PDCA)を回し、
組織全体の成長を促すことができます。
業務改善のプロセス
工数可視化をもとに、
実際に業務改善を進めるための3つのステップをご紹介します。
■ ステップ1:業務の分類
まず、日々の業務を
「設計業務」「付帯業務」「設計外業務」に分けてみましょう。
これにより、どの作業に時間がかかっているかが見えてきて、
改善すべきポイントがわかりやすくなります。
例えば、会議や資料作成といった付帯業務に
多くの時間を使っているなら、
その回数や時間を見直したり、自動化を検討したりすることで、
生産性を高めることができます。
■ ステップ2:工数の見積もりと記録
次に、設計テーマごとに工数を見積もり、
実際の作業時間と比べていきます。
15〜30分ごとの細かい記録をつけることで、
作業の正確さが向上し、予想と実際の違いがはっきりします。
この過程で、思った以上に時間がかかる作業や、
逆にもっと効率的にできる作業が見つかることもあります。
定期的に振り返ることで、見積もりの精度が上がり、
スケジュール管理も改善できます。
■ ステップ3:分析と改善策の導入
集めたデータを分析し、
課題が見つかった業務には具体的な改善策を取り入れましょう。
例えば、Q&A資料を充実させて問い合わせ対応の時間を減らしたり、
仕事の分担を見直してチーム全体の負担を均等にしたりすることができます。
また、標準化されたパーツデータベースを整えることで、
部品選定・モデリングの工数を削減することができます。
改善は一度で完璧にする必要はなく、
少しずつ見直していくことが大切です。
負荷の平準化によるメリット
業務の負担を均等にすることで、
次のようなメリットがあります。
– 業務負担の偏りをなくす:
特定の人に仕事が集中せず、
チーム全体でバランスよく作業できます。
これにより、メンバーのやる気が上がり、
働きやすい環境づくりにもつながります。
– 設計品質の向上とミスの減少:
余裕を持って詳細設計やFMEAなどを行えるため、
設計漏れや不具合を事前に防ぐことができます。
また、ダブルチェック体制やレビューの標準化により、
強度計算ミスなどを最小限に抑えられます。
– スケジュール遅延の防止:
計画と実際の進捗を比べることで、
遅れを早く発見し、すぐに対応できます。結果として、
手戻りコストの削減と納期遵守につながります。
突発的なトラブルにも柔軟に対応できるようになります。
これらのメリットは、
日常的に業務を見直し、改善を続けることで、
さらに強化されていきます。
まとめ
工数の可視化は、
業務改善の「スタートライン」にすぎません。
大切なのは、可視化したデータをもとに、
実際に改善に取り組むことです。
日々の小さな改善の積み重ねが、
チーム全体の生産性向上につながります。
改善は一度きりで終わるものではなく、
継続的に見直しながら、
より良い結果を目指していくことが大切です。
ぜひ、今日からできる小さな改善に取り組んでみましょう。
チームで目標を共有し、協力し合うことで、
より大きな成果を実感できるはずです。
全3回にわたってお届けした「工数管理と業務改善」シリーズは、
今回で最終回となります。
これまでお読みいただいた皆様に、
少しでも業務改善のヒントをご提供できていれば幸いです。
今後も、ものづくりに役立つ情報を継続してお届けしてまいりますので、
引き続きよろしくお願いいたします。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
バックナンバー
第1回「作業時間の見える化で、ここまで変わる!」はこちら
第2回「工数管理を効率化するデジタルツール活用法」はこちら


