連載:流体力学(第1回)-「流体力学とは何か?航空機から家電まで、どう使われる?」

投稿日:2024年06月25日

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流体力学入門講座は、
7月1日(月)』にリリースが決定いたしました。

リリースに伴い、流体力学入門講座のメルマガシリーズをお届けします。
このシリーズは全3回となっておりますので、
ご興味のある方はぜひご覧ください。

講座の詳細内容についても、順次公開していきます。

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流体力学について

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流体力学は、その複雑さと抽象性から
一見すると難しい学問に感じられるかもしれません。

飛行機の翼の断面図や、数式でぎっしり詰まった教科書を見て、
少し圧倒されたことはありませんか?

その複雑さに学習意欲を失ったり、進められなくなった経験がある方も
いるかもしれませんね。

しかし、機械工学の分野では、水や油や空気などの流体が機器の効率と安全性を大きく左右します。
これらの流体の挙動を理解することは、機械を設計する際に不可欠です。

たとえば、

機器内での流体の動きは時に「予測不可能な現象」を引き起こすことがあります。

また、流体によって機械が力を受けると変形したり振動したりして、
壊れてしまうことがあります。

しかし、流体力学の基本を把握していれば、これらの問題に対して
効果的な設計を行うことが可能になります。

流体力学は、ただの理論にとどまらず、
実際の機械設計において具体的な解決策をもたらします。

流体の挙動が製品性能に大きく関係しているため、
流体力学はエンジニアにとって、身につけておきたい重要な知識の一つです。

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機械設計者に必要な「4大力学」の知識

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機械設計には、4つの基本的な力学分野があります。
機械力学、材料力学、熱力学、そして流体力学です。
これらの分野は互いに補完しながら、機械の設計と性能向上に役立っています。

機械力学は「剛体」を扱い、材料力学は「弾性体」を扱いますが、
流体力学は「流体」を対象としています。

これらの分野は、異なる材料と動きを扱いつつも、
共通の方程式や原理を使って密接に結びついています。

また、流体力学の応用範囲は非常に広いです。

水力発電や風力発電のタービン操作、石油や天然ガスのパイプライン輸送の安全性向上、
航空機や自動車の高速化、燃費の向上、騒音の削減など、
流体力学は多くの分野で中心的な役割を果たしています。

また、家庭用エアコンやドライヤーの風向きと風量の制御、
家電製品の発熱処理にも欠かせません。

さらに、冷却システム、射出成形、油圧装置、圧縮機、送風機など、
多岐にわたる産業で流体力学の原理が応用されています。

これらの事例からもわかるように、流体力学は機械設計の基本を支えており、
製品の性能や効率の向上には不可欠です。

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より具体的に、応用事例を見てみましょう

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<応用事例>

●飛行機の設計:

飛行機を設計する時には、空気抵抗と揚力を計算する必要があります。
流体力学を使って、これらの力を調整しながら、
飛行機がうまく飛べるように翼を設計します。

●水道管やガス配管:

水やガスを効率よく運ぶためには、
圧力損失をできるだけ少なくすることが大切です。
流体力学は、配管の太さや形、配置を決めるために使われます。

●冷却システム:

車やコンピュータの冷却装置では、どうやって効率よく冷やすかが重要です。
流体の流れる量や速さを計算して、
最適な冷却性能を実現するための設計が必要です。

工業製品のほかにも、
ゴルフボールにはなぜ細かい凹凸があるのか、
水族館の水槽はなぜあんなに厚いのか
など流体力学は身の回りにある多くの製品と関わりがあります。

流体の動きは直接見ることはできませんが、
その影響を理解して管理することが、製品の性能に大きく関わります。

この分野は初心者には少し難しく感じるかもしれませんが、
具体的な例を学ぶことで、理解しやすくなります。

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では、知識不足が引き起こす「リスク」には
どのようなものがあるでしょうか?

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例を挙げて説明していきます。

<知識不足による影響の例>

 ×  流体の圧力損失の誤算

配管システムの設計時に、流体の圧力損失を正しく計算できない。
これにより、ポンプやファンの選定が適切でなくなり、
システム全体の効率が低下する可能性があります。

 × 流体の流れ制御の知識不足

空調システムや冷却装置の設計時に、流体の流れを正しく制御できない。
これにより、冷却効果が不十分になったり、
過剰なエネルギー消費を招く可能性があります。

 × 流体の力学的性質の理解不足

自動車や飛行機の設計時に、流体の力学的性質を理解していないと、
空気抵抗の最小化や揚力の最適化ができない。
これにより、燃費の悪化や性能低下を引き起こす可能性があります。

 × 流体のエネルギー変換の誤算

水力発電や風力発電など、流体のエネルギーを利用するシステムの設計時に、
エネルギー変換効率を誤算する。
これにより、発電効率が低下し、経済的な損失を招く可能性があります。

このように、流体力学の知識が不足していることで
「圧力損失の増加」や「不適切な流れ制御」「エネルギー効率の低下」など、
機械やシステムの性能に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

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知識を習得してリスクを回避しましょう!

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いかがでしょうか?

流体力学が学問にとどまらず、
実際の工業技術の進歩に欠かせない役割を果たしていることが
理解できたのではないでしょうか。

この度リリースする「流体力学入門講座」は、
基本原理から実用的な設計スキルに至るまでを
独学で効率的に習得できるカリキュラム構成です。

また、演習問題を通して、
理論を実際の設計課題に応用する能力を養うことができます。
このアプローチにより、理論的な知識だけでなく実践的なスキルも身につけられます。

興味がある方は、この講座で学び、流体力学の知識とスキルを身につけてください。

以上、ここまでに

「流体力学とは何か?実は多くの場面で使われる重要な技術」

についてお話をしてきました。

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次回(第2回)では

身近な例で流体力学を学び、基本をマスターする

をテーマにお話していきます。

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最後までお読みいただきありがとうございました。