設計者の成長が変わる|OJTとeラーニングの正しい使い分け

投稿日:2026年03月30日

新しい環境で設計を学ぶとき、
多くの方がOJT(現場教育)を中心にスキルを身につけていきます。

例えば、先輩に質問すると、
「この形状は過去にトラブルがあったから変えている」
「この寸法は加工しやすさを考えて決めている」
といったように、経験に基づいた判断を教えてもらえます。

こうした説明は、現場で培われた大切な知見です。

一方で、
図面のルールや材料の基礎知識などは、
先輩に聞くよりも、自分で体系的に学んだ方が
効率よく理解できる場面もあります。

ここで一度、学び方を整理してみましょう。

設計の仕事には、
理論で説明できることと、経験から判断することの
大きく2つの領域があります。

この2つを分けて考えることで、
日々の学びはぐっと整理しやすくなります。

今回はこの視点から、
OJTとeラーニングの効果的な使い分けについて考えていきます。

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OJTが力を発揮する領域

OJTは、現場での実務を通じて学ぶ教育方法です。
特に、正解が一つに決まらない内容を学ぶ場面で力を発揮します。

例えば、

・どの構造を採用するか
・コストと品質のバランスをどう取るか
・現場の作業性をどう考慮するか

こうした判断には、計算だけではなく、
これまでの経験や現場の事情が関わってきます。

たとえば、複数の設計案があったとき、
どちらも成立しているように見えても、
先輩は迷わず一方を選びます。

その理由には、

「過去に似た形状でトラブルがあった」
「こちらの方が加工しやすい」

といった、経験に基づく判断が含まれています。

このような内容は、
実際の業務を通じてこそ理解が深まります。

現場で起きているもう一つの課題

一方で、現場の教育には別の課題もあります。

現場のリーダーや中堅技術者は、
設計判断やトラブル対応などの業務を抱えながら、
教育も担っています。

その中で、

図面記号の意味やボルトの種類、基本的な加工方法といった
本来は整理されている知識についても、
一つひとつ説明しているのが現実です。

本来であれば、調べれば理解できる内容に、
貴重な時間が使われています。

その結果、

・説明に時間がかかる
・応用的な内容に進めない
・教育が後回しになりやすい

といった状況が生まれやすくなります。

すべてをOJTで学ぶことの限界

では、ここで考えてみてください。

理論で説明できる内容まで、
すべてOJTで学ぼうとするとどうなるでしょうか。

例えば、先輩から
「ここは少し厚くしよう」と言われた場面です。

基礎知識がなければ、
理由が分からないまま修正することになります。

その結果、

・なぜそうしたのか説明できない
・似た場面で自分で判断できない

といった状態になりやすくなります。

つまり、

現場では時間が取られ、
個人としても理解が積み上がらない。

この状態は、OJTが悪いのではなく、
学び方の整理ができていないことが原因です。

学びを「1階」と「2階」に分けて考える

そこで有効なのが、
学びを「1階」と「2階」に分けて考える方法です。

1階は、理論として整理できる基礎知識
2階は、現場で判断するための応用知識

このように分けることで、
それぞれに適した学び方が見えてきます。

1階:基礎(eラーニングで学ぶ領域)

まず1階は、基礎となる知識です。

例えば、

・材料力学、機械力学、熱力学、流体力学
・機械要素
・図面のルール

これらは、答えが一つに定まる「不変の理論」です。

この領域をOJTで教えると、

・人によって説明が変わる
・経験則が混ざる
・内容にばらつきが出る

といった問題が起こりやすくなります。

そのため、

・体系的に学べること
・誰が学んでも同じ内容であること
・繰り返し確認できること

が重要になります。

eラーニングを活用すれば、
専門家によって整理された知識を、
同じ品質で学ぶことができます。

また、教育内容を標準化できるため、
誰が指導しても一定の理解レベルを保つことができ、
組織としての教育の安定にもつながります。

2階:応用(OJTで学ぶ領域)

一方で2階は、実務の中で身につける応用です。

設計者の仕事は、図面を描いて終わりではありません。

その図面を現場に持ち込み、
加工や組立の担当者と対話を重ねて、
初めて製品として形になります。

ここで求められるのが、
設計者の「意図」を伝える力です。

「この公差は寿命に関わるため重要」
「この部分は加工しやすさを優先できる」

こうした意図を言葉で伝えられるようになると、
現場との連携は大きく変わります。

また、設計を進める中では、

「この形状は加工できない」

といったフィードバックを受けることもあります。

このとき、基礎知識があれば、
なぜできないのかを理解し、
代替案を考えることができます。

この繰り返しによって、
設計は実務に即した形へと磨かれていきます。

2つを組み合わせることで変わること

このように、基礎はあらかじめ整理しておき、
現場では応用に集中するという形にすることで、
学びの効率は大きく変わります。

先輩からの一言も、
単なる作業の指示ではなく、
「なぜそうするのか」という考え方を学ぶ機会として
受け取れるようになります。

今日からできること

まずは、目の前の業務について、
少し立ち止まって考えてみてください。

これは理論で説明できる内容なのか、
それとも経験によって判断する内容なのか。

このように整理して捉えるだけでも、
日々の学び方は変わっていきます。

OJTとeラーニングは、どちらも重要な学びの手段です。
大切なのは、それぞれの役割を理解して使い分けることです。

基礎を体系的に整理したい、
もう少し理解を深めたいと感じたときには、
eラーニングという選択肢を取り入れてみてください。

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