投稿日:2025年11月27日
構想設計入門講座(企画発想編)のリリースに先立ち、
特別メルマガシリーズをお届けいたします。
本シリーズは全3回でお届けします。
構想設計の“上流工程”に必要な発想力・分析力・表現力を、
実務に即した考え方を交えてわかりやすくご紹介していきます。
第1回となる今回は、
「いいアイデアが通らない理由 ── 発想を“形”にする構想設計の考え方とは?」
をテーマにお送りします。
「発想」は“思いつき”ではない
「せっかくのアイデアが、レビューで却下された」
「お客様の要望に応える提案をしたつもりが、響かなかった」
そんな経験はありませんか?
多くの設計者が誤解しがちなのは、
“発想=ひらめき”と思い込んでしまうことです。
構想設計の世界では、発想は“プロセス”です。
ひらめいた瞬間のアイデアをどう整理し、
どう仕様書という“形”に落とし込むか。
そこに論理の筋道がなければ、
どんなに優れたアイデアでも通りません。
よくある場面:「改良提案が採用されない」
たとえば、こんなケースがあります。
あなたは製造現場の担当者から、
「この部品、もう少し軽くならないか?」と言われました。
構造を見直して肉抜きを入れれば、重量は確かに減らせそうです。
あなたは「軽量化できた!」と自信をもってレビューに提出しました。
ところが結果は──「今回は見送り」。
理由はこうです。
「強度検証が不十分」「コストアップの懸念」「製造工程に影響が出る」
つまり、アイデア自体に価値があっても、
“なぜその案が最適なのか”を説明する根拠が示せなければ、
説得には至らないということです。
レビューで求められているのは、
アイデアそのものではなく、考え方の筋道なのです。
「発想力 × 分析力 × 表現力」が、企画の通る鍵
構想設計では、発想を“再現可能な技術”として扱うことが重要です。
1)発想力(創造する力)
ブレスト、KJ法、SCAMPER、TRIZなどを活用し、
感覚に頼らず論理的に新しい視点を導き出す。
2)分析力(整理する力)
QFDや特性要因図などを使って顧客ニーズを構造化。
発想を“評価できる形”に変え、優先順位を明確にする。
3)表現力(形にする力)
アイデアをコンセプトシートや仕様書としてまとめ、
「なぜこの設計が最適なのか」を説明できるようにする。
これらの3つの力を順に磨くことで、
“思いつき”から“説得できる発想”へと変わります。
発想を“仕組み化”すれば、再現できる
発想とは才能ではなく、思考の手順です。
たとえば構想段階での検討では、
構造アイデアを出す前に、機能要求をロジックツリーで分解します。
「何を」「どこで」「どのように」実現するかを明確化することで、
漏れのない設計方針を導き出すことができます。
こうしたプロセスを踏むことで、
どんなテーマでも、ゼロからアイデアを再構築できる“型”が生まれます。
つまり、発想を“仕組み化”すれば、誰でも再現できるのです。
ストーリー:中堅設計者・田中さんの気づき
30代の設計者・田中さんは、製品改良のアイデアを提案したものの、
「コストに見合わない」「効果が定量化できない」とレビューで却下されました。
自分なりに良いと思った案が通らない。
その原因が“説得できる根拠の不足”にあることに、ようやく気づいたのです。
その後、上司に助言をもらいながら顧客の要望を整理し、
「どんな価値を求められているのか」を見直すと、
技術的な改善点よりも“使いやすさ”や“安全性”といった視点が抜けていたことに気づきました。
さらに、自分の考えを図やキーワードで整理して伝えてみたところ、
チームの理解を得ることができ、次の改良案につながったのです。
田中さんはその経験から、
「設計の発想は、感覚だけでは伝わらない。
“言葉と形”で示すことが必要なんだ」と実感しました。
こうした考え方や手法を身につけることで、
発想を“通る企画”へと変える方向に進むことができます。
発想を“形”にできる設計者へ
構想設計では、
「どんなアイデアを出すか」だけではなく、
「どう伝え、どう形にするか」が問われます。
発想を仕組み化すれば、誰でも再現できる。
仕様書という“形”で説得できる設計者こそ、
構想設計で必要とされる人材です。
次回は、
「市場と顧客を理解し、価値ある発想を導く」
その実践方法をご紹介します。
発想を“考える力”から、“使える力”へ。
あなたの設計が、より確かな説得力を持つ日が、すぐそこです。
ものづくりウェブ事務局


