【ものづくりの学び】機械設計者のキャリアを左右する資格とは?

投稿日:2025年07月15日

今回から3回にわたって機械設計系の資格に関するシリーズをお届けします。

【シリーズ内容】
第1回:機械設計者のキャリアを左右する資格とは?
第2回:機械設計者におすすめの資格一覧!どれを選ぶ?
第3回:資格を取るだけでは意味がない!実務に活かす方法

このシリーズでは、資格を通じて技術力を客観的に示す方法や、
実務で活かすための学習のコツをお伝えします。
技術の習得だけでなく、キャリアの選択肢を広げるためのヒントもご紹介します。

資格取得がキャリアに役立つ理由

「設計の仕事に活かせる資格を取りたいけれど、
どれを選べばいいのかわからない……」

そんな悩みを抱えている機械設計エンジニアの方は
多いのではないでしょうか?

技術の進化が著しい製造業では、
新しい知識やスキルを身につけ続けることが不可欠です。

その一方で、業務に追われる日々の中で
体系的に学び直す時間を確保するのは難しいものです。

では、どうすれば効率よくスキルアップし、
自身の市場価値を高められるのでしょうか?

その答えのひとつが、資格取得です。

資格は単なる肩書きではなく、エンジニアとしての専門性を証明し、
実務能力を高めるための強力な武器になります。

また、資格を取得することで、実務での業務遂行力を高めるだけでなく、
昇進や転職の際の強力なアピールポイントにもなります。

特に、新しい分野への挑戦を考えている方にとっては、
資格が知識習得の手助けとなり、自信を持って新たなキャリアを築くための一歩となるでしょう。

今回は、機械設計エンジニアが資格を取得するメリットと、
どのように選ぶべきかについて詳しく解説していきます。

資格は本当に必要?よくある疑問と現実

「資格を取るのは大変そうだけど、本当に役に立つの?」

「実務経験があれば資格は不要なのでは?」

こうした疑問を持つ方もいるかもしれません。

確かに、資格がなくても仕事はできます。
しかし、企業がエンジニアを評価する際、
資格を持っているかどうかは大きな指標のひとつになります。

では、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?

資格を持つことで、業界内での信頼度が向上し、
責任あるポジションを任される機会が増えます。

また、専門知識の裏付けがあることで、技術的な提案に対する説得力も増します。
さらに、グローバルなプロジェクトに関わる際には、
国際的に認知された資格が有利に働くこともあります。

初心者にも役立つ!資格を活かした成功事例

例えば、Cさん(新入社員・機械設計エンジニア)は、
設計業務を始めたばかりで、図面の読み書きやCAD操作に苦労していました。

そこで「3次元CAD利用技術者試験(2級)」の取得を目指して勉強を開始。
試験勉強を通じて、基本的な図面の描き方やモデリングスキルを習得し、
実務での作業スピードが向上しました。

結果として、先輩エンジニアからの指導を受ける際にも、
専門用語がスムーズに理解できるようになり、業務の習熟が早まりました。

また、Dさん(入社2年目・設計補助担当)は、
設計業務の基礎を学ぶために「機械設計技術者試験(3級)」を受験。

勉強する中で、機械設計や強度計算などの基本知識を体系的に整理できたことで、
設計資料を作成する際の理解度が向上しました。

結果として、単純な作業ではなく、
自分で考えて設計できる力がつき、上司からの評価も上がりました。

このように、初心者でも実務に直結する資格を取得することで、
日々の業務の理解が深まり、成長スピードを加速させることができます。

資格は単なる合格証ではなく、知識とスキルを強化する学習ツールとしても活用できます。

どの資格を選ぶべき?資格選びのポイント

資格は、それぞれの目的やキャリアプランに応じて
適したものを選ぶことが大切です。

初めて資格を検討する方は、まず基礎的な資格から取り組み、
ステップアップを図るのがおすすめです。

資格を選ぶ際の基本的な考え方として、
以下のような視点を持つとよいでしょう。

①基礎の確認×専門の強化

基礎知識がしっかりと身についていないと、
業務を行う際に壁にぶつかることが多くなります。
そのため、まずは基礎固めが重要です。

機械設計の基本を体系的に学び、知識の抜け漏れを防ぐために
「機械設計技術者試験」を受験するのが効果的です。

この資格では、機械設計や力学、材料などの基礎が幅広く問われるため、
新入社員や若手エンジニアにとって最適な学習機会となります。

また、CADを使用した業務の基礎を身に付けたり、より高度に行うためには、
「CAD利用技術者試験」の取得が有効です。
これにより、モデリングや製図のスキルが証明され、設計業務の精度と効率が向上します。

一方で、ある程度の経験を積んだエンジニアが、より専門的な知識を身につけるには
「技術士(機械部門)」がおすすめです。

技術士資格は、設計技術に加えてマネジメントや課題解決能力も評価されるため、
より責任あるポジションを目指す方には最適です。

– 基礎知識の習得を目的とするなら:「機械設計技術者試験」「CAD利用技術者試験」
– 専門性を深めたいなら:「技術士(機械部門)」

②キャリアビジョンとの整合

自分のキャリアプランに合った資格を選ぶことも重要です。

たとえば、将来的にチームリーダーやマネージャーとしての役割を担いたい方は、
「技術士(機械部門)」を取得することで、設計や開発だけでなく、
マネジメントスキルやプロジェクト管理能力も証明できます。

企業によっては、昇進要件として技術士資格を求めることもあるため、
早い段階での取得を目指すのも一つの戦略です。

一方で、特定の分野で専門性を深めていきたい場合は、
「計算力学技術者試験」や「機械プラント製図技能検定」などが適しています。

計算力学技術者試験は、シミュレーション技術や力学計算を活用した設計を
行うための知識を問うもので、特に解析業務に関わるエンジニアにとって有用です。

また、機械プラント製図技能検定は、
工場設備や機械プラントの設計を担当するエンジニア向けで、図面作成能力を証明できます。

– マネジメント志向なら:「技術士(機械部門)」
– スペシャリスト志向なら:「CAE解析技術者試験」や「機械プラント製図技能検定」

③実務の課題への対応

技術の進化に伴い、新しい分野の知識を身につけることも重要になっています。
近年、製造業では3DプリンタやIoT技術の活用が進んでおり、
これらの技術に対応できるエンジニアが求められています。

例えば、「3Dプリンタ活用技術者検定」は、
3Dプリンタの基礎知識や活用方法を学べる資格で、
試作開発や製品設計の分野での活躍が期待されます。

従来の加工方法と比較しながら、
どのように3Dプリンタを活用すればコスト削減や開発期間の短縮につながるかを理解できるため、
これからの製造業に必須のスキルとなるでしょう。

また、「IoTシステム検定」は、
製造現場でのデータ収集や分析、遠隔監視などの技術を学ぶことができる資格です。
工場のスマート化が進む中で、IoT技術を駆使した生産効率の向上やトラブルシューティングが求められており、
こうしたスキルを身につけることで市場価値を高めることができます。

– 3DプリンタやIoTの知識を深めたいなら:「3Dプリンタ活用技術者検定」「IoTシステム検定」

これらの視点を持つことで、自分の業務に役立つ資格を選ぶことができます。

次回のご案内:機械設計者におすすめの資格一覧

次回は、機械設計者にとって実務で役立つ資格について、
それぞれの特徴や活用方法を詳しく解説します。

どの資格が自分のキャリアに適しているかを
判断するためのヒントをお届けしますので、お楽しみに。

ものづくりウェブ事務局