投稿日:2025年04月07日
前回は、構造力学と材料力学の違いについてお伝えしました。
材料力学は「個々の部品の強度や特性」に焦点を当てるのに対し、
構造力学は「部品や構造全体の力の流れや安定性」を考える学問です。
また、設計の現場では力の流れを正しく理解し、
応力の集中を避けることが、安全で効率的な設計につながる
という点についても解説しました。
今回は、構造力学の基本となる
「静定構造」と「不静定構造」の違いについて詳しく解説します。
設計業務では、選ぶ構造によって、
計算方法や設計の考え方が大きく異なります。
・静定構造:計算が比較的容易で、力の流れをシンプルに理解できる
・不静定構造:静定構造より安全だが、解析が複雑になり、
より高度な設計の考え方が求められる
(※ただし、静定・不静定の選択はケースバイケースであり、
それぞれの特性を理解した上で適切に使い分けることが重要です。)
この違いを正しく把握することで、
実務での設計判断をより的確に行えるようになります。
安全性とコスト、どちらを優先する?
「コストを抑えた設計にしたいけれど、安全性は大丈夫だろうか?」
「機械の剛性を確保したいが、材料コストを抑えたい…」
設計の現場では、
コストと安全性のバランスに悩むことがよくあります。
シンプルな設計はコストを抑えやすい反面、
安全性が不十分になる可能性があります。
一方で、安全性を優先するとコストが上がってしまうこともあります。
このバランスを適切に取るには、
静定構造と不静定構造の違いを理解し、
状況に応じて最適な構造を選ぶことが重要です。
構造の特徴を知って最適な設計を選ぼう!
設計を行う際、構造の選択によって
コストや安全性が大きく変わります。
ここでは「静定構造」と「不静定構造」の違いを整理し、
それぞれの特徴を理解して最適な設計を選ぶポイントを解説します。
◼︎ 静定構造:シンプルでコストを抑えやすい
静定構造は、力のつり合いだけで計算できるため、
設計や計算がシンプルです。
実際の機械で静定構造を採用する機械は多くありませんが、
実際は不静定構造であっても、静定構造として扱い、
計算を簡略化することもあります。
<メリット>
・設計がシンプルで計算が容易
・温度変化による影響を受けない
<デメリット>
・どこか一カ所が壊れただけで、崩壊する
・外力による変形や振動の影響を受けやすい
◼︎ 不静定構造:安全性と耐久性を重視
不静定構造は、力のつり合いだけでは計算できず、
部材の変形や材料の特性を考慮する必要があります。
その分、荷重に対して高い剛性を持ち、
構造が安定するというメリットがあります。
簡単に移動することができないほとんどの機械やフレームが、
不静定構造を採用しています。
<メリット>
・荷重による変形を起こしにくい
・一カ所が壊れても他の場所が補うため、崩壊しにくい
<デメリット>
・解析が複雑で計算が難しい
・温度変化による影響を受ける
実務での活用と身近な構造の観察
私たちの身の周りは、たくさんの構造物であふれています。
こうした構造物は、なぜその形が選ばれたのか、
どのように力が流れているのかを考えることで、
より深い理解につながります。
工場や製造現場で設備を見る際に、フレームや支持構造に注目し、
「この機械のフレーム構造はどのような目的で設計されたのか?」
「どのように荷重が分散され、剛性が確保されているのか?」
といった視点で観察してみましょう。
日常の中で実際の機械や装置の構造を意識することは、
設計の理論と現実の機械構造の関係を理解する上で非常に有効です。
身近なものから学びを得ることで、
より実践的な視点で設計を考えられるようになります。
以上、ここまでに
「構造設計の基本!静定構造と不静定構造の違いを理解しよう」
についてお話をしてきました。
ーーーーー
次回(第3回)では
「実践で学ぶ構造強度設計!演習を通じて設計スキルを磨こう」
をテーマにお話していきます。
ーーーーー
講座内容についてのお話となりますので、
ぜひ楽しみにしていてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ーーーーーー
4月10日(木)にリリースします!
ーーーーーー
いよいよ4月10日に、「構造強度設計実践講座」をリリースします。
とてもお得なキャンペーンを予定していますので、
ぜひこの機会にご検討ください。
それでは、またご連絡いたします。