ものづくりウェブ連載第2回:「工学知識のきそ」OJTや設計業務でなかなか身につかない3つの理由とは?

●MONOWEB連載(2/4)「工学知識のきそ」───────────────────

あなたはこのような不安がありませんか?

・設計業務の中で「理解力不足」を感じている
・専門知識を学習するための「基礎能力」が足りていない

MONOWEBでは、設計者が身につけておくべき
工学知識(きその基礎)について、全4回のメルマガでお伝えしていきます。

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いつもMONOWEB通信をご購読頂きましてありがとうございます。

本日で2回目の連載となりました。

今回は、

「なぜ、OJTや設計業務ではなかなか身につかないのか?」

について考えてみようと思います。

もしかすると、あなたはすでに日々設計業務を行なっていて、
徐々に自分がレベルアップしていることを実感しているかもしれませんね。

そのため、業務の中で理解できないことがあっても、
「そのうち分かるようになるだろう」と思っていませんか?

もちろん、
設計者としてのベース(基礎知識)が身についている方でしたら、
実践することで十分にスキルを吸収していけると思います。

ですが、少しでも
「単位や数学など、基礎的なところに不安がある」と
感じている方は気をつけてください。

このままだと、ただ目の前の作業にいっぱいになってしまい、
なかなかステップアップできずに、スタート地点で立ち往生してしまうかもしれません。
文系出身者や、数学・物理に苦手意識を持っている方はとくに注意です。

■ 実は、ベテラン設計者から「きその基礎」を学ぶのは難しい

これは意外と感じるかもしれませんが、本当です。

後ほど説明しますが、これは
教える側と、学ぶ側のちょっとした意識の違いにより
起きてしまっている現象となります。

あなたがもし、工学知識のきそである
「単位、数学、力学」といった知識に自信がない場合、
まずは、この初歩的知識から学んでいく必要があります。

いきなり、専門的な知識や実践ではなく
この「初歩的知識の習得」の方が優先度が高いわけです。

ですが、設計歴の長いベテラン設計者になればなるほど、
このような初歩的知識について・・

「当たり前すぎて、
 教えることが【 必要 】であることも気づかない」

ということが起きてしまいます。

いいでしょうか。

すでに「当たり前のことが染み付いている」ベテラン設計者にとっては、
あなたに当たり前のことを教える、ということについて意識を向けることがとても難しいのです。

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「当たり前」なことは、当たり前すぎると、
相手にとって当たり前じゃないということすら分からなくなる。
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ベテランが新人(初心者)に教えるのが難しいのは、
この点であるといえるでしょう。

そもそも、製造業は現場で「背中を見て学べ」という世界ですので、
初歩的知識から手取り足取り教える、というやり方自体が合わないのかもしれませんね。

■ 教育を受ける側の準備が大切

もちろん、あなたの周りにいる先輩設計者や、ベテラン設計者はたくさんのスキルを持っています。
「問題解決力」も高く、学ぶべき専門知識もたくさん持っているはずです。

ですが、そのような大切な能力も、あなたの理解力が足りていないと
正確に受け取ることができません。

なぜなら、教育を受ける側の知識が足りていないと、先輩からアドバイスを受けていても、

「思考する事を拒否してしまう」
「学ぶ事を拒否してしまう」

といったことが起きてしまうからです。

これではもったいない。
せっかく教えてもらっているのに、ただ「わかりづらい!」と言うのは
ナンセンスですよね。教育を受ける側がしっかりと準備をすることが大切です。

そして、
基礎知識を事前に身につけてさえいれば、
質問自体が変わってきます。

「◯◯がわからないんですが、自分は・・かなと認識してるんですが合ってますか?」

「調べて・・という認識はしたんですけど、ここがちょっと引っかかっていて。」

など、質問がより建設的になってきます。
ですが、まったく0のままですと「わかりません」しか言えませんね。

■ まずは、設計知識習得のスタートに立つことが大切です。

中学・高校で学んだ理系知識というのは、
基礎知識として、設計業務の中でとても重要になってきます。

もし、あなたが基礎知識をあいまいにしたまま設計業務を行なっているのであれば、
もう一度見つめ直す必要があるかもしれません。

なぜなら、今回お伝えする基礎知識は、
本当は設計業務をスタートする前に「 知っていて当たり前の前提知識 」
として身につけていなければいけない内容だからです。

あなたは、これからさまざまな能力の習得が必要になるはずです。

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「製図、機械力学、強度設計、機械要素・・」など、
設計者には、数多くの専門知識と能力が必要とされます。
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ですが、必要とされる専門知識の多くはこの
「工学知識のきそ」がベースになければ正しく理解ができません。

工学知識のきそがなく専門知識や能力を身につけようと思っても、

「どこか腑に落ちない・・・」

「しっかり理解できない・・・」

といった中途半端な状態になってしまいます。

■ 電車の「連結部」をイメージしてみましょう。

電車で例えると、
基礎知識は専門知識をつなぐための「連結部」のような存在です。

今後、できる設計者になるためには、
その分野で必要となる「さまざまな専門知識」を身につける必要があります。
あなたの設計人生は長く、今後まだまだ経験を積んで成長していくことでしょう。

電車の連結部は、車両と車両をつなぐとても大切な部品です。
連結部が壊れていると、車両がつながらず列車としての役割を果たせません。
乗車できるお客様も少なくなってしまいますよね。

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連結部(基礎知識)が不安定だと・・・
ちょっとした運転の誤りや外部影響で大きな事故に
設計ミスを起こしてしまう
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設計の中では,

「簡単な単位換算や技術計算の間違い」

「力学知識の不足による設計ミス」

などが起きてしまい、手戻りやコストアップといった事態を生み出してしまうのです。

これでは大変ですよね。

ですが、連結部(基礎知識)がしっかりしていれば、たとえミスをしても、
スキルが「しっかりした理論(基礎知識)」のもとでつながっているので、
自分で考えらえれる能力が上がっていきます。

■ でも、いまは「図面も読めるし」業務で困っていませんが・・・

トレーサーやモデラーといった仕事をしている方であれば、
とくに業務に支障を感じていないため、必要性を感じない方もいるかもしれませんね。

もしかすると、日々行なっている「製図」がルーチン作業となってしまっているため、

「投影図に寸法線を記入するだけの作業だし、
 寸法を記入するだけなら、誰がやっても同じでしょ」

という風に思っていませんか?

そうではありません。
設計者として成長するためには「部品一つ一つを理解して作業する」ことが大切になります。

なぜなら、“一つ一つを理解する”ことで、品質やコストを満足させることができるからです。

例えば・・・

「寸法基準を決める」「バラツキを制御するために寸法公差、幾何交差を記入する」
「幾何公差を記入する」「表面性状を記入する」
「材質を指定する」「表面処理を指示する」

といったことを、的確に指示することで
図面の品質を向上させ、担当する製品の品質向上に繋げていけるわけです。

ですが、

× 加工できる形状とできない形状の違いがわからない

× 設計者自身がどこに公差を入れるべきか解らない

× どのくらいの公差値を記入すればよいのかわからない

といったことではなかなか対処することができません。

出図後に現場から図面の問い合わせがあった場合でも対応できず、
図面を修正することも多くなり、設計者という名を借りた

“ ただのモデラー ”となってしまいます。

もちろん、CADを使えば構造や機構をコピーして貼り付けるという
単純作業を繰り返すことで手っ取り早く派生機種を設計できるかもしれませんが、
そのような簡易的なやり方に甘えていてばかりでは、設計者としてレベルアップできません。

以上のように、
「基礎知識が足りない」ことで起こる弊害は多く、
設計者としてのレベルアップの機会を妨げてしまっています。

ではどうすればいいのでしょうか?

そこで、次回のメルマガでは、
「「数学・物理がニガテ」な文系出身者にオススメする学習方法とは?」
について、お話したいと思います。

これまでの、
「ただ知識を詰め込むような受験生タイプの学習」ではなく、
すでにエンジニアとして働いている方が、効率よく基礎知識を身につける方法を
お伝えしますので、ぜひ次回も楽しみください。

ものづくりウェブ事務局