第一回:できる設計者とは

投稿日:2016年03月01日

ここまでのメール講座では、
できる設計者になるための
1つの考え方をお伝えしました。

ここからは全10回にわけて「できる設計者」になるための
具体的な行動ステップ
についてお伝えしたいと思います。

この特別講義を受講することで、
できる設計者になるために
どのような順序で「知識」や「技術」を
習得していくのが良いのか理解できます。

是非、特別講義もご確認下さい。

特別講義の内容は
以下の内容でお送りします。

============
1:できる設計者とは
2:深い専門知識を身につける
3:もう1つの深い専門知識を身につける
4:もう1つの深い専門知識を身につける(続)
5:設計の進め方と考え方を身につける
6:顧客志向を身につける
7:顧客志向の注意点
8:協力業者と良い関係を築く
9:興味・関心・好奇心を抱く
10:できる設計者になるために必要なもの
============

第1回目の今日は
——————————–
できる設計者とは?
——————————–
というテーマでお話しいたします。

あなたは、できる設計者とは、
どのような設計者なのか
イメージできていますでしょうか?

しっかりと理想の設計者像を
イメージしおくことはとても重要です。

なぜなら、イメージしておくことで、
ゴールに向かって的確に進むことができるからです。

「できる設計者」と一言でいっても、
様々な切り口で、それぞれ違った定義ができると思いますが、

私は、今までの自身の設計経験、他設計者を見てきた経験から
できる設計者を次のように定義しています。

できる設計者とは、

——————————–
「専門知識」×「コミュニケーション力」×「考え方」の備わった人
——————————–

いかがでしょうか?

少しイメージしづらいからもしれませんね。
それでは、具体的にイメージして頂くために
「初心者」から「できる設計者」
になるまでの過程を見てみましょう。

——————————–
●初心者設計者の時
——————————–

製造業の設計部門や設計会社に入社すると、
まず「製図」を任されるのが基本です。
一般的にはトレーサーと呼ばれる仕事です。

トレーサーとは、元の図面を書き写す作業のことです。
先輩の設計者が設計した結果を、
図面にするのが主な業務になります。

——————————–
●1年以上経験を積むと
——————————–

図面の書き方を覚えると、
実際に設計の一部を任されるようになります。
計画図や組立図から必要な情報を取り出して
部品の設計を行います。
寸法を入れたり公差を検討したりします。
その過程でCADやCAEをはじめとした
各種設計ツールの使い方を学びます。

設計が完了したら、
試作品を作って評価試験を実施します。
そして、評価試験で発生した不具合などを
設計に反映させます。

加工や組み立てで
発生した不具合も同様に設計に反映させます。

このように対象となる製品に必要な
深い専門知識を
設計や評価試験を実施する過程で
身につけていくことになります。

——————————–
●さらに経験を積んでいくと
——————————–

基礎知識を身につけ、
一連の設計業務が身についてくると、
全体の設計を任されるときが来ます。

ここでは、お客様のニーズから商品企画や構想設計を行い、
開発計画、人員計画などを立てます。
遅れがでないように設計チームをマネジメントしながら
基本設計や詳細設計を進める必要がでてきます。

また、ここでは
その商品を実現するためのアイディア発想力や
高い専門スキルが必要とされます。

自分にない知識・スキル・技術などが必要となれば、
専門家などと協力関係を構築して、
コミュニケーションしながら設計を進めることになります。

以上のように、
「初心者」から「できる設計者」になるまでには、

Step1:基礎知識及び専門知識を身につける
Step2:一連の設計業務(企画・設計・評価・製造)を経験する
Step3:コミュニケーションしながら多くの設計を実施する

というステップを経る必要があることがわかります。

そして、ここで重要なのは、
できる設計者に近づくにつれて、
専門知識よりも、
「コミュニケーション力」と「考え方」の重要度が
増してくるということです。

お客様、関連部署、チーム内とのコミュニケーションが
良い設計を行うために何より大切です。

また、
・コストアップ
・設計の不具合、
・設計の手戻り
などができるだけ発生しないように
仕事を進める必要があります。

そのためには、
お客様の要求(ニーズ)をきちんと把握し、
構想設計や基本設計を行い、
品質を確保した製造ができるように
関連部門とコミュニケーションをとり
設計を進めていく必要があります。

製造や市場に「図面」や「製品」が流れていった際に、
不良品やクレームをできるだけ出さないような
「仕事の進め方」が必要となります。

これらを実現するためには、
個別の技術だけでなく、
設計の「進め方」や「考え方」を
身につける必要がでてきます。

  • お客様のニーズとは何か?
  • どのように差別化してゆけば良いのか?
  • どのように関係者の意見をまとめてゆけば良いのか?
  • どのようにアイディアを発想してゆけば良いのか?
  • 製造コストはどのように設定するのか?
  • 何に注意してデザインレビューを進めていけば良いのか?
  • 何を優先して設計していくべきなのか?
  • どのように評価していくべきなのか?

など、
設計の進め方や考え方の基礎を身につけて、
仕事を進めることが大切です。

以上、
ベテランのできる設計者になるためには
基礎知識や専門知識に加えて、
「設計の進め方」と「考え方」
を経験の中で身につけていくことになります。

ぜひ、これらを意識して設計を進めて見てください。

次回は
================================
特別講義 第2回
深い専門知識を身につける
================================
をお伝えします。

本日もお忙しいところ、最後までお読み下さりありがとうございました。