「設計者」と「研究者」の違いとは?

投稿日:2017年01月10日

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いつもMONOWEB通信をごご覧頂きましてありがとうございます。

今回は「設計者と研究者の違いとは?」についてお話し致します。

突然ですが、あなたの仕事は「設計」に関わるものですか?
それとも、「研究」に関わるものでしょうか?

もしかすると、本コラムをお読みいただいている読者は、
設計に関連するお仕事をされている方が多いかもしれませんね。

もちろん、研究者の方もいらっしゃると思います。

今回は、この設計と研究という2つの違いを紐解くことで
『設計の仕事の意義』を考えてみたいと思います。

まずは、この言葉自体の由来、語源をたどることで意味を考えてみましょう。

実は、そうすることで見えてくることがあります。

まずは英訳を確認してみましょう

  • 「設計者」を英訳すると、designer
  • 「研究者」を英訳すると、resarcher

となります。

では、それぞれの意味を直訳してみます。

  • 研究者は = 研究する人(resarcher)
  • 設計者は = デザインする人(designer)

となります。

「デザインする」というと、
自由な発想で、綺麗な形を造ることをイメージしてしまいがちですが、
英訳から紐解くと、デザインとは「設計」を意味する言葉になります。

つまり、設計者とはデザイナーであり
デザイナーとは、設計者であるとも言えます。

それでは次に、
設計と研究を辞書で調べてみましょう。

「設計」とは
「ある目的を具現化するためのもくろみ」

「研究」とは
「物事を学問的に深く考え、調べ、明らかにすること」

となっています。

つまり、
研究とは、未確立な物事について、それを解明することだと読み解けます。

確かに、
研究者は大学院や民間企業の研究機関で仕事をされている方が多いですよね。

一方、設計はどうでしょうか?こちらも読み解いてみると、

設計とは、既に確立された技術などを使って
【ある目的】を達成することにあるようです。

設計者なのに、プラスチック製品を設計する際
プラスチック技術の研究から行う人はほとんどいないのではないでしょうか?

そのため、プラスチック技術を研究するという行為は
設計とは切り離して考えたほうが良いですね。

では、先ほどありました【ある目的】とは、何を意味するのでしょうか?

どのような種類の設計であっても、必ず共通したひとつの目的があります。

「共通したひとつの目的」とは?

いったい何だと思いますか?ここで少し考えてみてください。

  ・

  ・

  ・

  ・

ここであなたは「自動車」を設計しているとイメージしてみてください。

その場合、
あなたは完成の先にいる「自動車の購入者」のために
設計を行っているのではないでしょうか。

工作機械を設計している場合であれば、
その先にいる「工作機械を使う人」のために設計をしているかと思います。

どうですか?

つまり、
ここで伝えたいことは、日々行っている
設計の先には必ずお客様がいるということです。

そのため、
設計が目指す【目的】というのは
それを使う人にとって役立つ製品を作るということです。

つまり、先にいる購入者(使用者)の希望にあった性能やコストを考えた設計が必要となるのです。

一方、研究ではこのような目的はあまり意識されないですよね。

研究は、「研究すること」に目的があり、
研究段階で、役に立つ技術かどうかまでは深く考慮していません。

誰かの役に立つ製品にするのは「設計者の役目」である

なぜ、を理解する事で、設計の質は大きく変わりますし、
目的を明確にする事で、やりがいも変わってきます。

ぜひ、設計者の方はこのことを意識して日々仕事に取り組んでみてください。
最後までお読み頂きましてありがとうございました。